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「これはプロの仕事…!」“写真家”ガンプラモデラ―に賞賛の声、「ファーストブームを共に過ごしたおっさんたちに刺さる作品を」
たくさんの試行錯誤が大事「変なポーズでもレンズを覗いたら意外とかっこいい場合も」
「インスタでもたまにホントにプロだと思ってくださる方がいらっしゃって…。そう思ってもらえるのはとてもうれしいんですが、実際には素人なんでちょっと気恥ずかしいですね。作品作り自体は丁寧に行っているつもりですが…」
驚くべきは、その撮影方法。特別な機材は使わず、素人でも揃えられるアイテムで撮影を行っているという。
「実はキチンとした撮影ブースや、三脚などの機材も何も持っていないんです。カメラはiPhoneですし(笑)。照明はバイクキャンプ用のLEDランタンや電気スタンド、背景はホームセンターで売ってる黒画用紙など、身の回りにある身近なモノを使っています。思いついたらサッとセットしてサッと撮る。気構えずにどんどん撮っているうちに、躍動感のあるポーズや構図などを見つけられるようになっていった感じでしょうか」
構図も、ポーズも、とにかくたくさんの試行錯誤を経て、徐々にコツをつかんでいく。その過程を楽しみながらやることに意味があるそうだ。
「実物を目で捉えるのとカメラのレンズで捉えるのでは全く違うので、距離感や各パーツの角度など、見え方の差を把握できるようになると、より楽に、楽しく撮影できるようになります。カッコいいと思ったポーズもレンズで覗いてみたら何だかイマイチだったり、逆に変なポーズでもレンズで覗くと意外とかっこいいときもあります。とにかく、たくさん撮って、トライ&エラーすることが一番ですね」
緊迫感漂う静けさのなかにたたずむザクたちの不気味さを見事に表現
「『ガルマ散る』自体は、物語的に重要な回で非常にドラマチックです。シャアの暗躍、索敵される側の怖さなど…。そのイメージを膨らませてみました。劇中ではこの写真のようなポーズやシーンはないですし、シャアザクもバズーカで武装していてぜんぜん違うのですが、ムード、イメージを楽しむことを優先しています。
シャア専用ザクが活躍する場面は、ほとんどが初期の宇宙空間でのシーンです。私は、『キットを浮かすためのスタンドは極力使いたくない』『画像加工で消したくない』ということをこだわりにしてます。そのくせちゃんとしたジオラマもないですから、宇宙を飛んでるシーンなんて全然無理なので、地上にしてしまおうと。消去法でニューヤークになっただけなんですよ(笑)。
実はこの少し前に、ランバラル隊の登場シーン『ジオンの驚異』を再現したカットを撮影していまして、それがすごく好評だったので、それを応用しました。岩場も使いまわしなので、差別化を図るためにこれまでに作っていた手持ちのビル群を追加しました。全然ビルの数が足りないんですが(笑)」
まるで、ジオン軍の兵士募集の求人やプロモーションのためのポスターのような見事な構図も、ジオラマの少なさを誤魔化すためのものだったと笑う。
「奥行きを感じるようにザクをなめた撮影にして、シーンの一部を切り取ってトリミングしてしまえば、岩場もビルも少なすぎるのを誤魔化せるんじゃないかって思ったんです(笑)。今回、リバイブ版の量産型ザク(写真奥)とリバイブ版のシャア専用ザク(中央)、オリジン版の量産型ザク(手前)を使ったのですが、リバイブ版は立ち姿がとても美しいです。一方であくまで個人的な見解ですが、胴が短いからか、両手でマシンガンを構え、腰を落としたポーズをさせるとちょっとカッコよく見えないと思うんですよ。オリジン版はどんなポーズをさせても絵になる秀逸な可動とフォルムを備えていると思っています。それぞれの特性を活かして、シャア専用ザクは真ん中でシュッとカッコよく決める主役に、オリジン版は手前で力強くマシンガンを構えるポーズで画面に緊張感を与えながらシャアに目線を誘導する役にしました。オリジン版は、ピントをボカしたことで巨大感、威圧感を演出できたのではないかと思います」
「オモ写やデジラマなど皆さんさまざまなカタチで楽しんでいられますね。どなたの作品にも個性があって見ていて飽きないです。『これはどうやって撮っているんだろう? 自分ならこうするな』って、拝見しながらいろいろ考えるのも楽しいです。また気軽に画像加工できる無料アプリも色々出てきて、表現できる幅が広がってきているのもうれしいですね。私もたまにアプリでエフェクトを追加した画像を作って楽しんでいます」
今後も「ファーストブームをともに過ごしたおっさんたちに刺さるような写真をまた撮っていきたいですね(笑)」と話す同氏。“おっさん”たちの心に残る、臨場感あふれる作品の発表に期待したい。