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「訴えてやる!」マザコンでモラハラ、年下DV彼氏との裁判1000日戦争
周囲からは“いい人”の好印象、モラハラに気づかない人も…
二星星さん全く感じられなかったんです。同棲前に同じ会社で働いていたんですけど、周りからの評価はいわゆる“いい人”。5歳ぐらい年下だったこともあり、可愛いという印象で、やんちゃなところは一切ありませんでした。
──それが…どのように変わっていきましたか?
二星星さん一緒に住み始めて1ヵ月ぐらい経った頃から、家に置いていたお金がなくなり、彼がほとんど家に帰ってこなくなりました。月にトータルで1週間いるかどうかくらいで、連絡もほとんどLINEのみ。あとは、彼が常に親の支配下にあるような感じで、「お父さん、お母さんが言ったから〇〇をやる」ということをよく言っていました。
──だいぶモラハラ気質がうかがえます…。面と向かって彼と話したくても、だまってしまって話し合いにならなかったとか。
二星星さんそうなんです。話し合いを持ちかけるのは私ばかりで、彼からすれば、“いつもキツいことを言ってくるのは彼女”という感覚なんでしょうね。世間のDVのイメージって、相手の支配下に陥って暴力を受けるものだと思うんですけど、私は何かあったとしても言い返したり、やり返せたりできるタイプ。私みたいなハキハキ言える性格でも、じつはモラハラを受けているというケースは多く、それに気づいていないという方も、たくさんいらっしゃると思います。
本気で殴られパニックに、裁判経験と知識を「世の中に発信しよう」
二星星さん親などに相談はしていました。でも、DVなどを受けている女性がよく周りから「あなたの我慢が足りない」と言われるそうなんですが、私も「もうちょっと我慢すべき」と言われることが多かったです。
──暴力は1度きりですか? その時の状況は?
二星星さん暴力はその1度だけです。その時は、男性に本気で殴られたので体が吹っ飛びました。明らかに骨が折れているのがわかり、「早く救急車を呼んで!」と言ったのは私のほう。彼はボケーッと立っていて。電話では、「殴っちゃったんです」って他人事みたいに言っていました。
──救急車と共に到着した警察の方とは、どんなやり取りを?
二星星さんこんな経験がなくて、どうしたらいいかわからないパニック状態の中で、質問攻めに合うわけです。鼻血がダラダラ出ていて、それどころじゃないのに、「逮捕はどうするの?」って。その時はどうすべきか判断がつかなくて、「とりあえず病院に行かせてくれない!?」という感じでした。
──裁判を終えるまでに約1000日かかったそうですね。裁判後に、まず思われたことは?
二星星さん「終わったー!」って感じです。「長かったー!」って(笑)。最終目的として、この体験を何らかの形で世の中に発信しようと思っていたので、それがなければ、途中でイヤになっていたでしょうね。
──同じようにモラハラやDVに悩む方に、アドバイスをいただけますか。
二星星さん身近に相談できる人がいれば、助けを求めていいと思います。あとは、知識を付けることがとても強みになります。自分が置かれている状況や精神状態を、少し離れて見ることが必要なので、そのための知識ですね。それがあれば、自分が今ヤバい状況なんじゃないかと気付けるし、次にするべきことが見えてきます。市役所や区役所にも相談センターはありますし、被害者支援や加害者のプログラムを学べるところもあるので、そういうところを利用してみてはどうでしょうか。
──まずはそういう場所で知識を付けることですね。
二星星さん自分が裁判などの勉強をしていくなかで、知識がないからできないことがたくさんありました。世の中の苦労されている方も、少しでも知識があればまた違う道があるんじゃないかなと。我慢していたらダメですね。逃げてもいいし、立ち向かってもいい、何でもいいので動くこと。何もせず同じ場所にいるというのが一番危険なので、まずは行動してみることが必要だと思います。
(取材・文/渡辺麻美)
『ダメ彼を訴えます!! 〜殴られたので裁判しました〜』(外部サイト)
二星星 (著)/ぶんか社刊
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