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小嶋陽菜、自ら創り上げた“比べられない場所”…成功へと導いたパブリックイメージを覆す“責任感”
プロデュース“される側”から“する側”になった10年…「企画の段階から、一緒に案を出せるようになりました」
小嶋陽菜自分のブランドを立ち上げたり、会社を作って社長を務める中で、自社の商品をメインに撮影することはあるのですが、グラビアはもちろん自分自身を撮影してもらえる機会がそこまでなかったんです。まずはしっかり会社を経営して、社長としても結果を出したい思いが強くて。中途半端な状態ではやりたくなかったので、意味がある時に出したいなと思っていました。今年は会社としてリリースもありましたし、社長という認識もしていただけている気がしたので、10年越しに出させていただくことになりました。
――撮影はスペインで行われたそうですが、お気に入りのカットや印象に残っている写真はありますか?
小嶋陽菜女の子が好きなカラーリングや衣装、攻めたランジェリー、グラビアっぽい水着から、ファッションぽいところもあって、本当に色々な衣装やシチュエーションで撮影させていただきました。全部お気に入りなので難しいですけど、赤のミニワンピは印象的かも。スペインの郊外で撮影したんですけど、テラコッタの街並みに赤のワンピが映えていて、色のバランスもすごく好きですね。全てお任せの撮影は、ここ数年はなかったのでとても新鮮でした。前回の写真集とほぼ同じチームですごく信頼していますし、色々案を出していただけて楽しかったです。
――ご自身のブランドで撮影するときとの違いも感じましたか?
小嶋陽菜ブランドの撮影では、洋服をよく見せたり、ECページで着映えさせたりする見せ方なんですよね。表情やポーズも自分の中でフォーマットがあるので、余白はあまりないというか。でも写真集では、洋服を売るときには絶対使わないカットや、数枚しかセレクトしない時には選ばないような、抜け感や素っぽい表情を選んでいただいているのも、おもしろかったです。
小嶋陽菜普段は自分で写真のディレクションをするので、“この場所だったらこう撮りたい”という思いは、自分の中で生まれるようになりました。今回も、ホテルで撮影した鏡越しのショットは、最初インスタ用に自分で撮ったものでした。それがすごくかわいかったので、写真集でもそのカットを撮りたいとリクエストして。エレベーターの中でのカットも、ちょうどホテルに帰ってきた時に思いついて、「エレベーター内の全面を映して、映えるカラーで撮ったらかわいくないですか?」って提案させてもらいました。
――自ら魅せ方まで提案するところは、10年前と大きく違うところですかね?
小嶋陽菜そうかもしれないですね。このシチュエーションなら、この色のワンピがいいかもって、合わせ方も頭で想像できるようになりました。10年前はとにかく忙しくて、言われたことをこなすのに精いっぱいでしたけど、今は一緒に考えたり、PRには何が重要か打ち合わせしたりもできるようになりましたね。
部下への発言には最後まで責任を持つ「この人になら言われても仕方ないと思ってもらえるように行動」
小嶋陽菜AKB48時代は、ライブでMCを考えたり演出をプロデュースしたりもしていたので、ファンの方は気づいてくれているのかもしれないですけどね(笑)。でも、テレビに出ている印象は確かにフワっとしていたかもしれないです。当時は自分でも、まさか経営者になるとは思ってもいなかったので。その頃は確かに、自分の意志はあまり言わないようにしていた部分はあります。
小嶋陽菜そうですね。言わないと伝わらないので、「こう思う、こうしたい」ということは言語化するようになりました。
――最初は試行錯誤されたのではないでしょうか?
