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業界初“没入感”を追求するIMLの360度VRデモ映像

IMAGICAの先端技術開発チーム・IMLが「コンテンツ東京2017」で初公開するデモ映像のキャプチャ画面

IMAGICAの先端技術開発チーム・IMLが「コンテンツ東京2017」で初公開するデモ映像のキャプチャ画面

 IMAGICAが昨年8月に立ち上げたイマーシブ・メディア・ラボ(以下IML)。これまでに映像を視聴する際の“没入感”を追求する先進映像技術をリサーチ、開発を続け、いよいよ実写とCGを含む360度VR立体映像と立体音響を融合させた業界初のコンテンツを発表。サービス化に向けて本格始動する。

3D映像と立体音響の融合で唯一無二の“没入感”を実現

 VRコンテンツの分野では近年、グラフィック性能や応答速度、精細度などが向上したヘッドマウントディスプレーの普及により、多種多様なコンテンツが登場。さらなる進化型のサービスが常に求められている。そんななかIMLは、両眼立体視による360度映像とアンビソニック音響に注目。この技術の応用により、これまでよりさらに深い没入感を体感できる新たな映像コンテンツを試作した。6月28日より開催されるコンベンション「コンテンツ東京2017」で発表される同コンテンツをひと足早く体験した。

 ヘッドマウントディスプレーHTC VIVEとヘッドホンを装着する、5分程度のデモ映像では、鹿のキャラクターが周囲360度を歩くCG映像、すみだ水族館を映した実写にCGを加えた映像など、5分の間にそれぞれ2Dと3Dの映像、音響を交互に映し出し、その違いを体感できるようになっている。このデモ映像は、360度の立体空間で、音響も立体的に広がるのが特徴。歩いている鹿のキャラクターの方を見れば、その方向から足音が聞こえるが、視線をほかに外すと、視界の外の鹿がいる方向から歩いてる音が聞こえてくる。視覚と聴覚からまさにその場にいるかのような没入感に浸れる映像になっている。

「アンビソニックの技術は70年代に考案されたものですが、いまのVR映像を映したときの音を追いかける技術としてアンビソニック音響に着目しました」(IML・由良俊樹氏)

2Dと3Dの映像、音響を比較できるデモ映像が完成

ヘッドマウントディスプレーHTC VIVEとヘッドホンを装着して初公開されたデモ映像を体験

ヘッドマウントディスプレーHTC VIVEとヘッドホンを装着して初公開されたデモ映像を体験

 今回のデモ映像にはNOKIAの360度カメラOZOを使用。8方向カメラセンサーを搭載し、4K立体視の映像撮影が可能となる。
「カメラセンサーとマイクがそれぞれ8方向に8つ付いているので、それをレンダリングして、音もアンビソニックフォーマットで取り出せるので使用しています。360度の3D映像を撮影するとともに、相乗効果となる、顔を向けた先の音を追いかけられる立体的な音響を作ることができます」(村越宏之氏)

「コンテンツ東京2017」では、このデモ映像以外にも、すみだ水族館、首都高速、青山の桜並木、六本木のミッドタウン、渋谷の夜景など、東京都内各所の映像を集めたコンテンツ『東京VR』も用意。まるでその場にいるような最新VR体験を、来場者に広く提供する。これまでにもゲームで立体音響を活用したCG映像はあったが、実写としては今回のコンテンツが初のものになるという。

「われわれの技術は言葉で説明してもなかなか理解してもらうことが難しい。まずはVRを体験していただきたいです。同じ映像と音響での2D、3D映像の比較は、それがどういう技術でどういう体験を提供できるのかを理解していただけると思います。そのうえで、さまざまな業種の方々とわれわれがどのようなことを一緒にできるのか、ご提案させていただけたらと考えています」(加藤欧一郎氏)

音響面の再生環境がこれからの追求すべきポイント

 このVR技術は幅広い可能性を秘めている。今後はエンタテインメント分野のみならず、IoTを利用した各種システム開発など、すでに多くの分野においてさまざまな企画が予定されているという。

「ネットワーク環境を整備することが前提になりますが、たとえばライブのステージに360度カメラとマイクを設置して配信すれば、家庭にいながら、ドラムやギター、パーカッションなど自分の好きなバンドメンバーのプレイを間近で観て聴くことができます。そこではそれぞれの楽器の音の指向性も活かされます。オーディエンス側から歓声があがったら、そちら側に振り返れば、盛り上がっているオーディエンスの映像も観ることもできます。マルチアングルDVDの進化形ですね。スポーツで使用しても迫力が違ってくると思います」(村越氏)

 これまで長きにわたって映像分野において数々の技術開発をリードしてきたIMAGICA。このIMLの本格始動は、次世代の映像表現のさらなる進化を期待させる。

「日々の技術進化をうまく取り込んで、ハイエンド映像を作っていかないといけない。音響面でいうと、まだまだ音の再生環境が整っていないですし、没入感についてもさらに追求するべきポイントがたくさんあります」(石井亜土氏)

 IMLでは、これまでにも企業のPR映像や新作ゲームのプロモーションなどを手がけたほか、映像配信プラットフォームやVRコンテンツ制作などで成果をあげてきている。今後のIMLのVRコンテンツの動向に注目していきたい。
(文:壬生智裕)
(コンフィデンス6/26号掲載)

提供元: コンフィデンス

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