麗しのアルピナ
ライバルがどのような戦略をとろうとも、アルピナは自分の道を突き進む。最新の「D4 Sグランクーペ」は直6ディーゼルのあふれるトルクが魅力だが、そのコントロールもまた自由自在。フラットな乗り味とともに、まさにどこまでも行けるグランドツアラーである。
大人のグランツーリスモ
本家BMWのMやメルセデスAMGの高性能セダンがサーキット志向を強めているせいか、あるいは単に私が年を取ったせいか、これ見よがしでない端正な高性能を追求してきたアルピナのユニークさが以前にも増して心にしみる。ガツガツ攻撃的に曲がり、爆発的に加速するスポーツカーのようにその特徴が分かりやすくはないけれど、高性能を洗練で包み込んで大げさにしないのが昔からのアルピナの流儀である。
フルサイズSUVの「XB7」から乗り換えたこともあるが、このD4 Sなどは走りだした途端に、靴を履き替えたように、体が軽くなったように軽快で、足まわりもパワートレインもしっとり滑らか、路面をなめるようなしなやかな身のこなしがお見事である。かといってソフトで優しいだけの旦那仕様などではない。どこにも緩んだところはなく、一分の隙もなく体にフィットするスーツのようだ。これぞアルピナである。しかもこれがディーゼルエンジン搭載モデルなのだから驚きだ。270km/hも出る高性能セダン(例によって最高巡航速度)をつかまえてこのぐらいがちょうどいいなんて言っては恐れ多いけれど、普段は過剰さを感じさせない実用的な高性能こそアルピナの真骨頂である。...