この記事にはお酒の情報が含まれているため、
20歳以上の方を対象としています。

お客様は20歳以上ですか?

  • ORICON MUSIC(オリコンミュージック)
  • ドラマ&映画(by オリコンニュース)
  • アニメ&ゲーム(by オリコンニュース)
  • eltha(エルザ by オリコンニュース)
  • ホーム
  • ライフ
  • ビールと発泡酒の違いとは? 知っているようで知らない違いについて解説
(更新: ORICON NEWS

ビールと発泡酒の違いとは? 知っているようで知らない違いについて解説

日本では海外、特に欧米とは異なり、ビール以外にも発泡酒という独特の制度がある。本記事では、自宅でビールしか飲まない方、逆に発泡酒をいつも愛飲している方や、ビールと発泡酒の違いに興味を持っている方などに対して、知っているようで知らないビールと発泡酒の違いについて、その歴史的背景や税法などについて紹介する。

知っているようで知らない、ビールと発泡酒の違いとは?

ビールと発泡酒のそれぞれの定義とは?

画像著作者:freepik(外部サイト)

ビールの定義とその歴史


「定義」とは、用語の意味を正確に「限定する」こととされているが、ビールの定義の場合はかなり様相が異なる。ビールの誕生から現代に至るまで、ビールの定義自体がすこしづつ変化しており、使用する原料にも違いがある。また現在でも、日本と外国など、国によっても定義の内容が異なっている。まずビールの定義とその歴史について解説する。

日本人にとっては、ビールは文明開化の時代に西洋からもたらされた新しいお酒というイメージがある。ビールの歴史は、日本酒の起源より古く、世界の人類の歴史と共にあったといってもよい。古代エジプトの時代に製造されていたビールは、現在のようなホップ特有の香りが楽しめる西洋伝統のビールとは違うが、ちゃんと麦を原料(発酵のための糖質源)としてつくられた本格的なお酒(ビール)であった。原料の麦を砕いて発酵させたパンを焼き、このパンをさらに細かく砕いて溶液状にしてから、専用の壺に入れて発酵させていたと考えられている。

紀元前2千年前以上と推定される古代エジプトの「ビール」は、ホップはまったく入っていないが、原理的には現在のビールと同様な手順・工程でつくられていた。

中世の時代となり欧州、特にベルギー地方で現代ビールの起源ともされるグルートと呼ばれる「ビール」が製造されていた。これは、エールのようなビールを味付け、香り付け、腐敗防止のための薬草を配合したもので、原料や製造法は文献にも残っていない。ベルギーではワインの代わりとして広く飲用されていた(ワイン生産にはあまり適さない気候であったことも原因だろう)。その後、現在の南ドイツで、ホップと麦芽のみを使用するビール(ピルスナータイプ)が、当時の「ビール純粋令」(1516年制定)により広く製造されるようになった。

発泡酒の誕生とその定義

発泡酒の誕生とその定義
ビールの歴史からもわかるように、世界各国ではさまざまな種類の原料からつくられていることがわかる。

たとえばベルギーのビールをみると、特に修道院で製造されるビールはその技術に優れ、現在もその製法が伝承されているものが多い。ベリー類などの果実を副原料として添加したものや、いろいろな麦芽の種類を利用するビールも製造されている。ほかにも、各種の天然ハーブ(ホップ以外)を加えることなどの製法が試みられてきた。

これらの特殊なビールは、税法上、果汁などの含有量によって、日本では「発泡酒」扱いとなる。したがって「発泡酒」と日本ではよくいうが、その起源は日本独特の制度上の定義であることにいきつく。つまり、「発泡酒」とは当該原料の種類とその配合(割合)によって定められた、人為的な酒類ともいえる。このため、酒税法における違いについてさらに説明したい。

【参考】「お酒の香りー生物学からみたお酒の世界とその歴史ー」フレグランスジャーナル社, 2015, p11, p15, p16(外部サイト)

ビールと発泡酒の違いとは?

ビールと発泡酒の違いについては、日本では税法上の規定が重要となる。欧米などの各国では、発泡酒という税法上の区分自体がないことが多い。このため、日本における酒税法での違いや、さらに飲んだときの香味の違いについて説明する。

ビールと発泡酒の酒税法上の違い

日本の酒税法では、「ビール」は次のようにイ号、ロ号、ハ号ビールとして規定されている。

イ:麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの(「イ号ビール」)

ロ:麦芽、ホップ、水及び麦その他の「一定の副原料」を原料として発酵させたものである。但し、「一定の副原料」の重量の合計が、「麦芽の重量の50/100以下」のものをいう。(「ロ号ビール」)

ハ:その他の 副原料として、ホップのほか、「麦芽の重量の5/100以下」の重量の範囲内で、「果実又はコリアンダー等の香味料」が添加されたもの(「ハ号ビール」)。なお、ハ号ビールの「果実又はコリアンダー等の香味料」には、下記が認められている。
●果実(果実を乾燥させ、若しくは煮つめたもの又は濃縮した果汁を含む。)
●コリアンダー又はその種
●ビールに香り又は味を付けるために使用する次の物品
 ・こしょう、シナモン、クローブ、さんしょうその他の香辛料又はその原料
 ・カモミール、セージ、バジル、レモングラスその他のハーブ
 ・かんしょ、かぼちゃその他の野菜(野菜を乾燥させ、又は煮つめたものを含む。)
 ・そば又はごま ・ 蜂蜜その他の含糖質物、食塩又はみそ
 ・花又は茶、コーヒー、ココア若しくはこれらの調製品
 ・かき、こんぶ、わかめ又はかつお節

