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春休み映画特集『発表!!期待度ランキングTOP10☆女性から人気のTOP3とは!?』

3月に入り、ファミリー向けアニメから米アカデミー賞で話題の洋画まで続々と春休み映画が公開されるなか、ORICON STYLEでは恒例の“春休み映画 期待度ランキング”を発表! 今回のアンケート調査では、20〜30代女性の圧倒的な支持を受けたあの大作が1位に!! TOP10圏外だけど…編集スタッフこの春イチオシの映画もご紹介します!

編集スタッフこの春のイチオシ映画はこちら!(公開日順)

◆ギャップで笑わせて共感させて考えさせる
『愛の渦』 『愛の渦』公開中
[公式サイト]
 男2万円、女2千円。集まったのは、性欲を満たしたいだけの男女8人。
 乱交パーティへの俗物的な興味とブレイク中の門脇麦ちゃんが女優魂をみせてさらすはだかが強い引きになりそうな映画だが、もちろんそこも見どころではありつつ、これでもかとさまざまな正反対の事象をならべたてて――たてまえとホンネ、ウラとオモテの顔と仕事、性と生、オトコとオンナの心、淡い期待と現実などなど――そのギャップから、快楽にふけることの軽さとそこに生じるかもしれないある種の重さを笑わせて、リアルな男と女の心情に共感させて、人それぞれの生き様とその感じかたの違いを考えさせる、深い人間ドラマだった。

 ほぼワンシチュエーションのドラマだが、沈黙の長さやすっとこぼれるセリフなど、描き出される空気感がリアルで、自分もその場にいるような緊張感に襲われてぐっと引き込まれる演出がみごと。柄本時生さんが発する「高度なギャグ」が最高でした。あのシチュエーションでのこのセリフがツボで爆笑。感動すら覚えたほど……。ラストの池松壮亮くんの心情は手に取るようにわかる。こういうことよくあるよな〜って。きっとだれにもあるはず、男なら。【映画担当:takei】
◆観れば誰もが必ず感じるものがある傑作
『アナと雪の女王』 『アナと雪の女王』3月14日公開
[モデル座談会レポート]
[公式サイト]
 ディズニープリンセス系映画として、先日のアカデミー賞で『長編アニメ映画賞』と『歌曲賞』の2部門を受賞、全世界興行収入で10億ドル突破するのではないかという勢いをみせる今最も話題の映画『アナと雪の女王』。触ったものを凍らせたり、雪を降らせたりと不思議な力を持ってしまった王女・エルサが、その制御できない力に苦しみ、城を飛び出す。そんな姉のエルサを連れ戻すためにひとり旅立つ妹・アナの物語である。

 目を見張ったのは言わずもがな映像のクオリティである。素人目でも今までのフルCG映画とは確実に違うことに気づくはずである。キャラクターの動きも当然だが、ことさら雪の表現は圧巻である。雪の細かい一粒一粒が、実写に勝るとも劣らぬ細かさで、本当にそこに存在しているかのように舞っている。また、ミュージカル形式のこの映画にとってのもう一つの醍醐味は音楽である。シーンの情感を見事に表現した楽曲たちは、シーンの感動を盛り上げるのに大きな効果を発揮している。吹き替えを担当しているのはエルサを松たか子、アナを神田沙也加という実力派。この2人の歌唱力は本家に引けをとらない素晴らしいものであった。(英語を理解できる人は別だが)個人的には、アニメーション映画を存分に楽しむためには字幕に気を取られない吹き替えで見るべきであると思う。

 結末はもちろんここでは触れないが、ディスニー映画ファンであればあるほど驚かされる結末になっている。私も有名なディスニー映画はほとんど観てきたが、あの結末には驚かされた。全世界的なヒットを記録しているということが嘘ではないと、観れば必ず誰もが思う作品になっている。

P.S. 同時上映の『ミッキーのミニー救出大作戦』は、ディスニーランドのアトラクションのように映画内映画という構成で展開される。これもまた必見である。【動画担当:tanaka】
◆仕事優先?それとも家族?3組の夫婦の姿に思わず涙
『神様のカルテ2』 『神様のカルテ2』3月21日公開
[公式サイト]
 「夫婦って、いいなぁ」シンプルですが、見終わった直後の感想です。
 前作『神様のカルテ』が公開されて2年。本作はその続編としてではなく、ひとつの作品として完成されているため、前作を見逃していてもすんなりストーリーに溶け込めます。櫻井翔&宮崎あおいの“寄り添う夫婦”、柄本明&市毛良枝の“支え合う夫婦”、藤原竜也&吹石一恵の“向き合う夫婦”。異なる事情を抱えた3組から見出される家族・命・仕事の意義を描いた映画です。

