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SNSとエンタテインメントの関係性の変化 新たなヒット創出事例も

興収20億円を超えている『カメラを止めるな!』のスマッシュヒットもSNSの拡散力がヒットの一因(C)ENBUゼミナール

興収20億円を超えている『カメラを止めるな!』のスマッシュヒットもSNSの拡散力がヒットの一因(C)ENBUゼミナール

 昨今、エンタテインメントの批評をめぐるメディアが変化しつつある。これまではニュースやインタビュー中心であったサイト「音楽ナタリー」が、今年7月からは、コラム記事の取り扱いを始めるという記事を配信して、一部で話題となった。

批評メディア、SNSを巡る公式サイトの動きの変化

 ナタリーに限らず、各ニュースサイトのコラム記事、批評記事は非常に多くなってきている。とくにテレビドラマに関する記事は、ここ数年来、増加の一途をたどっている。各社、ドラマが放送された翌日には、コラムやレビュー、俳優にスポットをあてた記事などがあがるようになった。なかでも力を入れているのが、『エキレビ!』や『Real Sound』ではないだろうか。こうしたコラムや批評記事は、宣伝部などとやりとりはせず、独自で作っていることが多い。

 これに伴い、公式サイトの動きにも変化がある。以前であれば、映画やテレビドラマなどの公式サイトは、正式に記者発表や取材日を設けてやりとりして作られた記事しかお知らせしないことが多かったが、昨今では、公式の宣伝部とやりとりなく作成された、つまりサイトが勝手に作ったコラムや批評記事などを、公式サイトがお知らせしたり、リツイートすることも増えてきている。

 また、タレントや俳優が、自分のことが書かれたコラムや批評記事を見つけてリツイートすることもある。以前であれば、こうした記事はゴシップや批評に満たない悪口と思われていたが、そうではない記事が増えたという証拠でもある。なぜ公式サイトが、こうしたことをするようになったのか。それは、SNSによる口コミでヒットすることを実感してきているからではないだろうか。

拡大するファンの拡散力と影響力

劇場で爆笑をさらった『カメラを止めるな!』名シーン

劇場で爆笑をさらった『カメラを止めるな!』名シーン

 例えば『カメラを止めるな!』は当初は2館での上映であったが、今現在、100館を超え全国のシネコンで上映。またインド映画『バーフバリ 王の凱旋』は絶叫上映が評判を呼び、ロングランで上映されている。本作は、インドの公式が本編映像をTwitterにアップすると世界中で10万リツイートされ、そんな波が日本に届いたことも大きいだろう。

 こうした動きは、主に著名人などのインフルエンサーが最初に影響を及ぼすものというイメージもあるが、昨今はファンの拡散力も影響力は大きくなっていると感じる。例えば、『HiGH&LOW THE MOVIE』は、当初はEXILEや三代目 J Soul Brothersらのファンが観るものと思われていたが、映画を観た当初は彼らの顔と名前を知らなかったような観客も感想をSNSで拡散したところ、そこから新たなファンの獲得につながっている。

 筆者は、雑誌やWEBサイトで同作関連のインタビューやコラムを執筆したが、その記事のなかでもっともアツい一文を見つけて紹介した一般のファンのアカウントのツイートのほうが、公式のツイートよりも拡散される様子を目の当たりにした。また、ニュースサイトが作った記事よりも、ファンの率直な思いを書いたブログのほうが、ツイート数が上回る。そんな現象が多くみられるのも昨今の特徴だ。

 それは、『カメラを止めるな!』も『バーフバリ』も同じで、どこがアツいのか、その熱を感じたままに伝えた言葉が多くの人に届いた作品が、ヒットに向かうのではないだろうか。

作品とSNSの新たな関係性からヒットが生まれる

「オリコンドラマバリュー」でも名前が挙がった『おっさんずラブ』は、放送を終えて3ヶ月を迎えようとしている現在も、ファンによるSNSでの話題は途切れることがない。

 こうしたドラマ放送後も継続して視聴者に注目され続けている作品で注目したいのが、NHKの京都発・地域ドラマ『ワンダーウォール』だ。この作品は、初回の放送はNHKのBSプレミアムで7月25日に行われたが、その後も8月に同チャンネルで、9月17日にはNHK総合で二度に渡り再放送された。『ワンダーウォール』は、朝ドラ『カーネーション』の渡辺あや氏が手がけた一話完結のドラマであるが、放送を観たミュージシャンの大友良英や、椎名林檎、映画監督の大根仁氏や脚本家の野木亜紀子氏などがTwitterに絶賛のコメントを寄せていたことが起爆剤となった。そこから口コミで一般視聴者のツイート数も伸びていった結果が、その後の注目にも繋がり、放送後にニュースサイトなどが取り上げることも多かった。

 本作は、本来であれば、放送後にはPRとして広報が動かないというのが慣例のテレビの宣伝のやり方を覆し、ドラマに関わった有志で広報室を立ちあげ、初回放送後もSNSでの発信やリツイート、サイトの更新などを行い、またさまざまなイベントに脚本家や俳優たちが登壇するなどの活動を続けたことも、熱いファンを増やすことに貢献した。

 映画もドラマも、宣伝に力を入れるのは、放送開始時期や公開初日に向けてという常識があった。しかし、ドラマの放送後も、DVD発売などが続く。宣伝は作品の放送、公開が終わったから終わりという時代でもなくなってきた。

 公開からじわじわと口コミで人気を高め大ヒットした作品『カメラを止めるな!』や、初週は一桁スタートでも最終回では19.2%視聴率を記録した『義母の娘のブルース』のような作品が続々と生まれる時代になろうとしている今、作品とSNS、そして宣伝の関わり方、在り方もどんどん複雑に変化し、これまでとは異なる新しい形も生まれてきている。
 そこでは、昔ながらの“観客がエンタメを育てる”という両者の関係性がより近くなるとともに深くなり、表面的に表れやすくなっている。これまでは、ヒットした作品の数字全体を見て、「恋愛ものは受ける」「このキャストは受ける」などと分析し、類似したテーマの作品を作られることも多かったが、過去の成功例に頼っていたのでは成功は難しくしなくなっている。このキーワード、ジャンルは受けないと切り捨てていた企画から突然ヒットが生まれることもある。個人個人の意見であっても、どこに熱がこもっていたのかを細かく見ていけば、そこから生まれるヒット創出のパターンもより多様化していくのではないだろうか。
(文:西森路代)

提供元: コンフィデンス

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