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「Yahoo!への抗議」も辞さない、デジタルでも勝つ『週刊文春』貫くスクープ主義と稼ぎ方

  • 前『週刊文春』編集長、現在は『文藝春秋』編集長の新谷学氏

    前『週刊文春』編集長、現在は『文藝春秋』編集長の新谷学氏

 『文春オンライン』が8月、初めての6億PV超えを達成した。端的に言えば、同サイトの記事が6億ページ読まれたということになる。このほか、今年3月には『週刊文春電子版』も開設。先日、『週刊文春』が電車の中吊り広告を廃止したというニュースが話題になったが、同誌はデジタルへの移行に成功し、なおかつ収益面でも堅調だという。コロナ禍で多くの出版社が苦戦する中、なぜ『週刊文春』は“強い”のか。前『週刊文春』編集長で、現在は、『文藝春秋』編集長の新谷学氏に「文春ブランド」の強さの秘訣を聞いた。

「NHKに受信料を払うくらいなら、文春に払う」、デジタル化成功の裏に読者の声

 昨今、しきりと「DX=デジタルへのシフト」という言葉が言われている。現在はネット上でニュースも読めれば、銀行取引も行える。さらにスマートフォンという形で小型化され、すべては指先ひとつで行うことが当たり前となった。「この流れに抗うという選択肢はあり得ません。自分の欲しい情報をスマホで、リアルタイムに受け取れる時代において、週刊誌や月刊誌よりも、より早くて便利でリーズナブルな方向にユーザーが流れていくというのは当然です」(新谷学氏/以下同)

 そんな影響をもろに受けて、さまざまな老舗雑誌が休刊。書店の数もコンビニの雑誌売場の面積も、縮小の一途をたどる。逆境といえる状況の中で、『週刊文春』はどう動いたのか。

 「このままでは、取材経費も記者の数も減っていくしかないですが、紙の雑誌と心中することも、紙の雑誌から撤退することも毛頭考えていません。大事なのは、デジタル化したからといって、“対価をいただく”という道は放棄しないし、『お金を払ってでも読みたい』と思わせる価値は失ってはいけないということです。だからこそ、『週刊文春』のスクープ主義をしっかり貫きながら、他の収益構造を考える必要がありました」。

 その“価値”とは、バイアスも忖度もない“ファクト”=真実の力だと新谷氏は語る。「文春ならば信頼できる」「文春はチェックしておきたい」とユーザーに思ってもらうことで、スマホの中にあるさまざまな情報の中から選んでもらう。これが「文春」のブランディングだ。

 「ネットで記事を出すと紙(雑誌)が食われるといいますが、その議論はとうの昔に終わっています。『週刊文春』は木曜発売なので、前日の夕方4時に目玉記事のダイジェストを『文春オンライン』で掲載。その先はYahoo!やLINE上で、記事単位で購入して読めますよという導線を引く。1本の記事で、まず速報でPVを稼ぎ、記事のバラ売りで直接課金をしてもらう。トータルで読みたい方にはサブスクの『電子版』に誘導と、ワンソース・マルチユースでマネタイズしていく。もちろん、『お金を払ってでも読みたい』と思ってもらうためには、菅前総理の長男のスクープなど、社会的意義の高い内容を報道し、媒体としての価値を上げることも大切です。これらの取り組みが功を奏したのか、大変ありがたいことに、最近では『NHKに受信料を払うくらいなら、文春に払って取材費にしてもらいたい』といった応援の書き込みが増えました」。

プラットフォームとの“不平等条約”打ち破る、『文春』の“抗議”

 速報は『文春オンライン』のみならず、ニュース記事としてYahoo!など各社に配信されている。より多くの読者に読まれるためには、これら巨大プラットフォームの中の「TOP」と呼ばれるメインページに選ばれ、掲出されることが有効である。

 「Yahoo!からたまたま選ばれるのではなく、自信を持って選んでもらえる記事を書かなければならないと思っています。そのためには、ニュースサイトというプラットフォームから主導権を取り戻すことも必要。例えば、『文春』が第一報を出したのに、ORICON NEWSの第二報がYahoo! TOPに上がっていたら、Yahoo!に『なぜウチじゃないんだ!』と抗議します。社会的意義のある記事にも関わらずTOPに上がらない場合も、『合理的な説明をしてほしい』と伝える。大事なのは、プラットフォームにもうちのコンテンツの価値をしっかりと理解してもらうことです」。

 これまで、プラットフォームとコンテンツメーカーの間には、“不平等条約”が結ばれていたと新谷氏は明かす。選ぶ側は、選ばれる側より上になる。そこに『文春』が一石を投じた。

 「どっちが上ということではなく、対等な関係にしたいのです。その上で、『文春の記事はいらない』と言えないようなコンテンツの強さを、社会的な意義を、しっかりと相手に伝えていく。我々のスクープの“本当の価値”をわかってもらう努力をしてきました」。

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