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「受験とコロナで追い込まれ…」子どもの家出調査、探偵社への依頼増加 SNSの普及で実態つかみにくく
SNSでの交友関係を利用した家出が増加 (写真:AC)
「将来への不安」を理由にした未成年の家出が増加、警察犬使った調査も実施
相談員特に、コロナ禍によるストレスで家出をする人が増え、依頼が途切れることはなかったという印象です。
──他社と比べても、RCL探偵事務所への家出調査依頼は数段多いそうですね。
相談員どこの探偵社さんも家出調査は請け負っていますが、組織立てた調査ができるところというのはほとんどありません。うちは全国13カ所に支部がありますし、家出調査のノウハウと連携した細かな調査を行うことで発見率も90%近くを誇ります。特に強みは、警察犬が2頭いること。足取りの予測が立てられない認知症の方の捜索などに、警察犬を使って効果的な調査を行えるんです。
──コロナ禍の家出調査では、具体的にどのような捜索対象が増えたのでしょうか。
相談員若い方やお子さんを探してほしいという相談が増えました。例えば高校生のお子さんが受験とコロナにより精神的に追い込まれてしまって、現実から逃げるために家出してしまったというケース。それと同様に、将来への不安を抱えて家出してしまった中学生のお子さんを探してほしいという依頼も多かったですね。浮気調査も家出調査も、依頼の理由はコロナ前と後ではかなり変わりました。
“SNS”に”マッチングアプリ”…保護者が交友関係を把握しづらい時代 「事件絡みのケースも」
相談員コロナ以前の話ですが、過去にはやはり何者かに監禁されていたという事件絡みだったこともありました。そういう意味では、コロナ時期に事件絡みだった案件はありません。ただ、最近の傾向として、誘拐ではないけども、まったく知らない人と一緒に行動していたり、その人の家に滞在していたりすることが非常に多くなりました。それは今の子どもたちがSNS上で交友関係を築き、親の知らない友人の元へ行くことが多いからなんです。
──家出した子どもが行きやすい場所、傾向はありますか?
相談員年齢や家族関係などによっても様々です。ただ、若い子は所持金も少ないですから、漫画喫茶やネットカフェ、家から近い駅の周辺などにいることが多いです。中学生や高校生は目立つところにいると補導されてしまうので、歌舞伎町などにある風俗店スタッフが宿泊する施設にいることもあります。あと、ツイッターなどの“神待ち”。SNSで泊めてくれる大人を探して、まったく知らない人の家に行ってしまうことも。お金がなくても何とかなるということがわかると、繰り返し家出をするようになる子が多いんですよね。
――なるほど、親としては心配でしょうね。
相談員最近では、家出した関東の高校生が、京都で発見された事例もありました。それも、マッチングアプリを使って同じ趣味の人の家に泊まっていたことがスマホの発信履歴から判明し、京都の警察の方が保護してくれたんです。これは、失踪届が出ていたため見つけられたケースです。今はとにかく、親が子どもの友だちや交友関係を把握しきれない時代。探してみると、親がまったく想像もできなかった地域にいることがとても多いんです。
「3日寝ずに張り込み」緊迫感あふれる家出調査、警察への捜索願が前提
相談員私たち探偵には、相手を見つけても「捕まえる」「獲捕する」といった権限がありません。例えば目の前で飛び降りようとしているのであれば、それは一般人が行うのと同じこととして緊急獲捕することはできますが、相手に触れることも、説得して連れ帰ることもできません。許されているのは探して、依頼人に所在を伝えることだけなんです。もし、親御さんが警察に捜索願を出しているのであれば、見つけたときにうちや家族から警察に連絡をして保護してもらうことは可能です。
──ネット社会である今、情報を集めることが早くなった半面、依頼者の行動範囲も予測不可能になっているんですね。
相談員その通りです。これは警察も組織として仕方のないところなのですが、例えば探偵が防犯カメラの映像を確認したくても、許可が下りるまでに何日もかかってしまったり、情報の開示が認められなかったり。そうならないよう、私たちとしても親御さんに捜索願を出してもらうなど、できることを提案させていただいています。
――ドラマや映画のように、自由にできるわけではないんですね。
相談員はい。探偵にできることというのは、警察と異なり限られます。そのため3日間寝ずに張り込んだり、聞き込み範囲を思い切り広げたりする必要があるんです。無茶をするときもありますが、探偵は、心配する親御さんの気持ちや対象人物の身の危険を思うと、力を抜くことはできないんですよね。
取材協力:RCL探偵事務所(外部サイト)