【出典】平成 29 年度税制改正によるビールの定義の改正に関するQ&A(国税庁)(外部サイト)
以上が、日本での酒税法上の定義となる。計算してみると、麦芽51%入りの「果汁入りビール」を製造する場合は、2.55%しか果汁は添加できないことになる(「濃縮果汁」も含むとされているので、さらに果汁の添加量を増やすことも可能とも思われるが、濃縮工程で果汁の風味が変質してしまうこともあり、実際上は使用は困難である)。

このため、リンゴなどの果汁は、対麦芽比率でわずかしか使用できず、たとえばベルギーの修道院ビールのようなベリー類などの果汁入り「ビール」は、日本では「発泡酒」扱いとなることが多い。
スタウトなどの濃色系ビールは、麦芽由来の香味を強調している場合があり、麦芽の乾燥・焙煎工程で生じたカラメル香やコーヒーに似た香りなどを付与している。

【参考】「お酒の香りー生物学からみたお酒の世界とその歴史ー」フレグランスジャーナル社, 2015 p25(外部サイト)

ビールと発泡酒の酒税と販売価格との関係

次に日本におけるビール類の酒税の歴史について触れ、今後のビール類の統一酒税についても解説したい。

ビールと発泡酒の酒税と今後の推移

ビール、発泡酒の酒税について説明する。現在(2024年5月)のビールの酒税は、63.35円である(350ミリリットル缶換算)。これに対して、発泡酒は46.99円であり、発泡酒のほうが16.33円安いことになる(下図)。

【出典】財務省|酒税に関する資料(外部サイト)
したがって、原料や副原料などの価格差がなければ、発泡酒の店頭価格はビールより安く購入できることになる。もちろん、原料面だけではなく、その他のメーカー側の要因にもよるが、少なくとも15円以上は安いことになる。

実は、2026年10月には、ビールと発泡酒の酒税は統一されてしまう(上図参照)。このため、税金の面からは、2026年末には、ビールと発泡酒の酒税格差はなくなり、一律54.25円となるのだ。

国内と海外の事情の比較

日本ではビールの値段が相対的に高いのは、税金の割合によるところが大きい。たとえば、米国では、ウィスキーなどはリカーショップで主に販売されており、それなりの税金がかかる。これに対して、ビール類はソフトドリンク関連飲料とみなされ、税金もウィスキー類よりかなり安く、スーパーなどでケース単位で大量に販売されていることが多い。

日本では、ビール類(発泡性酒類)と蒸留酒類の税金は、1キロリットル当たりではそれほど変わらず、18万1,000円に対して20万円とほとんど同じである(1キロリットルとは1,000リットルのこと:出典は上記の財務省資料より)。

これだけみると、ビールのほうが税金が安い。しかし、アルコール濃度は5%程度のビールに対して、蒸留酒類はアルコール濃度は20%程度あり、濃度換算でみると4倍近い差がある(ビール類のほうがそれだけ高い)ことになる。

海外や米国等ではビール類の税金は、事情がかなり異なっている。たとえば、ニューヨーク州での蒸留酒とビールの1ガロン当たりの税金(米国では州税として徴収)は、蒸留酒が6.44ドルに対して、ビールは0.14ドル(アルコール換算ではない)と、容量当たりでみると約1/45の金額である。アルコール濃度換算でみても約1/10の金額であり、ビールの税金はかなり安く、当然店頭での価格も安くなる。

【出典】JETRO「米国におけるアルコール飲料調査レポート」2024年3月、p36(外部サイト)

今後、発泡酒は味わいを嗜んでみよう

独特な酒税制度のもと、あと数年で税金の面では統一されることになる「ビール」と「発泡酒」について解説した。

現在、海外からさまざまなビールが輸入(一部は発泡酒として)されている。また国内でも大手やクラフトビールメーカーなどで発泡酒は今も販売されており、根強いファンも多い。今後は、発泡酒もビールと同様に嗜むことができる時代になったともいえる。
著者プロフィール

たに おさむ
ビールメーカー技術職として31年間勤務したのち、独立行政法人の技術プランナーとして4年間、大学(東工大)・産学連携コーディネーターとして9年間勤務後、現在はフリーのライターや監修者として活動中。
発酵関連の酵母、麹菌、乳酸菌などの微生物代謝とその生成物(アルコール含む)が専門であり、技術士(生物工学部門)を取得している。西部劇を含むハリウッド映画や、近隣ウオーキングコースを歩くのを趣味としている。

■今回の参考書籍【PR】

飲酒は20歳を過ぎてから。飲酒運転は法律で禁止されています。
妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児に悪影響を与える恐れがあります。
アルコール飲料 TOPへ戻る →

あなたにおすすめの記事

 を検索