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(更新: ORICON NEWS

“一畳”広い部屋を借りるよりむしろ得?引っ越し難民もすがる「収納サービス」人気と実態

 4月から入学・就職・転勤など新生活のタイミングで、引っ越しや大掃除を考えている人も多いはず。最近、1人暮らしやマンション暮らしの人に人気なのが、レンタル収納やトランクルームといった“収納サービス”。市場規模は年々拡大しており、20年度末には800億円を超えるといわれている。温度・湿度の徹底管理、配送無料、不要になればオークションサイトに代理出品してくれるなど、サービスも多様化しているが、その実態とは。

サービス多様化で市場規模は10年で倍成長、背景には住宅スペース縮小

 都内を中心に10年で倍増した収納サービス市場。背景には、都心部への人口集中による地価上昇や住宅の収納スペース縮小があると考えられる。国土交通省によると、日本の新設住宅の1戸当たり床面積は20年前より約12平方メートル減った。年々増加するトランクルームの数は、いまやファミレス店舗数とほぼ同じだという。

 収納サービスは、屋内のロッカーや屋外の倉庫などに定額制で荷物を預けることができ、衣類や思い出の品、あまり使わないけど捨てられない物などの収納に使われている。スペース一角をそのまま借りるプランや段ボール等に私物を詰めて預けるプランなどサイズも様々で、sharekuraでは月額100円〜、Day倉庫では1日15円〜荷物が預けられる。

 さらに、拡大する需要に合わせて各社のサービス差別化も激戦状態。sharekuraは預けた荷物の1点1点の撮影データが届くため、何を入れたかわからなくなることがない。さらに、アイテムごとの出し入れもスマホ1つで配送業者が自宅まで来てくれる。ゴルフバックやスキー、スノーボードなどを預け入れ、倉庫から直接ゴルフ場やスキー場に発送まで可能。そのほか、minikuraでは衣類をハンガーにかけた状態で保管してくれる。
 そんな中、4年前にサービスを開始したサマリーポケットは、年平均成長率300%という急成長を遂げている。都内の1畳当たり平均家賃相場の1/3程度の価格で同面積収納スペースを提供しており、衣類や布団のクリーニングや靴の修理までしてもらえるオプションサービスも好評だ。実際、どのような人がどのように利用しているのか、サマリーポケット広報担当の清水万稚さんに聞いた。

思い出の品やアウトドアグッズ、引っ越し難民、災害対策にも 広がる活用法

 ユーザーのボリュームゾーンは25〜45歳で、最も多いのが30代。女性は季節ものの洋服、男性は趣味のコレクションや書籍などの利用が多いとのこと。そのほか、同社ではsharekura同様、預けられた荷物をスタッフが1枚1枚写真に収め、画像一括管理ができるため、お子さんの描いた絵や工作などの思い出の品を写真として管理する人もいれば、フィギュアや漫画などのコレクション品の保管、そのほかキャンプ用品やスキーウェアといった、季節外のかさばるアウトドアグッズの保管としても活用されている。

 「収納サービスを利用する最大のメリットは、自宅にある物が減ることで、掃除や片付けが楽になり、すっきりとしたお部屋で快適に過ごせるようになることが一番だと思います」と話す清水さん。また、同社では倉庫業のプロ・寺田倉庫が荷物保管を担当しているため、堅牢なセキュリティと最適な温度・湿度で荷物を徹底管理しており、自宅のクローゼットよりも良い環境で保管することができることや、不要になった物のヤフオク代理出品等のオプションサービスも喜ばれているという。
 また、これからの引っ越しシーズンに入ると、収納サービス業界も繁忙期を迎える。年々深刻化する人材不足や料金高騰により引っ越したい日に引っ越せず、荷物の行き所に困った“引っ越し難民”が、今すぐには使わない荷物を預ける手段として活用されている例もある。いざ引っ越す際も、あまり使わない物はそのまま預けておけば、荷造りや荷ほどきの労力削減、引っ越し費用の節約にもつながる。(サマリーポケットでは最低2ヵ月間からの預かり)

 清水さんは、「収納を見直すことは防災対策になると考えます」と加える。大きな被害をもたらした阪神淡路大震災などの死因の多くは、寝ている時に家具などが覆いかぶさったことによる即死だったという。「昨今の狭小化住宅では収納がないワンルームも多いため、ベッドの周りに背の高い収納ボックスを置く人も多数いらっしゃると思いますが、耐震補強をしていても、大地震では崩れてしまうこともあります。収納をアウトソーシングすることは、防災や減災に繋がることもあるんです」とのこと。物を減らすことで、防災グッズや備蓄のスペースも生まれる。

 単なる“物の整理”にとどまらず、様々な形で広がっている収納サービス。サマリーポケットは、今後預けている物を自由に貸し借りするプラットフォーム作りの構想もあるという。“ミニマリスト”という言葉が流行ったこともあったが、最近では特定の拠点を持たず、ホテルやゲストハウスなどの宿泊施設を利用しながら暮らす“アドレスホッパー”など、新たなライフスタイルを選択する人も増加している。シェアリングエコノミーが年々拡大し、あらゆる価値観が多様化していくで、これからは家の“中”だけではなく、“外”も活用した収納術が当たり前の時代になってくるかもしれない。

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