小嶋陽菜大変でした(笑)。それまでは大勢の前でスピーチするのも、年に1度の総選挙の時ぐらいだったので。毎月のようにそういう機会があるのは初めての経験でしたし、やりながら学んでいく感じでしたね。色々なタイプの女の子がいる環境にいたので、1対1での面談でも、それぞれの相手にあったモチベーションが上がる伝え方や話し方を、試行錯誤しながら見つけていきました。
――先日ご出演されていた番組でも、小嶋さんの部下へのダメ出しの仕方に注目が集まっていました。的確なダメ出しをしつつ、部下や周りを傷つけない言い方・頼み方に大きな反響がありましたが、ご自身で意識されていることはありますか?
小嶋陽菜実はあんまり自覚がなくて。結構言いたいことは言っていると思うんですけど、雰囲気とか声のトーン、しゃべり方なんですかね?(笑)。でも、言ったからには自分がちゃんとやるとか、良いクオリティのパフォーマンスをする、責任を持つこととは大事だと思っています。
――言うからにはちゃんとやる?
小嶋陽菜そうそう、何もしない人には言われたくないじゃないですか。だから、この人になら言われても仕方ない、やっぱりすごいなって思わせ続けることは意識しています。しっかり最後までやりきって、結果は出します。イケてない人に言われたくないだろうから、ビジュアルも保ちたいと思っています。
――会社の社長として成長するために、陰ながらかなり勉強された?
小嶋陽菜いえいえ、本当にやりながら学びました。お勉強はできないです(笑)。ただ、軌道修正能力は高い方だと思っていて。今までの経験上、頑固にならず、言われたことを柔軟に受け入れられる力はあるかもしれないですね。
――新作アイテムの生地の確認や試着など、世に出すものに対して小嶋さん自ら厳しくチェックを行っているとのことですが、クオリティを追求する上でもっとも大切にされてい ることを教えてください。
小嶋陽菜自分のフィルターを通していいなと思ったものを世の中に出したいので、中途半端な状態では出さないことにこだわっています。アパレル、ランジェリー、ビューティーすべてにおいて、少しでも気になることがあったら最後まで修正して、仕上げるようにしています。
仕事優先、プライベートは焦っていない「人と比べなくてもいい場所を作ったのがよかったのかも」
小嶋陽菜もしかしたら私、あんまり人と比べていないのかもしれないです(笑)。焦ってもいないし、いつか結婚もしたいなと思っているけど、今じゃなくてもいいかなと。
――AKB48でアイドルとして活動されている時は、周りと比較される毎日だったのではないでしょうか?
小嶋陽菜そうですね。総選挙の順位、握手会の売り上げや、ポジションと、ずっと比べられる環境にはいました(笑)。でも、それに捉われすぎないように、自分で違う場所を作っていった感じかな。そうしないと、やっていられなかったのかもしれないです。
――違う場所を作ることで、自分を保っていた?
小嶋陽菜はい。アイドルとして活動していたとき、グループのことで悩むことがあっても、別の分野のコミュニティに行くと、たいしたことではない、悩まなくてもいいことなんだと思考をリセットすることができていました。自分が比べられなくていい場所を見つけて、創り上げていった感じです。演技が苦手な私がAKB48を卒業して、もし女優になっていたら、「変だった」とか言われていたと思うので(笑)。それがない比べられない場所を自分の好きな領域の中で探しました。
――今は、仕事を優先?
小嶋陽菜そうですね。社員も80人程いて、スタッフも100人を超えましたし、たくさんの責任があるので。お客様も増えて、毎回コレクションを楽しみにしてくださる方もいらっしゃいます。ありがたいことに、生きがいっていう声もいただくので、その期待に応えたいと思っています。
小嶋陽菜引き続きお客様の期待に応えて、事業を伸ばしていきたいと思っています。アパレルの店舗が増えたり、ビューティーも好調なので、国内外に広げていきたいですね。あとは、自分が積んできた経験を生かして、後輩のやりたいことを支援するとか、下の世代を応援することもしていきたいと思っています。まだまだ発展途中でやりきった感はないので、これからいろいろやりたいですし、自分自身もアップデートしてきたいですね。
(取材・文/辻内史佳)