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「最期までがんばった…」病気で見捨てられた? 抗がん剤治療も耐えた甘えん坊猫の穏やかな旅立ち

 猫の死亡の原因として、数多いのが“がん”。猫にも良性腫瘍と悪性腫瘍があり、転移する腫瘍が悪性とされ、がんと呼ばれている。遺伝子の変異により悪性腫瘍になっても、治療で完治する場合もある。そんながんにおかされ、昨年の12月に旅立った「ヒャンヒャン」について、NPO法人『ねこけん』代表理事・溝上奈緒子氏に聞いた。

ある日、『ねこけん』のシェルター前に突然あらわ瀬れたヒャンヒャン

シェルター前に現れ「ヒャーン、ヒャーン」と鳴く猫、がんの進行止まらず…

 「『ねこけん』のシェルターの前でボランティアメンバーが発見し、保護した猫」だというヒャンヒャン。「ヒャーン、ヒャーン」と鳴きながらすりよってきたことから、この名がつけられた。ヒャンヒャンは、当初からとても人慣れしていたそうだ。

 発見したとき、ヒャンヒャンの鼻の下が赤くなっていたことから、ケガをしていると思ったメンバー。保護して病院で診てもらい、原因はわからなかったものの、検査でがんであることが発覚。すぐにがんを切除する手術が施された。

 結局、鼻の下は赤いまま、手術の後も抗がん剤治療を続行。数週間に一度抗がん剤を投与し、順調に治療は進んでいった。だが、抗がん剤治療も残すところあと1回となったとき、検査の数値が思わしくなく、治療は見送りとなる。何度か検査をしたが、最終的に抗がん剤の投与は中止となった。

 とても甘えん坊なヒャンヒャンは、人がいるとすぐにすりすりしてくる。なでると気持ちよさそうに「ヒャーン、ヒャーン」と鳴く。そんな猫だったため、夜中や昼間に無人になるシェルターではなく、人のいる生活圏で暮らすことになった。ボランティアメンバーのもと、ヒャンヒャンはほかの猫たちとのんびりと自由な毎日を送った。抗がん剤治療ができなくなり、がんの進行は止まらない。完治はできないものの、なんとか穏やかに過ごしてほしい。そう、皆が願っていた。

病気で飼い主に見捨てられた?「愛護団体に託すことも、ひとつの責任の取り方」

 「これまで、シェルター近くでヒャンヒャンを見たことはありませんでした。そのため、誰かに捨てられた可能性もありますね。シェルターの場所は一切公表していないのですが、何かのタイミングで知った人が猫を置いていくことが多くて。あるときには、キャリーバッグに入れられたままの猫が捨てられていたこともありました」

 このように捨てられた猫たちは、なんらかの疾患を持っている場合が多いと溝上氏は語る。

 「猫が病気になると、飼い主はとても不安になると思います。重大な病気を患ったときには、介護、看護する時間も必要になりますし、病院へ行けばお金もかかります。でも、決して“捨てる”という行為には及ばないでほしいと願っています。飼った猫は家族であり、家族の面倒を見ることは当然のことですよね。猫を飼うときは、一生面倒を見る強い心づもりが必要です。それでも、どうしようもならなくなったとき、まずは相談してください。動物愛護団体に託すことも、ひとつの責任の取り方だと思います。それができないのであれば、猫は飼わないほうがいい」

 どんな病気を抱えても、ケガをしても、愛護動物を遺棄する行為はれっきとした犯罪。その責任の重さを自覚してから、飼育してほしいと強く訴える。

 病魔に侵され、飼い主から見捨てられたかもしれないヒャンヒャン。だが、保護されて献身的なケアを受け、命をつないだ。何度か危ない状況にも陥るものの、そのたびに復活してきたが、ついにヒャンヒャンが亡くなったとの一報が入った。

 「私たちもできる限りのことはやりました。がんで苦しいときもあったかもしれません。でも、最期はとても安らかな顔をしていました」と、溝上氏は振り返る。人が大好きで、いつも甘えて、すりするしてくるヒャンヒャンはもういない。きっと虹の橋を渡るときも「ヒャーン、ヒャーン」と鳴いて、自分を愛してくれた『ねこけん』メンバーのみんなに別れを告げたに違いない。

(文:今 泉)

■NPO法人『ねこけん』(外部サイト)

■『ねこけん』オフィシャルブログ(外部サイト)

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