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福本莉子×古川琴音、『セカコイ』“親友”対談 「記憶」と「記録」について語る

福本莉子、古川琴音(C)ORICON NewS inc.

福本莉子、古川琴音(C)ORICON NewS inc.

 公開中の映画『今夜、世界からこの恋が消えても』。眠りにつくとその日の記憶を失ってしまう、実在する難病「前向性健忘」を患ったヒロインと、そんな彼女を献身的に支えるも、自らも大きな秘密を隠し持っている主人公の儚くも切ない愛の物語。主人公・神谷透を道枝駿佑(なにわ男子)、ヒロイン・日野真織を福本莉子が演じる。今回、福本と、物語の鍵を握る真織の親友・綿矢泉を演じる古川琴音にインタビュー。完成した映画の感想や、記憶と記録にまつわるエピソードなどを聞いた。
――完成した作品の感想は?

福本台本を何度も読んで、全部わかっているのに、後半、泣いてしまいました。原作小説の山場が見事に映像化されていて感動しました。

古川キラキラした青春映画になっていて、ホッとしました。私はある“うそ”にもがき苦しむシーンがあるのですが、もがいて出た汗さえもキラキラ飛び散るようなシーンになっていて。頑張って、泉を演じて良かったと思いました。

――福本さんは、本作の三木孝浩監督とは『思い、思われ、ふり、ふられ』(2020年)に続いて2作目でしたね。

福本『思い、思われ、ふり、ふられ』で私が演じた由奈というキャラクターより、真織は少しだけ社交的とか、三木監督と「由奈」という共通認識があったおかげでキャラクターをつかむ手がかりを見つけやすかったという部分もありました。ただ、毎日、記憶と経験がリセットされるというのは、本当に手探りでした。

 その苦しみは想像もつかないといいますか、自分が想像している苦しみを絶対上回ってると思うんです。今までできたことができない、勉強もできない、友達づきあいもできない、しかも真織はまだ高校生。多感な時期でもあります。毎日つけている日記だけが頼りで、それに囚われていて、そんな日常を考えるだけで、しんどかったですね。撮影中はとにかく必死でした。

 朝早く起きて、日記できのうまでのことを復習しながら、記憶はないけれど、透くんにひかれていく。それをお芝居でどう表現したらいいのかが、難しかったです。撮影が後半になればなるほど難しくなっていきました。道枝さんとの共演は2回目で、古川さんは初共演でしたが、3人のシーンの撮影を重ねていくうちに、現場でどんどん仲良くなっていくじゃないですか。それなのに、本番で透くんのことを覚えていなくて、初めて会った人で、なおかつそのことを悟られないように振る舞う、というのが難しかったです。

映画『今夜、世界からこの恋が消えても』より。日野真織(福本莉子)(C)2022「今夜、世界からこの恋が消えても」製作委員会

映画『今夜、世界からこの恋が消えても』より。日野真織(福本莉子)(C)2022「今夜、世界からこの恋が消えても」製作委員会

――古川さんは、三木監督は初めてでしたね。撮影を振り返っていかがでしたか?

古川三木監督の作品を観ては“こんな青春があったらいいな”と思っていたので、“監督の作る世界に入れるんだ!”と、とてもうれしかったです。久しぶりの高校生役も楽しみだったのですが、泉は後半、十字架を背負う役でもあったので、複雑な状況を頭では分かっていても心が追い付かなくて、必死でした。

 福本さんは、真織は「今までできたことができない」とおっしゃっていましたが、泉から見ると真織は「今できることをどんどん作っていく」というか、不自由な生活の中でも今何ができるのかを常に考えて、前向きに生きている。真織の付せんだらけの部屋を見て、泉の方が奮い立たされている部分も多かったのではないか、と思いました。真織を演じる莉子ちゃんがどのシーンもみずみずしく、すごくキラキラしていて、こういう穢れない存在を泉は守りたかったんだなと、莉子ちゃんを通して感じることができて、お芝居に活かすことができたのも良かったです。

――印象に残っているシーンはありますか?

福本一つ、とても好きなシーンがあるんです。泉ちゃんの家に行くために、駅で透くんと合流するシーンで、泉ちゃんが透くんにカバンを投げつけるんですが、あれアドリブだったんですよ。それがなんか泉ちゃんらしくて、すごく印象に残っています。

――アドリブだったんですか?

古川何だろう、あの時、とっさに神谷を試したくなったんだと思います。いきなりカバンを放り投げても、ちゃんと受け取ってくれるいい奴なのかどうか(笑)。

映画『今夜、世界からこの恋が消えても』より(左から)神谷透(道枝駿佑)、日野真織(福本莉子)、綿矢泉(古川琴音)(C)2022「今夜、世界からこの恋が消えても」製作委員会

映画『今夜、世界からこの恋が消えても』より(左から)神谷透(道枝駿佑)、日野真織(福本莉子)、綿矢泉(古川琴音)(C)2022「今夜、世界からこの恋が消えても」製作委員会

『今夜、世界からこの恋が消えても』予告編

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