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『ぎぼむす』『高嶺の花』など多数、“章立てドラマ”増加の理由

 8月15日に放送された、日本テレビ系ドラマ『高嶺の花』第6話終了後の予告編で、「次週から“第2章”がスタート」と発表された。実は今クール、“章立て”を謳うドラマが少なくない。
『高嶺の花』ほか、『ぎぼむす』『この世界の片隅に』『ハゲタカ』も
 キャリアウーマンの主人公・亜希子と、結婚相手・良一の連れ子である娘のみゆきが、ともに成長し“家族”になっていく様子を描くTBS系『義母と娘のブルース』は、8月14日放送の第6話から第2章がスタート。8歳だった娘が高校生に成長し、義母と娘を取り巻く環境も大きく変化した。

 テレビ朝日系の木曜ドラマ『ハゲタカ』は、第1話〜3話まで、日光みやびホテル買収にまつわるドラマが展開されたが、8月9日放送の第4話から第2部として、大手電機メーカー・あけぼのの買収に関する物語が描かれている。また、TBS系の日曜劇場『この世界の片隅に』では、8月19日放送の第6話から後編がスタート。広島への原爆投下と、その後の日々が描かれる。

18年7月期ドラマで“章立て”を謳っている主なドラマ

「ロケット編」「ガウディ編」を展開、日曜劇場『下町ロケット』の成功例
 “章立てドラマ”の成功例として記憶に新しいのは、2015年10月クール放送のTBS系日曜劇場『下町ロケット』だろう。同ドラマは「ロケット編」、「ガウディ編」という2つの物語をそれぞれ5話ずつ放送。週刊エンタテインメントビジネス誌『コンフィデンス』による、ドラマ満足度調査「オリコンドラマバリュー」では、各編がそれぞれ徐々に満足度を上げていき、クライマックスの第5話、第10話がともに100Pt満点を記録するという、理想的なフィニッシュを生み出した。

 ほかにも、2016年1月クールのTBS系金曜ドラマ『わたしを離さないで』(3部構成)、2017年1月クールの火曜ドラマ『カルテット』、2017年4月クールの日曜劇場『小さな巨人』、2017年7月クールの日曜劇場『ごめん、愛してる』というように、“ドラマのTBS”得意のパターンとなっていて、それぞれ「なぜ2部構成なのか?」の理由が分かりやすくなっているが、フジテレビも2016年1月クールの『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』や、2018年1月クールの『海月姫』を2章立てで展開。『いつかこの恋を〜』は、全話終了後の視聴者満足度を100Pt満点中66.9Ptまで上げ、“質の高いドラマ”を表彰する『第3回コンフィデンスアワード・ドラマ賞』で作品賞を受賞。『海月姫』はそれには及ばなかったものの、100Pt満点中64.2Ptとまずまずの成績を残した。

ここ最近の主な“章立て”ドラマの「ドラマバリュー」推移

視聴者に対する注意喚起に加え、巻き返しの意味も
 このような“章立てドラマ”が作られる理由について、上智大学文学部新聞学科教授・碓井広義氏は次のように語る。

 「連続ドラマの場合、第1回放送時には大きく宣伝できますが、それ以降なかなか告知することができません。しかし、“第2章スタート”と銘打つことができれば、視聴者に対する注意喚起になる。視聴者も新しい物語が始まるとなれば、『ここから見始めてもいいんだ』と考える人も出てくるでしょう。また、制作サイドに対する刺激にもなります。ここからネジを巻き直し、巻き返す意味があるのではないかと思います」
  • 『高嶺の花』の5話までの「ドラマバリュー」推移

    『高嶺の花』の5話までの「ドラマバリュー」推移

 日本テレビ系『高嶺の花』の第2部スタートは、まさに注意喚起・ネジのまき直しという意味がピッタリかもしれない。なぜなら、同ドラマのドラマバリューポイントは、第2話〜4話まで3週連続40pt台。直近4クールに放送されたプライム帯のドラマで、序盤3週連続40Pt台を記録したのは、『刑事7人』(17年7月期/テレビ朝日系)、『ウチの夫は仕事ができない』(17年7月期/日本テレビ系)、『崖っぷちホテル!』(18年4月期/日本テレビ系)、『Missデビル 人事の悪魔・椿眞子』(17年4月期/日本テレビ系)の4作品しかない。『ウチの夫〜』に関しては、第8話より「第2章スタート」としたものの、タイミングが遅すぎたのか、その後満足度を上げることができなかった。

 月9ドラマ『海月姫』も第3話まではかなり苦戦していたが、第6話からの第2部スタートを機に満足度を上げ、前半5話のドラマバリュー平均55.4Ptを、後半73.0Ptまで上げることに成功している。『高嶺の花』の本領発揮はこれからと期待したい。

提供元: コンフィデンス

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