 仕事をしている身として考えさせられたのは、藤原演じる進藤辰也の「お前がいつも病院にいるってことは、その間ずっと家族のそばにはいられないってことだ」という言葉と、それを聞いて妻を犠牲にしている可能性に気づき悩む主人公の姿。仕事をとるか、家族をとるか――人は、何を守り、何をすべきなのか? 櫻井演じる主人公が、自分なりの道を探す過程に共感でき、気づいたら涙が溢れていました。
 人の温かさに触れられる。主題歌はサラ・ブライトマン。きっと、映画館ですてきな時間を過ごせます。CS編集部:si-watanabe】
◆グロ&下ネタでえぐり出す大国アメリカの“病巣”
『ジャッカス/クソジジイのアメリカ横断チン道中』 『ジャッカス/クソジジイのアメリカ横断チン道中』3月29日公開
[予告編] [公式サイト]
 “自由の国・アメリカ”を独自のおバカな解釈で展開し続ける『ジャッカス』シリーズ。同シリーズで主演を務めるジョニー・ノックスヴィルの肩は脱臼、脚は骨折で、あちこち縫い目だらけ。さらに、腕はアナコンダやクロコダイルに噛まれた穴だらけと満身創痍。まるで小学生が思いつくようなウンコネタやゲロネタも山ほど登場するなど、常にMPAA(アメリカ映画協会)の監視下にある要注意作品としてお馴染みだ。

 アメリカという大国を常に“内側”から小馬鹿にし続けてきた同シリーズだが、最新作でもその強固な姿勢に一切の“ブレ”がない。ジョニー扮する86歳のクソジジイが、8歳のクソ生意気な孫と共にに父親を探す旅に出る今作。スーパーで万引き、結婚式のシャンパンタワーを崩壊、美少女コンテストで孫に下品なダンスをさせるなど、とにかくメチャクチャで下品極まりない。だがそこには、“世界一の大国”“世界の警察”を自称するアメリカの“病巣”がえぐり出されている。

 かつて早川義夫(※元ジャックス)は「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」と歌ったが、『ジャッカス』シリーズはまさにその逆。「かっこ悪いことはなんてかっこいいんだろう」と、思わず感嘆の声をもらしてしまうのは、決して私だけではないはずだ……ま、下品極まりないですけど。【動画担当:murakawa】
◆“初ジェネラル”な方でも大丈夫!リターンズも期待(笑)
『チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像』 『チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像』3月29日公開
[予告編] [公式サイト]
 2008年よりスタートしたドラマ版『チーム・バチスタ』。伊藤淳史&仲村トオルの凸凹コンビ“グッチー&白鳥”が、初のスクリーンでついにファイナルを迎えます。

 ドラマファンにとっては待望となるこの2人の「バチスタ」劇場版には、2010年に放送された西島秀俊率いるチーム・ジェネラルの懐かしい面々もちらり。当時は研究生だった松坂桃李演じる滝沢も、立派なお医者さんに成長されています。

 しかーし。ドラマを観たことがない人、原作を読んだことがない人もいらっしゃるでしょう。そんな“初ジェネラル”な方でも大丈夫! ドラマ版では実現できなかったスケールの大きさ(戦車の迫力は圧巻!)あり、人の生死を扱う医療の現場だからこそ生まれる歪みと、救われる命の尊さ、切なさが溢れていました。
 FINALと言いながらも、“あぶ刑事式”のリターンズに期待してます(笑)。CS編集部:koie】
◆非モテ側だった男たちならわかる!? 感傷から今に想いを馳せる
『大人ドロップ』 『大人ドロップ』4月4日公開
[予告編] [公式サイト]
 高校生活最後の夏休み前後の男女4人の淡い恋と別れを、切なさたっぷりに淡い光のなかで描く。大きなできごとが起こるわけではないが、観るものの心のひだをなでるように高校時代の感傷にひたらせながら、最後の最後までリアルな心情描写が胸にせまる。

