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“ドジっ子”量産型ザクの痛々しい姿にSNS大ウケ、盛大にケガしたガンプラのモデルはまさかの「自分」

 痛々しげにギブスと包帯を巻き、右手に持ったザクマシンガンを松葉づえ代わりにする量産型ザク。本作は、モデラーのYouichi Noakiさん(@atm_09_m)が2021年に制作したものだが、最近になってSNSに再掲載したところ「笑いました」「アイデア抜群」など、国内外のフォロワーから賞賛された。なぜ、このタイミングで再掲したのか? 制作の裏話とともに、同氏に話を聞いた。

“弱っちい量産型ザク”をどう表現するか、一瞬の閃きで「ケガさせちゃえばええやん」

――『ギブスザク』が、3500件超のいいねを集めました。この反応をどのように受け止めていますか?
Youichi Noaki一晩中通知が鳴りやまず、月並みですが、ビックリしたの一言です。今までこんな経験自体したことがなかったので。実はこんなご時世なので、きっと批判的なご意見も多々あるだろうと憂鬱になってたんですが、「面白い」や「アイデアが斬新」とお褒めの言葉をいただきとてもうれしかったです。そして何より“彼”のケガをご心配していただく方も多くて、それが印象的で、世の中まだまだ捨てたもんじゃないなと思いました(笑)。

――本作は過去作とのことですが、なぜこのタイミングで再掲載されたのですか?
Youichi Noaki「#弱者感のあるプラモ写真みせて」というタグが流れてきたんです。これを見たとき、本作を制作したときの「弱っちい量産型ザク」というテーマを思い出しまして。コンセプトが合致したので、初出から2年の歳月が経って再び「“彼”の出番がやってきたな」と軽い気持ちで投稿してみました。

――なるほど、そうだったんですね。そもそも2年前、どのようなアイデアから本作を制作されたのですか?
Youichi Noakiツイッターのつながりで、私が勝手に師と仰いでるセンスの塊みたいな方がいるんですが、その方が定期開催されている「フェス」があったんです。その時のテーマが「弱っちい量産型ザク」やったんで、単純に「ケガさせちゃえばええやん」って一瞬で閃いてしまいました。本当は、「ただでさえ弱っちい量産型ザクをどう弱っちく表現するかで試行錯誤を繰り返しながらとても悩みました」と書きたいところですが(笑)。

ケガのモデルはまさかの自分「1年前の事故を投影したら面白いかな」

――モビルスーツの負傷というと、ガンプラではウェザリングという発想になりますが、本作は、人間と同じようにギブス&包帯を巻くというアイデアの勝利だと思います。
Youichi Noakiプラモデル制作において、デカール貼りとウェザリングのセンスと技術が致命的になく、バトルダメージやウェザリングといった正攻法では到底皆様には太刀打ち出来ないのは、自分自身が一番分かっていました。なので、それを全力で回避した結果が彼です(笑)。
 実は制作の1年くらい前に、通勤途中にスクーターで事故に巻き込まれ、肋骨6ヵ所、右足骨折、腎破裂、右肺血気胸、上腕二頭筋挫創と豪快にやらかしてまして。そのころの自身をそのまんま“彼”に投影したら単純に面白いかなって思いました(笑)。そういえば今回、当時アキレス腱の治療院さんから「いいね」もらってたの思い出しました(笑)。

――まさかのご自身のケガの経験を投影された作品だったんですね。ちなみに、このザクは、どのような背景でケガを負ったのか、詳しく教えてください。
Youichi Noakiダメっ子の“彼”が戦闘要員の皆さんの帰還後のドック整理中に上官のマシンガンを拾い上げてラックにかけようとしたところ、足元のちょっとした段差にけつまずき、手を着いたところに空のコンテナが…以下ピタゴラスイッチ的な連鎖でこんな姿になりました(泣)。ケガは頭部打撲、右足アキレス腱断裂、左腕骨折といったところです。

――ドジっ子にしては、被害が甚大ですね(笑)。ちなみに、その後の姿としてリハビリ中の姿も制作・公開されています。その後、このザクは無事回復したのですか?
Youichi Noakiご心配ありがとうございます。リハビリも終わって無事に退院しております。その後はビーチにてバカンスを楽しんだり、ちょくちょくいろんなフェスにも顔を出したり元気に過ごしております。昨年末にはついに初陣も経験して随分とたくましくなりましたよ。

――すばらしいですね(笑)。
Youichi Noakiありがとうございます。実は、制作自体はさほど苦労はなかったんですが、彼を取り巻くバックグラウンドの設定を考えるのが大変でした。聞かれなければ決して表に出ることはないんですが(笑)。

――このザクにはどんな設定があったのですか?
Youichi Noaki本来のモビルスーツは、パイロットが操縦して云々…ですが、彼の設定は完全AIの無人機です。高度なAIなんで人と同じ様に個々に性格、クセ、得手不得手など個体差があって、彼の場合は典型的な「あかんたれ」(関西の方言でダメな人、意気地のない人)です。もちろん、いい意味でのですよ(笑)。

包帯の正体は、百均で見つけたパンツの替えゴム「見た目が包帯っぽかったので即採用」

――いい意味の「あかんたれ」だからこそ、フォロワー内外の方々にこれだけ愛される存在になったんですね。ちなみに、この包帯やギブスはどのように制作されたのですか?
Youichi Noaki包帯の素材と杖をどうするかは、一番の悩みどころでした。包帯は最初、布やティッシュペーパーを短冊状に切ってみたんですが、手間のかかる割には包帯っぽく見えなくて、しっくりこなかったんです。
 なんかええもんないかと、百均を徘徊してた時に見つけたのが、なんとパンツの替えゴム(笑)。試したところ、厚みはあるものの見た目が包帯っぽかったんで即採用。
 杖に関してはモビルスーツに松葉杖は似合わんなということで、ザクマシンガンのバレルを延長して座頭市よろしく仕込杖的な感じで採用。包帯も十分似合ってないし、杖も全然仕込まれてないんですが(笑)。ちなみに三角巾はティッシュペーパーです。

――アイデア満載ですね。完成後のこのポーズも弱っている感じがしていいですね。
Youichi Noakiありがとうございます。「病室からトイレに移動中に突然写真を撮られてキョトンとしてるような表情」みたいに日常の何げない雰囲気が出せればと意識してみました。伝わってますかね(汗)。

――十分伝わっています。本作も含め、ご自身の作品を拝見すると、アイデアに富んだ非常にユニークな作品が多い印象です。ガンプラを制作するうえで一番大切にしていることはどのようなことですか?
Youichi Noakiズバリ「直球勝負出来ない時は変化球で勝負すること!」。なんて書いちゃうとカッコいいのかもしれませんが、自身の場合あくまで趣味なんでのんびり・楽しく・末永く続けていけたらいいなと思ってます。叩いたり、叩かれたりなんて誰もええ気なんてせんから、今回みたいにたまたまでも目に留めていただいた方々がちょっとでも「クスッ」ってしていただけたらそれで何よりです。

――素敵な趣味ですね。では最後に、Youichi Noakiさんにとって「ガンプラ」とは?
Youichi Noakiミリタリー系とか実在するものとは違って、架空の物なので「こうしないといけない」「ああしないといけない」という縛りが一切ない。だから想像力をかき立てて思うがまま自由に、自身の表現が出来る手段であり、数少ない一生涯の趣味やと思います。

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