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暴露系YouTuberが訴えられない理由…弁護士の見解は?「本来ならばプラットフォーム側が監督すべき」

 YouTube『東谷義和のガーシーch【芸能界の裏側】』が話題になるとともに、芸能界は戦々恐々としていると言われている。東谷氏は芸能界に広い人脈を持ち、タレントに様々な便宜を図ってきたと語る人物。これまで同チャンネルでは、人気俳優らが真偽不明ながらその裏側を暴露され、性加害や詐欺といったワードまで飛び出した。芸能事務所側も反論のコメントを寄せているが、事態はまさに泥沼の様相を呈している。こうした暴露は、法的に問題はないのか? また、それを管理運営するプラットフォーム側にも、責任はないのか。レイ法律事務所の河西邦剛弁護士に聞いた。

「表現の自由VS名誉毀損・プライバシー権侵害の闘い」、リテラシー問われる受け取る側

 『東谷義和のガーシーch【芸能界の裏側】』は、チャンネル開設とともに瞬く間に話題になり、現在登録者数は118万人。東谷氏は、これまでアテンドしてきた芸能人たちから手のひらを返されたと激怒し、暴露系YouTuberとして活動を始めたという。これに対し、芸能事務所側も反論するなどしているが、現状は東谷氏のチャンネルが規制されることもなく、登録者数を増やしている状況だ。

 これについて河西弁護士は、日本において法律上で強く保護されているという“表現の自由”が関係していると語る。「いわば、表現の自由VS名誉毀損・プライバシー権侵害の闘いです。これまでは週刊誌が同じようなことをやってきていたのですが、昨今のSNSの発達によって、個人でもそれが行えるようになってきた。表現の自由の名のもとに、芸能人のプライバシーに踏み込んでいるという意味では、両者は同じです。では週刊誌と個人メディアの違いは何かと言えば、組織としてのチェック機能があるか、ないかになります」

 週刊誌では基本的に、こうした暴露情報について、裏取りの取材、編集者や校閲者など、いくつかのチェックを経て発行される。だが個人の場合は組織的なチェックは基本的にない。情報を裏取りする者もなく、さらに例えば、発信者が復讐心などから感情的になってしまった場合、より過激な伝え方をしてしまう恐れもあるということだ。

 「ここで大切になってくるのは、受け取り側のリテラシーです。インターネット黎明期から、2ch(現5ch)創設者のひろゆきさんが『嘘は嘘と見抜ける人でないとネットを扱うのは難しい』と話していましたが、受け取り側が東谷さんの言葉をどう捉えるか、冷静な判断が重要。週刊誌やワイドショーでも同様のことは言えますが、個人メディアやネット情報の場合はより一方の意見が強調されてしまうので、受け取る側が意識しなければなりません」

芸能人側が訴える方法は2つ、だが裁判になったときのデメリットは大きい

 では、こうしたプライバシーに踏み込んだ話を暴露された場合、暴露された側は訴えることができるのか。

 「芸能人側が訴える方法は主に2つ。名誉毀損とプライバシー権侵害です。名誉毀損で言えば、それが真実であるかどうかが最も重要。暴露された内容が真実でないならば、名誉毀損が成立します。真実の場合には名誉毀損には該当しますが、違法性阻却事由があるので違法性が欠けるのです」

 さらに『ガーシーch』の場合、芸能事人側が東谷氏を訴えづらい事情もあるという。

 「もし訴えて裁判になった場合、東谷氏も反論反証ができます。東谷氏が事実であるとの証拠を出してくるとすると、より一層聞かれたくないことが明るみになる可能性がある。芸能人側も、暴露を嘘だと証明する過程で、付随する探られたくない情報まで裁判で明らかにすることになる。これではデメリットの方が多く、ゆえに芸能事務所も躊躇してしまうわけです。しかも芸能事務所側が裁判を起こせば、より大々的にメディアで取り上げられ逆効果にもなりかねません」

 次にプライバシー権侵害についてだ。これはプライバシー情報を暴露した場合に訴えられるもの。裁判での争点はプライバシー情報に該当するかが中心となり、東谷さんの発言が事実かどうかは必ずしも争点にならないし、東谷さんの反論反証のやり方によっては結果的に東谷氏の発言が事実であるということを証明してしまう結果になる可能性すらあるという。

 「ただし、東谷さんは動画内で『潰す』『出演作品などが公開される最も効果的なタイミングを見計らってさらしていく』などの発言をしています。この内容が事実無根だった場合、偽計業務妨害罪に問うことが可能です。タレントとしての業務を妨害したということで、これも違法行為となります」

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