カンヌ映画祭出品の映画『ゆれる』(2006年)や、数多くの映画賞を受賞した『ディア・ドクター』(2009年)などを経て、邦画界で最も新作が待ち望まれる監督の一人となった西川美和監督。昨年9月公開の最新作『夢売るふたり』は、オリジナル脚本による長編映画第4作目にして初めて「女」を描いた。その反響を受け、西川監督は「誤解を恐れずに言えば、今回は“失敗作”を作ってみようと思っていた」と思いがけないことを語り始めた。
同映画は、女優・松たか子と俳優・阿部サダヲが演じる夫婦が、火事で失った小料理屋の再建のために結婚詐欺を働く物語。妻が計画し、夫が実行犯となり、さまざまな境遇の女たちに結婚をちらつかせながら金をだまし取っていく。しかし、嘘の繰り返しはやがて、女たちの間に、夫婦の間に、さざ波を立て始める。
――公開後、どんな反響があったのでしょうか?
【西川美和監督】いままで自分の作品をいいと言ってくれていた人が首をかしげたり、そんなに反応しなかった人が熱の入った感想をくれたり、よくも悪くもこれまでの反応とずいぶん違っていました。
――いい意味で期待を裏切ることができたということでしょうか?
【西川監督】それを狙っていたところもありました。誤解を恐れずに言えば、今回は“失敗作”を作ってみようと思っていました。デビュー作(2002年『蛇イチゴ』)から賞をいただき、順調に右肩上がりの評価を頂いてきました。とても光栄なことですし、ありがたいことだと真摯に受け止めていますが、このままでいいのかなという思いが自分の中にあって。年齢を重ねていくと共に丸くなって、ウェルメイドな作品を作る監督だと世間から思われるのも嫌だなという気持ちもありました。いままで応援してきてくれた人たち全員にそっぽを向かれても、自分らしい映画を作りたいと思って挑んだのがこの作品です。
――騙す女を演じた松たか子、騙される女を演じた田中麗奈、鈴木砂羽、木村多江ら、職業や境遇、暮らしぶりもさまざまな女たちが登場しました。
【西川監督】女を書くのは勇気がいりましたね。女の監督なのに、女のことが描けていないと思われるのはやっぱり怖いですから。でも男性の愚かさと愛おしさを描いた作品はたくさんあるのに、女性の愚かさを正面から描いた作品は少なくて身の置き場がない感じがしていた。だから一度くらいは自分が自分の目で見た事を礎にして、女のいいところも悪いところも映画にしたいと思いました。現代を生きる30代、40代の女性の実感が伴う血の通った女たちの物語になってはいるんじゃないかと思います。
――監督の思惑とは別に、スクリーンに映しだされた映像の完成度は非常に高いと思います。
【西川監督】そこはプロのスタッフたちがぬかりなく、画面のどこを観てもらっても恥ずかしくないように全力を注いでくれましたから。現場のスタッフには心から敬意を表したいです。Blu-ray&DVDが発売されたら、美術さんが徹底してこだわって作り上げてくれた女たちの部屋を見比べてもらいたいですね。Blu-ray特装版の特典DISCに収録されている特典映像には舞台裏のスタッフたちの働きぶりを記録したメイキングも収録されますので、映画を作っている人たちがどれだけ素敵な人たちか、彼らこそが日本の映画を支えているということをぜひ知ってもらいたいと思います。
――原作をもとにした映画作品が多い中、オリジナル脚本で作品を発表し続けている西川監督への期待はますます高まっているように思われますが…。
【西川監督】私が映画界を変えてやる、背負ってやる、みたいな気概もなく、オリジナル脚本で長編映画を4本撮ってしまったので、私に期待しないでもらいたいというのが正直な気持ちです(笑)。ただ、そういうストレスも映画のネタにしていきたいと思っています。
『夢売るふたり』のBlu-ray&DVDはバンダイビジュアルより発売中。映画では初めて、カラー・モノクロ両方の聴覚視聴者対応日本語字幕を採用(カラー字幕は、Blu-rayのみ)。視聴覚障害者対応日本語副音声も収録されたバリアフリー仕様となっている。
同映画は、女優・松たか子と俳優・阿部サダヲが演じる夫婦が、火事で失った小料理屋の再建のために結婚詐欺を働く物語。妻が計画し、夫が実行犯となり、さまざまな境遇の女たちに結婚をちらつかせながら金をだまし取っていく。しかし、嘘の繰り返しはやがて、女たちの間に、夫婦の間に、さざ波を立て始める。
【西川美和監督】いままで自分の作品をいいと言ってくれていた人が首をかしげたり、そんなに反応しなかった人が熱の入った感想をくれたり、よくも悪くもこれまでの反応とずいぶん違っていました。
――いい意味で期待を裏切ることができたということでしょうか?
【西川監督】それを狙っていたところもありました。誤解を恐れずに言えば、今回は“失敗作”を作ってみようと思っていました。デビュー作(2002年『蛇イチゴ』)から賞をいただき、順調に右肩上がりの評価を頂いてきました。とても光栄なことですし、ありがたいことだと真摯に受け止めていますが、このままでいいのかなという思いが自分の中にあって。年齢を重ねていくと共に丸くなって、ウェルメイドな作品を作る監督だと世間から思われるのも嫌だなという気持ちもありました。いままで応援してきてくれた人たち全員にそっぽを向かれても、自分らしい映画を作りたいと思って挑んだのがこの作品です。
――騙す女を演じた松たか子、騙される女を演じた田中麗奈、鈴木砂羽、木村多江ら、職業や境遇、暮らしぶりもさまざまな女たちが登場しました。
【西川監督】女を書くのは勇気がいりましたね。女の監督なのに、女のことが描けていないと思われるのはやっぱり怖いですから。でも男性の愚かさと愛おしさを描いた作品はたくさんあるのに、女性の愚かさを正面から描いた作品は少なくて身の置き場がない感じがしていた。だから一度くらいは自分が自分の目で見た事を礎にして、女のいいところも悪いところも映画にしたいと思いました。現代を生きる30代、40代の女性の実感が伴う血の通った女たちの物語になってはいるんじゃないかと思います。
――監督の思惑とは別に、スクリーンに映しだされた映像の完成度は非常に高いと思います。
【西川監督】そこはプロのスタッフたちがぬかりなく、画面のどこを観てもらっても恥ずかしくないように全力を注いでくれましたから。現場のスタッフには心から敬意を表したいです。Blu-ray&DVDが発売されたら、美術さんが徹底してこだわって作り上げてくれた女たちの部屋を見比べてもらいたいですね。Blu-ray特装版の特典DISCに収録されている特典映像には舞台裏のスタッフたちの働きぶりを記録したメイキングも収録されますので、映画を作っている人たちがどれだけ素敵な人たちか、彼らこそが日本の映画を支えているということをぜひ知ってもらいたいと思います。
――原作をもとにした映画作品が多い中、オリジナル脚本で作品を発表し続けている西川監督への期待はますます高まっているように思われますが…。
【西川監督】私が映画界を変えてやる、背負ってやる、みたいな気概もなく、オリジナル脚本で長編映画を4本撮ってしまったので、私に期待しないでもらいたいというのが正直な気持ちです(笑)。ただ、そういうストレスも映画のネタにしていきたいと思っています。
『夢売るふたり』のBlu-ray&DVDはバンダイビジュアルより発売中。映画では初めて、カラー・モノクロ両方の聴覚視聴者対応日本語字幕を採用(カラー字幕は、Blu-rayのみ)。視聴覚障害者対応日本語副音声も収録されたバリアフリー仕様となっている。
2013/03/27