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「妻が何度言っても間違えて買ってくる…」“牛乳”と“乳飲料”どう違う? 見分け方をメーカーが解説
似てるけど… 「牛乳」の表記禁じられている「加工乳」「乳製品」それぞれの違いとは
市場の約75%を占めるのは、一般的に「牛乳」と呼ばれている「成分無調整牛乳」だ。『森永のおいしい牛乳』など、もっとも生乳に近いため、コクや風味を楽しめるのが特徴だ。
これに対して、「成分調整牛乳」は生乳から水分や乳脂肪分などの一部を除去しているため、キレがあり、すっきりとした味わい。より脂肪を気にする人のために、さらに乳脂肪分を除去したものが「低脂肪牛乳」。さらに、乳脂肪分が0.5%未満で、ほとんど脂肪が入っていないのが「無脂肪牛乳」だ。
「乳飲料は、嗜好性を高めるために、生乳をベースに、果汁やコーヒー、栄養性を高めるためにビタミン等の乳製品以外の原料を加えたもので、加工乳は、脱脂粉乳やクリーム、バター等の乳製品を加えた製品です。あえて脂肪分を高めた濃厚タイプや、『高タンパク・高カルシウム』など、栄養機能を訴求した商品もあります」(森永乳業・ミルク事業マーケティング部・馬渕 景士さん/以下同)
それぞれに味や価格の違いがあり、細分化したニーズに合わせて展開されている。同社の調査では、牛乳を飲む理由として「カルシウムが摂れる」が一番多く挙がっている。次いで「おいしい」「タンパク質が摂れる」となっており、同じ1杯でも、より多くの栄養素を摂りたい人は「乳飲料」や「加工乳」を好む傾向にあるという。
「各メーカーの任意表示ではありますが、屋根型紙パック500ml以上のサイズの『成分無調整牛乳』は、目の不自由な方が触って分かるように、紙パックの開け口の反対側が凹んだ仕様になっています。それ以外の製品は凹みがなく、平らになっているので、いわゆる普通の“牛乳”を買いたい人は、パック上部の“凹み”があるものを選べば間違いありません」
乳製品カーストに地殻変動? あえて“牛乳じゃない”方を選ぶ層が拡大
メーカーが生産者団体から仕入れる乳価は、ここ1年で2段階ほど高騰。牛を育てる飼料や紙パック資材の高騰などの影響もあり、1年前に比べると、店頭では 30~40円値段が上がっている。
牛乳を購入する世代は、40〜50代女性の比率が高め。実際は夫や子どもなど、家族が飲んでいる場合も想定されるので一概には言えないが、20〜30代の若い世代からは比較的価格が安い物が好まれる傾向に。小さい子どもがいて消費量が多い場合は、効率的に栄養が摂れる乳飲料を求めやすいのだろう。
逆に、『PREMiL』など栄養強化型の乳飲料は、シニア層の構成比が高い。720mlでカルシウムが牛乳の2倍と、カルシウムが不足しやすい高齢者の健康課題にも目を向けたセレクトになっているようだ。
また、世の中の健康志向の高まりに合わせて、豆乳やオーツミルク、アーモンドミルクなど、ミルクの選択肢はさらに広がっていくことが予想される。
「調査では、牛乳飲んでいる人の50%近くが植物乳を“買っている”、“買ったことがある”と答えています。ただ、牛乳はカルシウムやタンパク質などの栄養価値、植物乳にはビタミンなどの美容価値が求められている傾向があり、飲用シーンで使い分けられている印象です」
近年は、子どもの給食でも「ごはんと合わない」として、“牛乳不要論”が議論されることもしばしば。しかし、Jミルクではミルクの合う「乳和食」のレシピを提唱。例えば、牛乳と納豆を合わせた「ミルク納豆」は、納豆のタレを半分入れた後に、小さじ2杯の牛乳をプラス。減塩にもなり、栄養価がアップするなど、新たな牛乳の可能性を提示している。
「私も最初は嘘でしょ、と思いましたが、食べてみると、泡立ちが滑らかになって、すごく美味しいんですよ」
また、ネクストトレンドとして世界的に注目を集めているのが、“おなかにやさしい牛乳”『A2ミルク』だ。流通量が少なく高価だが、飲んだ時におなかを壊しづらいことから、オーストラリアやアメリカなどで需要が高まっている。国内でも日経トレンディ「24年ヒット予測」に選出されるなど、日本人の7割が乳糖不耐症と言われる中、健康志向の高い人たちの間で話題になっている。
「カルシウムやタンパクだけを摂りたいというニーズではなく、複合的な栄養価を摂りたい需要が高まり、個々の健康課題に即した物が求められるようになっていくと思います。栄養価を付加した加工乳や乳飲料は、今後も伸長していくのではないでしょうか」