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キメハラに代表される「なんでもハラスメント時代」、問題提起の一方で弊害も

  • 興収300億超えを果たした『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』のポスター

    興収300億超えを果たした『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』のポスター

 「鬼滅まだ観てないんだ? 絶対観たほうがいいよ」――。公開中の映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の大ヒットを受け、“キメハラ”という言葉が取り沙汰されて久しい。ほかにも、リモートワークが増加すると“リモハラ”という言葉も登場した。このように、昨今は新たなムーブメントや流行りがあると、すぐに“○○ハラ”とハラスメントと結び付けた言葉が話題になる。もちろん、問題を表面化することは悪いことではないが、“○○ハラ”を量産することには弊害もあるという。レイ法律事務所の舟橋和宏弁護士に話を聞いた。

『鬼滅の刃』ブームで話題の“キメハラ”、日常会話レベルでは法的に問題になりにくい

 “キメハラ”とは、“『鬼滅の刃』ハラスメント”のことだ。社会現象化する『鬼滅の刃』について、映画やアニメ、漫画を「まだ観てないの?」「観るべきだ」などと押し付けること、「鬼滅が面白くないなんて、わかってない」などと好みを否定すること、また「鬼滅に興味がない、好きではない」と他人に言えない同調圧力的な雰囲気を指す。

 11月3日に放送された情報番組『グッとラック!』(TBS系)でも取り上げられ、SNSでは「わかる。これを言われるともっと観る気をなくす」「私が好きな作品より『鬼滅の刃』の方が面白いとか、好みを否定しないでほしい」といった反応が見られた。

 ハラスメントというと、なにか重大な問題のようにも捉えてしまうが、舟橋和宏弁護士は“キメハラ”について、「それがただちに犯罪になるとか、損害賠償が認められるかと問われると、難しい」と説明する。「ハラスメントという言葉を直訳すると、“嫌がらせ”や“嫌なこと”となります。観た、観てないという押しつけ行為は確かに言われる側にとって嫌なことになり得ますが、だからと言って法的に問題かと言えば、そこへたどり着くまでには数々のハードルがあります。日常会話レベルでは、そこはなかなか超えられないと思います」

ネットの相談では見かけても、「実際に相談しに来た人は一人もいない」

 例えば、同じハラスメントである“パワハラ”、職場のパワーハラスメントの要素として厚生労働省は次の事項を掲げている。【1】優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること、【2】業務の適正な範囲を超えて行われること、【3】身体的もしくは精神的な苦痛を与えること、または就業環境を害すること。これらの要素をすべて満たすものが職場のパワハラとされ、さらに、パワーハラスメントに当たる典型例として、身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、私的なことに立ち入る個の侵害、などが挙げられている(厚生労働省『パワーハラスメントの定義について』より)。

 パワーハラスメントとして違法と判断された場合、パワハラの加害者は暴行罪や名誉毀損罪などに問われる可能性があるし、被害者は会社に対して使用者責任に基づいて損害賠償を求めることも考えられる。過去の判例でも、職場のパワハラによって自殺した社員に対し、多額の賠償金が認められたケースもある。

 日常会話レベルの“キメハラ”が、損害賠償などが認められるようなものまで発展するかと考えると、難しいだろう。実際、「キメハラを受けた」との訴えはネット相談では見かけることはあるものの、「少なくとも、実際に相談しに来た人は一人もいない」とのこと。「ただ、嫌がる人もいることは確かなので、その意味ではトラブルの種になってしまいます。“キメハラ”も、やらないにこしたことはありません」

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