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「これはプロの仕事…!」“写真家”ガンプラモデラ―に賞賛の声、「ファーストブームを共に過ごしたおっさんたちに刺さる作品を」

 ガンプラそのものを大きく改造せず、造形の美しさを生かしながら、丁寧な下処理と塗装を実施。必要最小限のジオラマを使って、最大限に臨場感のある写真作品を発表し続けているhanaさん(@hana41418236/インスタグラムではtsuta772さん)。大掛かりな機材なども一切使わずに、ガンプラをいかに魅力的に撮影できるか、独学で試行錯誤を繰り返しながら作品をSNSに投稿。今ではフォロワー3万人超の人気を誇っている。同氏に自身の撮影方法と、代表作について話を聞いた。

たくさんの試行錯誤が大事「変なポーズでもレンズを覗いたら意外とかっこいい場合も」

 hanaさんは自身の作風について、「私の場合は精巧なジオラマではないですし、クオリティーの高い単体作品というわけでもありません。その場の雰囲気でそれっぽいムードの写真を撮って楽しむというものです。なので、この写真を作品と言っていただいていいのかどうか…」と恐縮するばかり。だが、その作品は、「プロの仕事ですよ…すげぇ」などのコメントが付くほど、多くの人々から賞賛されている。

「インスタでもたまにホントにプロだと思ってくださる方がいらっしゃって…。そう思ってもらえるのはとてもうれしいんですが、実際には素人なんでちょっと気恥ずかしいですね。作品作り自体は丁寧に行っているつもりですが…」

 驚くべきは、その撮影方法。特別な機材は使わず、素人でも揃えられるアイテムで撮影を行っているという。

「実はキチンとした撮影ブースや、三脚などの機材も何も持っていないんです。カメラはiPhoneですし(笑)。照明はバイクキャンプ用のLEDランタンや電気スタンド、背景はホームセンターで売ってる黒画用紙など、身の回りにある身近なモノを使っています。思いついたらサッとセットしてサッと撮る。気構えずにどんどん撮っているうちに、躍動感のあるポーズや構図などを見つけられるようになっていった感じでしょうか」

 構図も、ポーズも、とにかくたくさんの試行錯誤を経て、徐々にコツをつかんでいく。その過程を楽しみながらやることに意味があるそうだ。

「実物を目で捉えるのとカメラのレンズで捉えるのでは全く違うので、距離感や各パーツの角度など、見え方の差を把握できるようになると、より楽に、楽しく撮影できるようになります。カッコいいと思ったポーズもレンズで覗いてみたら何だかイマイチだったり、逆に変なポーズでもレンズで覗くと意外とかっこいいときもあります。とにかく、たくさん撮って、トライ&エラーすることが一番ですね」

緊迫感漂う静けさのなかにたたずむザクたちの不気味さを見事に表現

 さまざまなモビルスーツが、今にも飛び出さんといわんばかりに迫力ある様子の作品が多い同氏の作品。そんななか、自身の代表作ともいえるのが、『機動戦士ガンダム』(=ファーストガンダム)の第10話「ガルマ散る」で荒廃したニューヤークに降り立つザクたちをイメージした『ニューヤーク夜戦』。ド迫力というよりは、緊迫感のある静けさの中にたたずむ指揮官機のシャア専用ザクと、量産型ザクの不気味さが見事に表現された作品だ。

「『ガルマ散る』自体は、物語的に重要な回で非常にドラマチックです。シャアの暗躍、索敵される側の怖さなど…。そのイメージを膨らませてみました。劇中ではこの写真のようなポーズやシーンはないですし、シャアザクもバズーカで武装していてぜんぜん違うのですが、ムード、イメージを楽しむことを優先しています。
 シャア専用ザクが活躍する場面は、ほとんどが初期の宇宙空間でのシーンです。私は、『キットを浮かすためのスタンドは極力使いたくない』『画像加工で消したくない』ということをこだわりにしてます。そのくせちゃんとしたジオラマもないですから、宇宙を飛んでるシーンなんて全然無理なので、地上にしてしまおうと。消去法でニューヤークになっただけなんですよ(笑)。
 実はこの少し前に、ランバラル隊の登場シーン『ジオンの驚異』を再現したカットを撮影していまして、それがすごく好評だったので、それを応用しました。岩場も使いまわしなので、差別化を図るためにこれまでに作っていた手持ちのビル群を追加しました。全然ビルの数が足りないんですが(笑)」

 まるで、ジオン軍の兵士募集の求人やプロモーションのためのポスターのような見事な構図も、ジオラマの少なさを誤魔化すためのものだったと笑う。

「奥行きを感じるようにザクをなめた撮影にして、シーンの一部を切り取ってトリミングしてしまえば、岩場もビルも少なすぎるのを誤魔化せるんじゃないかって思ったんです(笑)。今回、リバイブ版の量産型ザク(写真奥)とリバイブ版のシャア専用ザク(中央)、オリジン版の量産型ザク(手前)を使ったのですが、リバイブ版は立ち姿がとても美しいです。一方であくまで個人的な見解ですが、胴が短いからか、両手でマシンガンを構え、腰を落としたポーズをさせるとちょっとカッコよく見えないと思うんですよ。オリジン版はどんなポーズをさせても絵になる秀逸な可動とフォルムを備えていると思っています。それぞれの特性を活かして、シャア専用ザクは真ん中でシュッとカッコよく決める主役に、オリジン版は手前で力強くマシンガンを構えるポーズで画面に緊張感を与えながらシャアに目線を誘導する役にしました。オリジン版は、ピントをボカしたことで巨大感、威圧感を演出できたのではないかと思います」
 最近では、従来のガンプラを作って展示するという楽しみのほかに、同氏のように、撮影を前提としてガンプラを制作し、写真作品としてSNSなどで発表するという楽しみ方をするモデラーも増えている。

「オモ写やデジラマなど皆さんさまざまなカタチで楽しんでいられますね。どなたの作品にも個性があって見ていて飽きないです。『これはどうやって撮っているんだろう? 自分ならこうするな』って、拝見しながらいろいろ考えるのも楽しいです。また気軽に画像加工できる無料アプリも色々出てきて、表現できる幅が広がってきているのもうれしいですね。私もたまにアプリでエフェクトを追加した画像を作って楽しんでいます」

 今後も「ファーストブームをともに過ごしたおっさんたちに刺さるような写真をまた撮っていきたいですね(笑)」と話す同氏。“おっさん”たちの心に残る、臨場感あふれる作品の発表に期待したい。

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