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ORICON NEWS
コードネーム『L-MES2』、設計思想だけでなく“ララァの魂”を宿したキュベレイ 「永野護さんの美しいデザインを損なわないように気を付けた」
しなかやな曲線美を持つキュベレイと回想シーンのララァが重ねる
K1ここ最近は水陸両用機体を中心に制作活動をしていたのですが、春頃に制作したハイゴッグの生物的なデザインや大きな肩のデザインがキュベレイに似ていて。「水泳部化計画」シリーズ以外の作品を作る際の、機体選定の第一候補になりました。
――キュベレイといえば、アクシズ(のちのネオジオン)の女性指導者にして、MSのパイロットとしても高い技量を誇るハマーン・カーンの専用機。なぜその機体を、同じ女性のララア・スン仕様にしたのですか?本作制作の背景でイメージした物語を教えてください。
K12018年に公開された劇場作品『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』の劇中のストーリーと設定からヒントをいただきました。
悲劇の最期を迎え、ニュータイプ研究施設で検体となった少女と、その少女の魂を宿したパイロット無人のMSをモデルに、ララァとキュベレイを重ねてみました。ありがちな「もしもララァが生きていたら」という機体設定ではなく、「ララァの魂を宿したMS」というコンセプトで制作することに至りました。
――そのコンセプトはどのように深堀していったんですか?
K1キュベレイの開発コード〈L-MES2〉=ララァの専用モビルアーマーの名称を受け継いでいる機体という点も考慮し、キュベレイである必然性につながっています。また、後の作品において、回想場面で白鳥を模した姿でララァが登場するシーンが記憶にありました。水鳥のようなしなやかな曲線の躯体を持つキュベレイは、そんなイメージにもぴったりとハマり、持ってこいでした。
戦闘力はかなりのものだが、戦わない理由
K1ありがとうございます。『重戦機エルガイム』など、永野さんの携わった作品は全て好きですね。曲線と直線を上手く組み合わせ、細身でありながら力強さと重量感を表現されたデザイン。本当に惚れ惚れしています。
――実際、制作時にこだわったところはどんなところですか?
K1「光の速さでも追いつけそうもない」という『ガンダムNT』のクライマックスのセリフを基にひと目で高速飛行が可能とイメージしてもらえるように追加装備しました。背面の躯体よりも大きなブースタータンクや特長的な肩のバインダー内の推進装置にはこだわりました。
――追加装備も含め、ララァの想いも乗せたキュベレイの戦闘力もかなりのものではないかと予想されます。前述でイメージされた物語の結末はどうなるのでしょうか?
K1そうですね、ファンネルによる遠隔攻撃や接近戦用の巨大なネイルは凶暴なイメージを与え、戦闘力も高いと思います。ですが、このキュベレイは、戦闘には加わることなくララァの魂とともに宇宙を彷徨い、アムロとシャアのふたりを見守っている存在でいて欲しいですね。後の『逆襲のシャア』でのふたりの最後の戦いを見届けて欲しいと。
――なるほど、物語がつながっていくわけですね。本作発表後の反応はいかがでした?
K1たくさんの反響をいただきました。なかでも「ララァの魂が宿る機体に胸が熱くなりました」「妄想が膨らみます」といったように、作品から何らかのインスピレーションを感じ取ってくれたようなコメントは格別にうれしいものでした。
――本作以外にも『ララァ専用ハイゴック』なども制作されていますが、『ララァ専用機』の新たなシリーズが始まるのでしょうか?
K1個人的に、ララァは更なる活躍を期待していたキャラクターのひとりだったので、早くに物語から去ってしまったことは非常に残念です。その想いから、ララァ専用モビルアーマーやナイチンゲール、クシャトリア、キュベレイと言ったジオンのニュータイプ専用機体の要素を詰め込んだ先駆け的なコンセプトでハイゴッグを制作しました。今回のキュベレイは、そのハイゴッグの発展機体として制作しましたが、いずれ他の機体で『ララァ専用機』シリーズを作りたいですね。