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加熱式たばこもくさい?「においも副流煙もない」たばこは実現するのか…誕生10年の現在地
今の時代にマッチした“インフューズドたばこ”国内では1社のみ販売、他社が追随しない理由
だが一方で、初代プルーム・テックに始まり、現在もインフューズドたばこを販売しているのは、国内でJTのみ。シェアの大きい海外の企業、アイコスのフィリップモリス、グローのブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンにもない。なぜか。
「海外では選択肢がシンプルであり、紙巻たばこと加熱式たばこ(プルーム・エックスやアイコス)以外に市場の余地がないのです。一方、日本ほど高温加熱、低温加熱など多くの種類が出ている国はありません。日本は異常なほどニーズが細かくて新しいものが好まれ、結果としてカテゴリ数が多くなる傾向があります。これはビールや家電でも言えますね。また、日本は人々が密集して物理的距離が近いため、海外よりもにおいに焦点があたり、それを改善する商品が望まれやすいのではないでしょうか。このへんに、海外のたばこ企業がインフューズド商品を出さない理由があるのではないかと推測します」
とはいえ、10年前にJTが発売したプルーム・テック(低温加熱式)は苦戦し、アイコスやグロー(高温加熱式)に水をあけられた苦い過去がある。当時、アイコスなどは紙巻たばこの代替品となりうる吸いごたえがある一方、プルーム・テックにはそれがなかった。実はそこで奪われた加熱式たばこのシェアは、現在まで影響しているらしい。『ウィズ2』は「たばこのにおいもほぼなく、副流煙もない」という点は時代に合っているとはいえ、勝算はあるのだろうか。
「プルーム・テックを発売した当時とはまた状況が異なり、今は『加熱式たばこもにおいは気になる』と言われるほど、においへの意識が高まった。つまり、プルーム・テックは10年ほど早すぎたんですね。今こそ時代が追いついたと見ていて、吸う人にも吸わない人にも受け入れられやすいのではないかと考えています」
「これなら妻から許してもらえる」との声も、加熱式たばこの未来は?
「吸わない人には配慮を、そして吸う人には多様な選択肢を。様々なニーズがある日本の会社であるからこそ、今後もたばこ問題に真摯に向き合っていきたいです」と、思いを述べる。
紙巻たばこ主流の時代から、吸う人と吸わない人の間では様々な軋轢があったが、その要因である健康懸念やにおいなどは、高温加熱式たばこ、そしてインフューズドたばことなって、どんどん解決に近づいているように見える。喫煙者はこうした製品の特性を理解し、周囲の状況に応じて選択できるといいだろう。たばこにおいても“ガラパゴス”である日本、嗜好品を楽しみ、快適に過ごすにも、多くの選択肢があるのだ。
(文:衣輪晋一)