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『水星の魔女』の“ダークヒーロー”を見事に表現 「ほとんど手を加えていない」のにこのクオリティを担保する驚愕の“魅せ方”とは?

 モビルスーツ(MS)をいかに魅力的に見せるかを日々追求し続けている人気モデラーのpurasさん(@puras9211)。その近作は、先日放送が終了した『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の登場機「ガンダム・シュバルゼッテ」で、多くのフォロワーの賞賛を集め1.1万いいねを獲得した。圧倒的な“ダークヒーロー”感を見事に表現した本作は、同氏いわく「あまり手を加えていない」作品。フォロワーからも「びっくりするくらいのパチクミなのに、恐ろしいくらいの写真技術」といわれている。本作制作の裏側を聞いた。

発売翌日に作品発表「かっこよく戦っていたシュバルゼッテを早く組み立てたい」

  • ガンダム・シュバルゼッテ(一部拡大)  制作・画像提供/puras氏 (C)創通・サンライズ

    ガンダム・シュバルゼッテ(一部拡大)  制作・画像提供/puras氏 (C)創通・サンライズ

――『水星の魔女』登場機の「ガンダム・シュバルゼッテ」が、1.1万いいねを獲得しました。反響はいかがですか?
purasキットに大きく手を加えず、素材ほぼそのままで撮影した写真でも、こんなにも多くの反応がいただけたことをとてもうれしく思うと同時に、撮影方法やポージングの奥深さについて改めて再認識を致しました。
 いただいたコメントで「こんなにいい出来ならまたプラモデル始めたい」「シュバルゼッテが欲しくなる」と私の写真がプラモデルを触るきっかけになっていることがとてもうれしかったですね。

――『水星の魔女』登場機の「ガンダム・シュバルゼッテ」を制作しようと思われたのは、どのようなきっかけから?
purasアニメ出演の直後に新商品として発売され、すぐに購入しました。MSとして「悪魔のようなライバル機体」という印象があり、劇中で繰り出されるさまざまな攻撃パターンにとても惹かれたと同時に、予想できない動きに緊張感も感じておりました。とにかく、さまざまな装備でかっこよく戦っていたシュバルゼッテを早く組み立てたいと思ったことがきっかけです。

――7月8日に発売されて、9日にSNSで本作を発表されました。その思いがいかに強かったかが分かりますね(笑)。
purasありがとうございます(笑)。シュバルゼッテは、アニメ登場より先にプラモデルが発表され、シルエットや装備の近未来的な雰囲気に、ずっと登場をまだかまだかと待っておりました。ですので、アニメ終盤で姿を表したときはとても興奮したことを覚えています。

――それだけの思いがあった「シュバルゼッテ」ですが、カスタムの方向性に関してはどのように構想されたのでしょうか?
purasとにかく早く組み立てて、いろいろとポージングをしてみたかったので、簡単フィニッシュで制作しました。アンテナシャープ化やスミ入れ、半光沢トップコートで仕上げ、キットの素材をそのまま活かした撮影が出来ればと考えておりました。

ポージングに重要なのは「重力」、撮影に必要なのは「ライティング」

――purasさんといえばモビルスーツを“魅せる”技術が大きな特長ですが、カスタム、ポージング、撮影という3点において、本作ではどのようなことを意識されたのでしょうか?
puras機体の全体を綺麗に写す為「撮影画角」を一番意識しました。
 カスタムについては、各部に見える特徴的なシェルユニットをしっかり写したかったので、各クリアパーツとプラスチックシールのみ光沢トップコートを施し、シールのダークな色合いが写真上ではっきり見えるようにしました。
 ポージングについては、S字立ちにしつつ、脱力感のある腕角度にして強者感を意識したポージングにしました。背部のガーディアンも画角内に入れたかったので、取付位置を左背部に設置し、右側に広げています。
 撮影は、黒背景と陰影を付けるライティングを組み合わせて撮影し、シェルユニットにレフ板で照明を差し込みダークな雰囲気を強調させました。

――本作を見た多くの方が、「ほぼスミ入れトップコートだけ」という事実に驚いていました。逆にいうと、ポージングと撮影でこれだけ多くの人を魅了する作品ができるのだと思うのですが、まず、ポージングについてのこだわりを教えてください。
puras一番こだわったのは、被写体に生命感を与えることです。腕や足の角度ほんの少し変えただけで大きく雰囲気が変わるのがポージングの深いところ。被写体が今にも動き出しそうなポージングを見つけ出せるまで、試行錯誤しながら角度調整を行っております。
 そして、各機体共通で「重力」を意識することが大事だと思っております。腕や足の角度、ポージングごとの武器の構え方など、重力を考えた時に違和感が無いか、動きの最後の静止した状態になっているかを意識すると、自然なポージングに近づくと思います。

――「重力」を意識すると作品が変わってくるんですね。同様に撮影のこだわりを教えてください。
puras一眼レフカメラを使用し、焦点距離105mmのマクロレンズを取り付けて撮影しました。あと、黒背景の半光沢PVCシートを背景として設置した撮影ブースを準備して、撮影しています。ライティングは光で被写体を挟み込むクロスライティングを実施しており、陰影をあえて出して立体感を演出しております。場合によってはレフ板を使用し被写体の明るさを微調整しております。
 撮影に関しても、機体の魅力を最大限に引き出せるように試行錯誤することが一番ですね。カメラ設定、ライティング、構図を調整しながら、「かっこいい!」と直感で思ったらとりあえずシャッターを押して、何枚も撮影した中から数枚を厳選してレタッチし、SNSへ投稿しております。

プラモデルを人に“魅せる”方法は、制作技術以外にもいろいろある

――ガンプラモデラーさんのなかには、制作のクオリティはすごいけど、写真で損しているという方もいらっしゃるように思います。そういった方々にアドバイスをお願いします。
puras被写体へのライティングが特に重要だと感じております。スマホでの撮影においても、機種により差はありますが、ライティングを部屋の照明ではなく、部屋の電気を消してLEDライトなどでライティングするだけで雰囲気が大きく変わると思います。私も最初はスマホで撮影していて、どうすれば上達出来るのか悩んでおりましたが、現在に至った一番のきっかけはライティングを意識するようになったことがとても大きかったと感じます。

――ご自身は、フォロワー2.5万人を誇るトップモデラーでありつつ、積極的に展示会に参加したり、メディアを通じて技術を伝えたりと、個人だけではないつながりを大事にされているように思います。
puras恐縮でございます。私自身、プラモデルの制作技術としてはトップモデラー界隈にまだまだ到達出来ていないと感じております。ただガンプラの魅力を制作や撮影を通し、SNSや展示会などで表現出来る技術としては少しずつですが身についてきたかなと感じております。プラモデルにはさまざまな楽しみ方があり、人に“魅せる”方法も制作技術以外にもいろいろあるんだなと、私の作品や写真を見て少しでも感じていただけたらとてもうれしいです。今後も引き続きSNSや展示会を通じて、プラモデルや撮影を楽しむ輪を広げていけるようなモデラーになれればと思っております。

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