貴族のスピード
上質さとスポーティネスを併せ持つランドローバーの高性能SUV「レンジローバー スポーツ」に、新開発の直6エンジンを搭載した新モデル「P400」が登場。新たな心臓部を得た“走りのレンジ”は、どのようなクルマに仕上がっていたのか。その実力を確かめた。
「レンジローバー」とは異なる位置づけ
このクルマに試乗する少し前に、「レンジローバー」の助手席に乗る機会があった。静かさと柔らかな乗り心地は圧倒的で、高級車という概念そのものを見せつけられたような気がしたことを覚えている。ステアリングを握っていた編集部Hくんもいたくお気に入りのようで、うっとりした表情で運転していた。「いいですねぇ……」と繰り返していて、 “ロックな生きざま”を信条とする無頼派の彼も、あまりの快適さにたらしこまれてしまったようだ。
Hくんが言うには、レンジローバーは貴族のクルマなのだ。成り上がりの下品なブルジョアではなく、気品と風格を備える本物の上流階級が乗るクルマだというのである。英国王室の格式がもたらす力だろうか。金満趣味のメンバーは王室内にいられなくなるくらいだから、伝統のパワーは侮れない。そういえば、2002年にスコットランドで行われた3代目レンジローバーの試乗会では、プレスディナーにアン王女が同席されていてたいへん窮屈な思いをした。王族がクルマの宣伝に一役買うのだから、やはりレンジローバーは貴族のクルマなのかもしれない。
今回試乗したのは、ただのレンジローバーではなく下に“スポーツ”が付く。レンジローバーのスポーティーなグレードではなく、別のモデルである。プレミアムブランドが次々にスポーティーなSUVを送り出していく中で老舗としても対抗馬を用意する必要があったようで、2005年にデビューしている。だから、レンジローバーとは位置づけが異なる。悠揚せまらぬ走りで安楽さを提供するのではなく、ドライバーズカーとしての刺激を持っていなくてはならない。...