カンヌ映画祭出品の映画『ゆれる』(2006年)や、数多くの映画賞を受賞した『ディア・ドクター』(2009年)などを経て、邦画界で最も新作が待ち望まれる監督の一人となった西川美和監督。昨年9月公開の最新作『夢売るふたり』は、オリジナル脚本による長編映画第4作目にして初めて「女」を描いた。その反響を受け、西川監督は「誤解を恐れずに言えば、今回は“失敗作”を作ってみようと思っていた」と思いがけないことを語り始めた。 同映画は、女優・松たか子と俳優・阿部サダヲが演じる夫婦が、火事で失った小料理屋の再建のために結婚詐欺を働く物語。妻が計画し、夫が実行犯となり、さまざまな境遇の女たちに結婚をちらつかせながら金をだまし取っていく。しかし、嘘の繰り返しはやがて、女たちの間に、夫婦の間に、さざ波を立て始める。
2013/03/27