刺激強めのカンフル剤
ハスクバーナのクールなネイキッドバイク「スヴァルトピレン701」に、その個性を一段と強めた特別仕様車が登場。興味津々でむちを当てた筆者は、予想以上に元気でユニークな乗り味に驚かされたのだった。
放たれた2本の矢
最初に目にしたのは2018年の東京モーターサイクルショー。ときめくことを忘れて久しいわが心眼の曇りを突き破り、「これ乗ってみてぇ」と思わせたのがコイツだった。いや、正確に言うと今回試乗したのとは異なるモデルなので、その辺から整理させていただく。
くだんのショーで国内販売を発表したのは、かの地で白い矢を意味する「ヴィットピレン401」と「701」。そして黒い矢を意味する「スヴァルトピレン401」の3種。モデル名に続く数字は排気量を暗示(実際には373.2tと692.7t)しており、スヴァルトピレンの701だけ2019年6月に遅れて販売開始。その2カ月後に登場したのが、今回乗った「スヴァルトピレン701スタイル」という特別仕様車。「じゃソイツはどうなの?」とお聞きになりたい気持ちはわかるが、あれこれ調べたら興味深い事実に触れたので、まずはソッチから話をさせて!
聞き慣れない車名を用意したのは、スウェーデン発のハスクバーナ。二輪界ではオフロード方面で有名な老舗ブランドだが、元は1689年に創業した「マスケット」と呼ばれる歩兵銃のメーカーだった。Hの頭文字を包んだ王冠みたいなマークは、照準が付いた銃の先端を表しているそうな。
そのハスクバーナがオートバイ製造に乗り出したのが1903年。オフロードモデルに特化する展開が功を奏する形で世界各地の大会を席巻。その勢いに陰りが出始めると、ハスクバーナは1986年に二輪事業をイタリアのカジバに売却。2003年にカジバ傘下のMVアグスタから一度取り戻すも、2007年にはBMWが買収。それをKTMが2013年に買い取った。そんな紆余(うよ)曲折の末、KTMに拾われたのは幸運だったのか? 何しろこのブランドは、ハスクバーナ同様オフロードモデルで名をはせ、やがてハスクバーナを窮地に追い込んだ相手でもある。それゆえKTMにすれば、似たモデルの発売にはさして意味を感じなかったはずだ。そこで(現状)最後の親が選んだのが、固定観念を打ち抜く白と黒の矢を放つことだったのである。...