  高校生の世界で決してモテる側ではない、“してる族”と“自分で族”に分けると大多数であろう後者(個人的な願望)。交際などとは無縁でまわりの注目を浴びることもなく、切なさと悲しさに気づかないふりをして、弱肉強食の無慈悲な恋愛の世界とは離れて、身の回りの思い通りになる世界だけで楽しく(楽しいと思って)過ごしてきた者たち――。そんな高校生の情感たっぷりな世界を大人の視線から、気の利いたセリフをちりばめて楽しませてくれる。

 大人が観て気づくことも多い映画とも思う。「好きだけど、なにも求めていないし、望んでいない」「会いたいだけ」とか高校時代だと自分の逃げ道を作ってカッコつけてる感じだけど、今だとそういう気持ちが本当にあることをよく理解できるから、その言葉から感じられる別のことがあったり。「出会えてよかった」なんて心からいえるひとは何人いるだろうとか、今そういう存在がいても時間を経てからいえるんだろうなとか……って観たひとがそれぞれの人生を振り返って、重ねあわせて共感して、今を考えられるいい作品です。“時間”と“ひとの心”は、どんなにがんばってもどんなに想っても、思い通りにはならないんですよね……。
 そういう大人側からの視点もしっかり映画に入っています。【映画担当:takei】
◆家族の絆を考えさせられる…、原作者の想いに忠実な映画
『サクラサク』 『サクラサク』4月5日公開
[予告編] [公式サイト]
 さだまさし原作小説の映画化。さだ小説は映画化率が高い! これで、映画化は5本目になる。しかも、今回は小説『解夏』の書籍に収録された短編『サクラサク』の映画化なので、同書籍からは4編のうち2本映画化というイチローにも負けない高打率の人気作家なのだ。

 しかし、なぜ、こんなにさだ作品が映画化されるのか?
 もともとストーリー・テラーとして抜きんでた才能を誇るさだ。年に100本近く行われるステージでは、常に映画に勝るとも劣らない大ネタのトークを20分から30分かけて、必ず最低1本は披露する。歌よりもこの大ネタを楽しみに来場する人が出るくらい大人気で、時間を忘れるほど面白い。そうやってステージで練り上げたひき込まれてしまうストーリー作りのノウハウが小説にもいかされている。これにつきると思う(ちなみに、最近の大ヒット・トーク「テルマエ・イシイ」は抱腹絶倒で、ぜひ一度ステージで聞いてもらいたい。過去に披露された大ネタはそれだけで本としてベストセラーになり、またトーク集のCDになり大ヒットしている)。

 だから、執筆されたオリジナル小説も、つぼをおさえた展開のため、話の内容についつい引き込まれてしまう。この『サクラサク』もそう。ぼけ始めたお祖父さんのいる倦怠期夫婦と子ども2人の、ある家族。ぼけ始めたお祖父さんの過去の記憶を頼りに福井に突然家族で旅行するのだが、「突然車を走らせ、旅行に出発してしまう」以外は特に大きな出来事があるわけでもないが、その旅の中で、家族は絆を取り戻していく。お祖父さんにとっては自分探し、家族にとっては絆探しが地味に進行していくのだ。

 でも、そこにさだなりに計算された無数の仕掛けが施され、興味を最後までつなぐ。たとえば、おじいちゃんの息子である主人公は会社の中で特進出世目前。その出世が確定する当日に無謀な突然休暇をとってしまったという設定。サラリーマンとしては、本編の動きとは別にこちらの決着も気になってしまう。そういう並行して走る伏線がいくつもあるのがさだの作るストーリーの面白さだ。

 それでは映画化されて、その面白さがどうなったのか?
 さだの作った物語にかなり忠実に映画化されたという印象。そういう意味では、飽きさせることなく物語が続いていく。また、その中で、基本となるテーマの「家族の絆とは何か」を自動的に年齢に応じて考えさせてくれる素敵な映画になっている。小さなジワーがたくさんあるし、最後は大きなジワーとなるのも原作と一緒だ。

