クリエイティブ・ムーバーの最新形
ホンダの新たなコンパクトSUV「WR-V」がついに発売! 妙に角張ったスタイリングもさることながら、低価格を売りにしているところもホンダとしては珍しいタイプだ。はるばるインドからどんぶらこどんぶらこと運ばれてくるニューフェイスの実力を試す。
価格コンシャスなSUV
抽選で割り当てられたWR-Vは「Z+」だった。最上級グレードである。本来ならばくじ運が強いと喜ぶべきなのだろうが、今回ばかりはハズレと感じてしまった。ホンダがSUVラインナップに投入するWR-Vは、価格コンシャスなモデルである。「ヴェゼル」とほぼ同じサイズで安いことが大きなウリなのだ。できればスタンダードタイプの「X」に乗りたかった。
価格を抑えることができたのにはいくつか理由がある。パワートレインは1.5リッター自然吸気直4エンジンにCVTの組み合わせのみ。ハイブリッドは採用されず、駆動方式はFFで4WDの設定はない。特に目新しい技術は盛り込まれておらず、飛び道具らしきものは見当たらない。オーソドックスな仕立てのベーシックなモデルである。ならば魅力がないのかというとそうではないのが面白いところである。スティーブ・ジョブズを持ち出すまでもなく、優れた製品に必要なのは何よりもビジョンなのだ。
四角張ったマッチョなフォルムが新鮮である。そう感じてしまったのだが、よく考えれば変な話だ。SUVはもともと悪路走破性を高めるために筋骨隆々のたくましいボディーを備えているのが当然だった。荒野を駆けるクロスカントリーという出自から離れ、昨今では都会派SUVという語義矛盾が横行している。洗練と高級感を得て、すっかりオシャレさんになってしまったのだ。イケメンがモテるのは当然なのだろうが、泥にまみれていた昔を懐かしく思っていたユーザーもいるはずである。
WR-Vは武骨ともいえるいかつい肢体を隠そうともしない。こんなに高い位置にあるフロントフードを久しぶりに見た気がする。切り立ったグリルで分厚いフロントセクションを構成しているが、中を見るとスカスカだったので明らかにデザインとしてこの形になっている。クーペスタイルのSUVが当たり前になっているなかで、こういうタフな形状を守るメーカーの代表格が三菱だろう。WR-Vのスタイルを説明するのにホンダは“ラギッド”という言葉を使っていて、これは三菱でよく聞く形容語である。...