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広がる『家電レンタル』 “お試し”利用の急増、「買う」より「借りる」時代に?
家電トレンドは“必需品”から“嗜好品”に、最新モデルお試しや「セカンド冷凍庫」ニーズも
「最初はそもそもニーズがあるのか不安でしたが、サービス開始後思ったよりも反響をいただけて、2人で立ち上げた会社で月商50万〜100万ぐらいになりました。当初はチェキやゴープロ、360度カメラなど、9割がニッチなカメラのレンタルサービスで、20代の方に多く利用いただいていましたね」(レンティオ代表取締役社長・三輪謙二朗氏/以下同)
「一時的な利用のレンタルで人気なのは、冬の間だけ使うヒーターや、高圧洗浄機、ビデオカメラなど。一定期間試してから買うタイプではシャワーヘッド、サブスク型の購入ではルンバやホットクックが人気です。若い層に人気なアイテムは、スマホで玄関の鍵を施錠・開錠できるスマートロックや、プロジェクターですね」
「コロナ禍を受けて、冷凍麺から冷凍パン、冷凍弁当など、各社が冷凍食のラインナップを広げていますが、冷凍食品を買いだめすると、自宅の冷凍庫がパツパツになることも多いですよね。“セカンド冷凍庫”があればプラスでかなりの量保管ができるので、生活がかなり楽になるという声を頂いています」
毎年最新モデルが発売される家電業界…大量生産・大量消費から抜け出す「レンタル」という選択
例えば、ロボット掃除機について、サービスを利用した人のうち、購入意欲がある人が7割を超える結果が出ている。同社では、こうしたデータもメーカーに提出して相互作用を生み出せる強みもある。また。サービスがさらに大きく伸びるきっかけになったのは、'20年に導入したサブスク型の購入制度だ。
「レンタルを繰り返すうちに、10万円の商品に20万円お支払いいただくことになってしまう方もいて。であれば、どこかで期間を区切って、それ以降は差し上げますという形にした方がいいのではと考えました」
そして現在、同社が取り扱う家電の数は、掃除機や照明など生活に必要な家電はもちろん、コーヒーメーカー、ホットプレートなどのキッチン家電、医療やベビー用品など、3300種類以上、18万点に上り、月間の利用者数は11万人を突破。1人でも要望があった家電は、積極的に取り扱ってきたという。
「購入に迷いがなければ、もちろん買った方がいいと思いますが、シャワーヘッドやドライヤーなどの美容家電は、自分の肌や髪質に合うかを試してから選んだほうがいい物もあります。購入を悩んでいるかどうか、そして使う頻度や使用目的も、レンタルを利用する指標になると思います」
これまで家電のニーズやトレンドは、量販店によってコントロールされてきたところが大きい。しかしレンタルサービスが広がることで、間に介する業者がなくなり、メーカーと消費者の距離がより近くなるのも大きな変化だ。いつでもやめられるサブスク型の利用は、若者やファミリー層だけでなく、終活を考える高齢者にも処分の手間を省く便利なサービスになるに違いない。大きな可能性を秘めたレンタルサービスの今後に注目したい。
(取材・文=辻内史佳)
家電レンタル&サブスク:レンティオ(外部サイト)