 個人的に気になったのは、小説にはない新たなシーンで、おじいちゃんが家族の隙をみて勝手に土地の公共バスに乗って走り去ってしまう場面。気がついて、ひたすらバスを追いかける息子に「なぜそばにある自分の車に乗らないで、いつまでも走って追いかけ続けるんだ。追いつかないだろう」と思わずつっこみたくなってしまった。
 まあ、それもご愛嬌で、日本的な温かさと救いがある映画であることは間違いない。【芋洗い坂編集長】
◆予備知識がない方向け“パトレイバーの愉しみ方”
『THE NEXT GENERATION パトレイバー/第1章』 『THE NEXT GENERATION パトレイバー/第1章』4月5日公開
[公式サイト]
 待ってました! 待ちわびておりました!! 「押井守監督×パトレイバー」だけでも期待は膨らみますが、ついに実写版が登場って、もぉーたまりません!!

 ふぅーー。前のめりに興奮しすぎでスミマセン(汗)。同作に関するトリビアネタは尽きませんが、実は織田裕二さん主演の国民的作品『踊る大捜査線』で、内田有紀さん演じる篠原夏美のモデルは、パトレイバーのヒロイン・泉野明なんですよ。どうです? ちょっと気になってきたのでは??
 そこで、全く予備知識がない方に向け“パトレイバーの愉しみ方”をご紹介しましょう。

1)本屋さんでコミックを大人買い
2)TSU●YAさんでアニメを全力レンタル
3)上記がかなわない場合は、劇場版だけでも抑えておく
※『機動警察パトレイバー 劇場版』『機動警察パトレイバー2 the Movie』の2作だけでもゼヒ!

 どれかひとつで十分なんです。きっとこの鼻血が出そうな感動を共有していただけると思います。4月5日に第1章が公開され、そこから来年のGWまで続く超大作。松竹さん、本当にありがとう!!CS編集部:koie】
⇒公開スケジュール:第1章4.5/第2章5.31/第3章7.12/第4章8.30/第5章10.18/第6章11.29/第7章2015.1.10/長編版2015.GW
◆誰もが通る道――未完成な若いエネルギーが溢れる人生の春
『1/11 じゅういちぶんのいち』 『1/11 じゅういちぶんのいち』4月5日公開
[予告編] [公式サイト]
 青春映画を観ると胸の奥がザワつく……。私だけじゃなく、そういう体験をしたことがある方って少なくないのでは? と思います。それは、学生時代は誰もが一度は通る道で、ほかのジャンルの映画と違い、フィクションであったとしても登場人物の想いや行動に共感を覚えるから。そして、“青春”という字のごとく、未完成な若いエネルギーが溢れる人生の春は、決していい思い出ばかりを残してくれたわけではないから。少なからず、やり残したことや後悔していることが心の奥底に眠っているからだと思います。

 今回ご紹介する映画『1/11 じゅういちぶんのいち』も心拍数を上げるような、観終わった後に自然と涙がこぼれるような心震わすストーリーです。原作は、現在『ジャンプSQ.』(集英社)で連載中の漫画家・中村尚儁氏が紡ぐ話題作。メガホンを取ったのは、全国の映画賞で名を馳せる期待の新鋭・片岡翔監督。若手俳優集団・D2の池岡亮介、2011年にデビューし着々と活躍の場を広げる竹富聖花などのフレッシュなキャスト陣とともに、2次元だった漫画の世界に命を吹き込みます。新生活を迎えるこのシーズン、この映画が忘れかけていた何かに気づかせてくれるかもしれません。【音楽担当:yajima】
◆タイトルを上回るおバカSFコメディでした♪
『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』 『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』4月12日公開
[予告編] [公式サイト]
 こんなに素敵なサブタイトルの洋画を観ずに、春休みは終えられませんよね。
 物語の主人公はアラフォー真っ只中のオッサン5人。イギリスの故郷を訪ねてやることは“居酒屋12軒のはしご酒”。これが、学生時代に成し遂げられなかった彼ら野望らしく、勢いよくビールジョッキを空けていきます。が、なんだか街の様子が変? 目からビームを出す警官に、ターミネーターばりに変形する美女、さらにロボットが攻めてくる…!?

