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鈴木亮平×有村架純、映画『花まんま』インタビュー:役者としての魅力を語り合う
(左から)有村架純、鈴木亮平(撮影:松尾夏樹) (C)ORICON NewS inc.
鈴木今回は自分に近い役だったので、力を抜いて自然体でいられた感覚は強かったです。
有村キャストもスタッフも関西出身の方が多くて、すごくフレンドリーな現場でした。だからこそ、自分らしくいられたのかなと思います。
――撮影を通じて、お互いに「この人すごい」と思った瞬間はありましたか?
鈴木自然体の中に芯の強さが感じられて、すごく魅力的でした。強くて、でもしなやかで。そういったバランスを持ち続けていられるのは本当にすごいことだと思います。
有村ありがとうございます。鈴木さんは、ネガティブなものを感じさせない方だと思いました。物事の捉え方や人への眼差しがとても穏やかで、まるで“大仏様”みたいな存在感があるんです(笑)。
鈴木大きいしね(笑)。
有村本当に、拝みたくなるような安心感があります。
鈴木ネガティブな面を見せたくないという気持ちは昔からあって。でも同時に、そういう一面がまったく出ない人って“人間味がない”とも思っていて、そのバランスは難しいです。ただ、役を通してならそういう感情も出せるんです。『孤狼の血LEVEL2』のような作品だと、そういう一面が自分の中から自然と出てきます。
有村そういう意味でも、私たちの仕事って本当にありがたいなと思います。自分の中にあるネガティブな感情や、悲しい記憶も、役を通じて昇華できる。過去の経験が演技に活かされると、「あれはこのためだったんだ」と前向きに思える瞬間があります。
鈴木本当にその通りで、僕自身もそういうことは多いです。感情を表現するには、自分自身がその感情をしっかり“感じる”必要があるので、極端な感情にも向き合わなければ成立しない仕事だと思います。憎しみや悲しみといった強い感情にも触れるので、自然とそれに向き合う術のようなものが、少しずつ身についてくる気がします。全部がうまくいくわけではないですが。お芝居をしていない期間が何ヶ月も続くと、逆に感情を発散できなくなってイライラしてしまうこともあります。
(左から)有村架純、鈴木亮平(撮影:松尾夏樹) (C)ORICON NewS inc.
鈴木まさに、この映画は“死生観”が大きなテーマの一つだと思っていました。俊樹は両親が亡くなった時のことをよく覚えていて、大切な人とある日突然会えなくなるかもしれないことを誰よりも実感している人間です。フミ子に別の家族ができることは俊樹にとっては大切な妹を失うような感覚でもあって。その葛藤と向き合い、最終的に受け入れていく物語は、俊樹自身の死生観が変化する過程でもあったと思います。
有村今、鈴木さんの話を聞いて、「兄やん目線ではそうだったんだ」と気づかされました。私はこの作品で“死生観”というテーマを深く考えることはなかったのですが、兄やんが背負ってくれていたから、深く考えずにいられたのかもしれません。
鈴木観る人の人生のステージによっても、受け取るものがまったく変わる映画だと思います。
有村私は、「自分のため」ではなく「誰かのため」という想いが、人を強くし、支えてくれる力にもなるということを教えてもらったように思います。フミ子は子どもの頃のある時期から「喜代美さんの分も生きなければ」と思うようになり、使命感のようなもの、それが彼女自身の人生の意味になっていったような気がします。家族や兄妹、そして大切な誰かを思いながら生きることのあたたかさを感じられる物語。気負わずに、気楽に観ていただけたらうれしいです。
鈴木そうですね。兄妹や親子、そして広い意味での“家族”が、お互いを深く思い合う――その奥深さを感じ取っていただけたらうれしいです。
鈴鹿央士 ファーストサマーウイカ 安藤玉恵 オール阪神 オール巨人
板橋駿谷 田村塁希 小野美音 南琴奈 馬場園梓
六角精児 キムラ緑子 酒向芳
原作:朱川湊人『花まんま』(文春文庫)※第133回直木賞受賞
企画協力:文藝春秋
監督:前田哲
脚本:北敬太
イメージソング:AI「my wish」(UNIVERSAL MUSIC / EMI Records)
(C)2025「花まんま」製作委員会