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新宿歌舞伎町で「ネズミ捕り」に引っかかった巨猫、呼べば「にゃ〜」と答える安心の保護猫生活

  • 歌舞伎町で保護された「たま」(写真:ねこけんブログより)

    歌舞伎町で保護された「たま」(写真:ねこけんブログより)

 日本有数の繁華街、新宿歌舞伎町で暮らしていた猫「たま」。街の人に可愛がられていたものの、あるとき粘着式のネズミ捕りに引っかかってしまい、悲惨な姿で発見された。「たま」はこうして、猫の保護活動を行うNPO法人『ねこけん』に保護されることとなった。「たま」の現在、そして地域猫の問題点について、『ねこけん』代表理事・溝上奈緒子氏に聞いた。

歌舞伎町で働く人々の癒し、8キロの巨猫“ネズミ捕り”の餌食に

  • (写真:ねこけんブログより)

    (写真:ねこけんブログより)

 たまは「たまちゃん」と呼ぶと、可愛らしい声で「にゃ〜」と返事をする8キロはあろうかという巨猫。しかし、ノミの心臓を持っているのか、はたまたビッグボディのせいなのか、譲渡会では常にケージに顔を押し付け、人目を避けるようにしている。残念ながら、いまだご縁はない。そんな「たま」が保護されたのは、夜の街、新宿の歌舞伎町だった。

 「歌舞伎町って、実はすごく猫ちゃんが多いんです。働いている人たちも猫ちゃんを好きな方が多くて、ご飯をあげたり、可愛がってくれる人たちがたくさんいて。そのせいか、すごく繁殖してしまっていたところを『ねこけん』で一斉にTNRを行いました。去勢・避妊手術をして、リリースをするのが基本なのですが、たまちゃんはネズミ捕りに引っかかっていたので、うちで保護したんです」。

 歌舞伎町は裏路地も多く、地域猫にとっては隠れるところも多い絶好の住処。麻布十番でもTNR活動を行ったことがあるが、歌舞伎町ほどは多くなかったという。この街は水商売の人も多く、もしかしたら地域猫たちが心の癒しになっていたのかもしれない。「たま」も歌舞伎町の人たちに可愛がられており、ある日突然、姿を見せなくなったことを心配されていたそうだ。

 保護された「たま」が引っ掛かったネズミ捕りは粘着力が高く、無理にはがそうとすると肌まで傷つけてしまう可能性がある。ネズミを駆除するためのネズミ捕りだが、実は地域猫にとっても天敵。足にからまれば身動きが取れなくなり、鼻や目に貼り付いてしまえば自力では取れず、呼吸を妨げ視力も奪ってしまう。子猫に貼り付いてしまえば、場合によっては猫の命までからめ取る恐ろしい罠なのである。身体中にネズミ捕りのシートを貼り付けていた「たま」を見つけたボランティアも、この状態でリリースするのは難しいと判断し、保護に至ったという。

“駆除”される地域猫、「殺処分ゼロを目指しても何の解決にもならない」

 自治体によっても異なるが、現在、地域猫には法的な決まりごとがほとんどなく、担当する公的な機関も存在しない。多くの保護団体が各地でTNR活動を行っており、一部では地域猫を行政が支援しているところもある。一方で、糞尿被害などによって猫の“駆除”を叫ぶ人も多く、最終的に保健所や動物愛護センターで殺処分されてしまう地域猫もいる。今回、「たま」はボランティアの手によって保護されたが、一歩間違えばそのような運命をたどっていたとも限らない。

 「どんな命も同じ重さを持っているはずなのに」と現状を憂う溝上氏は、“駆除”への苦い思いを味わった、ある事例を明かしてくれた。

 「一人暮らしで4匹の猫を飼っていたおじいさんが、体の自由もきかなくなり、家中、糞尿だらけになってしまったと相談を受けました。おじいさんは保健所に電話をしたそうですが、『元気な猫ならば引き取るのは難しい』と言われたと言っていました」。

 最近では、犬猫の殺処分ゼロを掲げる地域も多い。それは素晴らしい取り組みではあるが、市民からの引き取り依頼を拒むことで“殺処分ゼロ”を謳うなら、その動物たちは一体どこへ行くのか。街や野に放されたり、虐待を受けたりするようなことはないのか、疑問が残る。

 「いくら行政が殺処分ゼロを目指しても、ゼロにするために引き取らないのであれば、何の解決にもなっていません。その猫ちゃんたちの未来はどうなってしまうのか…。行政には、できれば譲渡会を紹介するなどをして、猫ちゃんたちの未来に繋がる解決策に取り組んで欲しいです」と訴える。

 「たま」もまた、こうした生命の危機から救われた地域猫。今では『ねこけん』メンバー宅で、大きな体を揺らしながら呼び声に「にゃ〜」と答える日々を送っている。新たな家族も、絶賛募集中だ。歌舞伎町で暮らしていた「たま」の幸せな未来を願うばかりである。

(文:今 泉)

■NPO法人『ねこけん』(外部サイト)

■『ねこけん』オフィシャルブログ(外部サイト)

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