 タイトルを上回るおバカSFコメディでした♪
 『ハングオーバー』に共感した世の男性陣、『キック・アス』の過激さにしびれた女性たち、そして『宇宙人ポール』の友情に目頭を熱くした、本気でコメディを愛する皆様、お待たせしました! 酔っぱらいこそが正義です!!CS編集部:koie】
◆ひとの心が真に苦しむ姿に震撼させられ考えさせられる
『アクト・オブ・キリング』 『アクト・オブ・キリング』4月12日公開
[公式サイト]
 1960年代にインドネシアで実際にあった100万人規模の大虐殺。イデオロギーの異なる民間人を虐殺した民兵組織の加害者たちは、当時は恐れられながらも国民的英雄とみなされ、今もその意識をもったままふつうの暮らしを送っている。そんな彼らに当時の虐殺を再現させる映画を製作させる姿を追うドキュメンタリー。

 ドキュメンタリー内で製作される映画の撮影の過程で、今は家族をもち幸せのなかに身を置く加害者らは、虐殺の様子をこと細かに再現。殺されゆく被害者の言葉やその様子を思い返して行くうちに、そのときの被害者とその家族の気持ちに想いを馳せ、自らの行いの重大さ、計り知れない罪の重さにようやく気づいていく。

 当初は撮影を楽しみ意気揚々と殺害を再現していた加害者らだが、撮影が進むにつれてその様子が変わっていき、ラストには演技では決してみせられないだろう、演技を超越した苦しみに打ちひしがれる姿をみせる。ひとの心が真に苦しむ姿というものをまざまざとみせつけられ震撼する。

 その当時の社会情勢やイデオロギー下での行いを現在のモラル、社会基準のみで非難、批判してもお互いに反発が起きるだけでなにも生まれないことがある。彼らには彼らの当時の理がある。今回彼らがドキュメンタリー内で製作した映画は、ファンタジックで異様な雰囲気があり、彼らの過去の行為を正当化していた。しかし、完成後の彼らは、自分たちの過去の行いを今の意識で追体験することで、それを作る前とは明らかに変わっていた。当時の時代背景によって悪と意識されずに生まれた悪。そこに生き、関わった人間たちの罪の深さと不幸をどう感じればよいのか考えさせられる。

 また、わずか半世紀前に世界のいたるところでこのような大虐殺が起きていたことに驚くとともに、今も世界中に紛争地域はありそこにはこうした現実があるかもしれないことを、平和のなかに生きるわれわれに改めて気づかせてくれる。【映画担当:takei】
◆せつなさとつらさに寄り添って共感――それでも人生は続いていく
『ある過去の行方』 『ある過去の行方』4月19日公開
[公式サイト]
 パリで向き合った、すでに別居中で離婚しようとする夫婦。その妻と同居を始めている再婚相手。3人が新しい人生を歩み出そうとするとき、気づかないままでいたい、考えたくないある過去の出来事に触れなくてはならなくなる。心の重しになっていたその過去の暗い影が徐々に明らかになっていくなかで、さらにその奥に秘められていた事実が現れる。それぞれの立場からの正義と愛、それゆえに苦しまなければならなかった理由……。

 それぞれの登場人物の生き様にていねいに寄り添い、そのひとの立場でないとわからない心のありかたを優しい目線で描いていく。離婚する男も新しい恋人の男も、どちらも優しく気遣いがあり、その感情に共感できる、ひとのいい男たち。利己的で感情的な女と思っていた主人公も、ひとを思いやる心をもち自分の正義のある人物だと後半でわかる。物語が進むにつれ、それぞれの立場に寄り添っていくことで登場人物に共感し、そのつらさ、やりきれなさに苦しくなる。

 派手な起伏のある物語ではなく、“ある過去”も大作にありがちな“劇的ななにか”ではない。しかし、それぞれの登場人物の事情と心情がリアルでせつなく、それが絡み合いながら過去の事実がじわじわと白日のもとにさらされていく脚本、静かで奥行きのある物語をじっくりと描き出す映像、キャストたちのお芝居が、どれもすばらしい。映画好きの人たちはすでにチェックしている作品だと思うが、ふだん邦画エンターテインメント大作を観ることが多い若い層にこそ触れてほしい、映画のおもしろさが楽しめる人間ドラマ。

 この作品の登場人物たちの描き方から感じられるのは、どんなにつらくても、悲しくても、人生は続いて行くということ。過去を背負ってその先を生きなければならない。【映画担当:takei】

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