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橋田壽賀子氏、亡き夫・岩崎嘉一氏の想い語る 『渡鬼』誕生は「夫のおかげ」

 『おしん』『春日局』(NHK)、『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)などの作品で知られる脚本家・橋田壽賀子氏の自叙伝的ドラマ『妻が夫をおくるとき』(TBS系)が、23日の午後9時より2時間15分の拡大版で放送される。同作は「今まで生きてきた中で、これ以上の苦しみはなかった」と本人が語る、実体験をドラマ化。1989年、今から23年前に亡くなった橋田氏の夫・岩崎嘉一氏(享年59)との別れを綴った。

7 月23日放送のスペシャルドラマ『妻が夫をおくるとき』の脚本をてがけた橋田壽賀子氏(右)と主演の岸本加世子 (C)ORICON DD inc.

7 月23日放送のスペシャルドラマ『妻が夫をおくるとき』の脚本をてがけた橋田壽賀子氏(右)と主演の岸本加世子 (C)ORICON DD inc.

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 ドラマは、岩崎氏のがん発覚から亡くなるまで(1988〜89年)を描く。夫のがんを知った時、橋田氏は63歳。当時、NHKの大河ドラマ『春日局』の脚本に取り組み出したばかりの頃だった。岩崎氏は1984年のTBS退職を機に『大家族』をプロデュースしたのと同時に、大病を患い、やっと克服して第2の人生を踏み出そうとした頃からが描かれる。

 橋田氏は「昨年9月に23回忌を終えたとき、荒井正明プロデューサーからの勧めもありこの作品を書きました。夫婦である以上、誰もが相手を送るときが来る。がんを告知した方が良かったのか良くなかったのかわかりませんが、そのときの気持ちを作品にしました。これは永遠のテーマです」を話す。

 今回のドラマは、登場人物がほぼ実名で登場。橋田氏は「自分のことですから、すごく書きにくかった。実話に基づいたフィクションにしたくなかったので、嘘は書けない。主人が死と向きあった最後の1年をドラマにしたかったので、覚悟して書きました。一部を除いて実名を使ったのも、そういった思いから。それは血のにじむような一年だったことを伝えたくて」と思いを語った。

 TBSの社員だった岩崎氏と橋田氏は、ドラマ『ただいま11人』(1964〜67年放送、TBS)がきっかけで出会った。橋田氏は「第一印象で、自分とは違うタイプの頭の良い人だなと思いました。その頃、シナリオライターとして食べていけるかわからず、結婚に焦っていたし、聞けば高月給だし。動機は不純でした」と笑う。

 岩崎氏は典型的な亭主関白で、周囲が「よく我慢しているわね」と呆れるほど、橋田氏は夫に尽くしたという。橋田氏は「結婚したい上、絶対に喧嘩をしない、言い返さないと心に決めていました。亭主関白も計算の上で結婚しました。それが私の信念。愛していたから我慢もできた。なんか、のろけてしまいまして、すみません」と、亡き夫への尽きぬ想いがあふれた。

 脚本家・橋田壽賀子を語る上でも、岩崎氏の存在は欠かせない。「結婚したらシナリオライターの仕事はやめるようにと言われたので、辞めました。子供がいなかったので、仕事の再開を許してもらってからも、主人の前で原稿用紙を広げることは一切しなかった。結婚していなかったら『おしん』も書けなかっただろうし、もしも、主人が長生きしていたら、『渡る世間は鬼ばかり』も生まれなかったかもしれない。夫のおかげで、今があると思っています」。同ドラマは、87歳にして、今なお作品に取り組み続ける今の橋田壽賀子が誕生した瞬間を描いた作品ともいえるのだ。

 今回の企画意図について、荒井プロデューサーは「夫婦の絆とは何か? そして夫婦はどうあるべきなのか? 橋田の体験と物語を通して、多くの夫婦にご覧いただきたい」とアピールする。スタジオに、橋田氏と岩崎氏が過ごした熱海の部屋を忠実に再現、置物などは実際のものを持ち込んで撮影するなど、まるでドキュメンタリーのようなドラマになっている。

 主演は、橋田壽賀子役に岸本加世子、岩崎嘉一役に大杉漣、二人の仲人も務めた石井ふく子プロデューサー役に薬師丸ひろ子ほか、関係者を中村梅雀小泉孝太郎神田正輝泉ピン子らが演じる。

 生前の岩崎氏と親交の深かった岸本は「ご健在の、それの皆さんがよく知っている橋田先生を演じるのはプレッシャーでした」というが、周囲から「橋田氏によく似ている」と評判が立つほどの熱演を見せた。「岩崎さんは厳格な日本の父親のような方で、橋田さんのことをよく叱っていましたが、愛情もいっぱいある方でした。演じてみて夫婦って改めて素敵だなと思いました。私も、一度は嫁に行っておけば良かった」と話していた。

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  • 7 月23日放送のスペシャルドラマ『妻が夫をおくるとき』の脚本をてがけた橋田壽賀子氏(右)と主演の岸本加世子 (C)ORICON DD inc.
  • 橋田壽賀子氏の実体験をドラマ化、登場人物もほぼ実名で描く(C)ORICON DD inc.
  • 7 月23日放送のスペシャルドラマ『妻が夫をおくるとき』に主演する岸本加世子と大杉漣(C)TBS

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