近くて遠いアイドル
「日産フェアレディZ」にハイパフォーマンスバージョン「NISMO」が登場。スタイリングのよさでファンの気持ちをがっちりつかんだ現行型Zだが、モータースポーツ直系のNISMOの手によって走りの印象はどう変わったのか。箱根の山中で試してみた。
買えるの? 買えないの?
試乗中に追走してくるクルマが多いように感じたのは久しぶり。単なる気のせいか、あるいは実際に注目度が高かったのかは定かではないが、何だかその視線が熱いだけではなく、ちょっと痛く感じたのは、現行フェアレディZのデリバリーが進んでいないことと無関係ではなさそうだ。2023年の8月、2024年モデルのフェアレディZとともに発表されたZ NISMOだが、その時点でも現在でも、そもそもスタンダードシリーズのZが受注停止中なのである。標準型の生産がまったく追い付いていないのに、高性能版NISMOを発表して大丈夫なの? と思うのは当然であり、実際に販売現場ではいろいろと混乱があると耳にする。
試乗途中で会った日産ファンの知り合いからは開口一番、「なんだ、もう売ってるの? これ買えるの?」とややとげを含んだ言葉を投げかけられた。それが自然な反応だろう。私自身も試乗車の用意ができたと聞いて、「え? もう乗れるの? だってZは今も……」と驚いたほどである。だいたい、最近ではコロナ禍におけるサプライチェーンの機能不全などを理由に生産遅延を口にしているメーカーはない。今後の見通しも不明なままで、「お答えは控えさせていただきます」では、あの大将のような日産ファンもさすがに離れていってしまうのではと心配になる。...