企業による新卒社員の獲得競争が激しくなっている。しかし、本当に大切なのは「採用した人材の育成」だろう。そこで参考になるのが『メンタリング・マネジメント』(福島正伸著)だ。「メンタリング」とは、他者を本気にさせ、どんな困難にも挑戦する勇気を与える手法のことで、本書にはメンタリングによる人材育成の手法が書かれている。メインメッセージは「他人を変えたければ、自分を変えれば良い」。自分自身が手本となり、部下や新人を支援することが最も大切なことなのだ。本連載では、本書から抜粋してその要旨をお伝えしていく。
管理型マネジメントとメンタリング・マネジメント
人は生まれながらにして、「依存型人材」もいなければ、「自立型人材」もいません。そのどちらかに育てられているだけなのです。
そして、依存型人材を育てるのが「管理者(コントローラー)」であり、自立型人材を育てるのが「メンター」です。
ここでいう管理とは、管理職という役職のことではなく、またマネジメントで使われる管理ツールのことでもありません。
そうではなく、他人を自分の思い通りにしようとする考え方のことを言っています。これは、「コントロール」と表現することもできます。
そして、人は管理されることで依存型人材となり、支援されることで自立型人材となっていきます。
依存型人材を管理(コントロール)することによって経営することを、「管理型マネジメント」と言い、また自立型人材を育成し、スタッフ全員の能力を最大限に活かした経営をすることを「メンタリング・マネジメント」と言います。
私たちは知らず知らずのうちに、相手を管理し、意に反して依存型人材を育成してしまうことがあります。
人を育てようと思いながら、なかなか人が育たない原因は、自分が今やっていることが、管理型なのか、メンタリングなのか、そのどちらなのかという、マネジメントスタイルの明確な区分けができていないためなのです。
こうして依存型人材が育成される
時間がないからと、具体的な行動を指示して、こちらの言った通りに行動させようとするほど、相手は依存型人材になってしまいます。
つまり、自分で考え、自分で判断することができなくなってしまうのです。
次第に、自分から意見を言わなくなり、いつも指示が出るのを待っているだけになってしまうでしょう。
「うちの会社のスタッフは、指示待ち人間ばかりだ」というのは、一所懸命に指示待ちの依存型人材を育成してきたからです。
管理しようとすれば、その発言と行動によって、必然的に依存型人材を育成してしまうことになります。
例えば、次のような発言をすれば、依存型人材を育成することになってしまいます。
これらのように管理的、一方的な発言をすれば、相手は依存型人材になってしまいます。
いわば、管理とは依存型人材を育成するためのノウハウなのです。
もうおわかりだと思いますが、依存型人材の育成はとても簡単です。つまり、管理者自身が依存型人材になればいいのです。
相手が依存型人材になってしまうという問題の本質は、管理者自身が依存型人材であるということです。
依存型人材を育成できるのは依存型人材だけであり、依存型の上司が自立型の部下を育成することは、そもそも不可能なことなのです。