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ホラーで社会貢献も…前代未聞の“赤ちゃんプレイ”お化け屋敷の仕掛け人「大人に怒られることを本懐にしてきた」

 7月末に東京・高円寺「ゾウンテッドマンション」にオープンを予定している“赤ちゃんプレイ”お化け屋敷『バブリミ』が、「想像がつかない」「情報量多すぎ」「ちょっと何を言っているのかわからない」とSNSで話題に。ストレスの多い現代人に癒しと恐怖を提供し、「ゆりかごから墓場までサポートします」と謳う『バブリミ』の全貌について、仕掛け人のマイケルティー氏に聞いた。

幼少期の頃に味わったあの恐怖や悪夢を、至れり尽くせりで追体験

──「赤ちゃんプレイ」と「お化け屋敷」の掛け合わせに、SNSでは賛否両論さまざまな声が上がっています。

マイケルティー すべて褒め言葉として受け取っています。この30年、さまざまなお化け屋敷をプロデュースしてきましたが、基本的に「大人に怒られる」ことをプランニングの本懐としてきました。

──やはり“赤ちゃんプレイ”というと、性癖のようなものを想起させると言いますか──。

マイケルティー その点は議論もありました。お子さんをお持ちの方に嫌悪感を抱かせてしまわないかと。そのためにポスタービジュアルで世界観を表現し、誤解を生まないように配慮しました。もちろん大人社会のストレスから解放されて癒されたいという、“本来”の赤ちゃんプレイを所望する方も歓迎しています。

──たしかに一見するとハリウッド映画のようなポスターですね。

マイケルティー 弊社が手がけるのは昔ながらのおどろおどろしいお化け屋敷ではなく、ハリウッドホラーのようなスタイリッシュな世界観。セットやギミックなども含めてストーリー性を重視したアトラクションを得意としています。また、体験者が映画の登場人物になったような気分を味わえるのも特徴です。

──今回の『バブリミ』のストーリーは?

マイケルティー 舞台は赤ちゃんの夜泣きメカニズムを研究するラボで、体験者には治験モニターになっていただきます。赤ちゃんですので、ご自身が動く必要はありません。寝転んでいるだけで幼少期の頃に味わったあの恐怖や悪夢を、至れり尽くせりで追体験できます。治験モニターは、1回につき1〜2名。ソーシャルディスタンスを遵守したお化け屋敷でもあります。

──『バブリミ』がオープンする「ゾウンテッドマンション」とはどんな施設なのですか?

マイケルティー 1階は病院をコンセプトとしたホラーカルチャーカフェバーで、女優、声優、アイドルなどを本業とするキャストが“研究員”として白衣を着て接客します。2階は「監獄型」「トイレ型」「シャワー型」など複数のお化け屋敷スタジオが常時稼働しています。『バブリミ』はお化け屋敷スタジオのこの夏の新コンテンツになります。

お化け屋敷の「低俗」「チープ」というイメージの払拭も、地域活性など“ホラーで社会貢献”に取り組む

──オープンは昨年10月。コロナ禍真っ只中に営業するご苦労もあったのでは?

マイケルティー 私がCEOを務めるゾウンテッドでは国内外のテーマパークや、教育機関、自治体、行政から依頼を受けてお化け屋敷をプロデュースしているのですが、コロナ禍であらゆるアミューズメント施設が閉館してしまいました。なんとかみなさんを非日常の世界にお連れしたいと考えてオープンしたのが「ゾウンテッドマンション」で、私が開発した「歩かないお化け屋敷」は参加人数が少数に絞られるため、3密回避にぴったりでもありました。

──来店者はどんな方が多いのですか?

マイケルティー お化け屋敷ファンはもちろん、ホラーの世界観は好きだけどお化け屋敷は怖くて入れないという方はカフェの方で楽しんでくださっています。ちなみに1階には監視モニターがあり、2階で恐怖におののいている体験者を眺めながらお食事ができます。おひとりさまで来店される方も多いですし、1階と2階ではディスタンスもありますが、盛り上げ上手なキャストがお店全体の一体感を演出しています。

──お店のこだわりを教えてください。

マイケルティー お化け屋敷について回る「低俗」「チープ」といったイメージを払拭するのが弊社のミッションです。セットには実際の医療器具を置き、また特殊メイクや屍体の人形などはハリウッド映画の技術で作るなど、本物にこだわっています。セットなどはすべて触ることができるので、特殊造形に興味のある方の来店も多いですね。 これまでお化け屋敷では禁止されてきた、写真や動画の撮影が可能なプログラムも大好評です。

──ゾウンテッドでは「ホラーで社会貢献」を掲げていますが、お化け屋敷だからこそできる貢献とは?

マイケルティー 1つは地域活性です。全国各地で放っておかれている休眠施設をお化け屋敷として活用することで、その土地にしかないレガシーとして広く周知できる上に、地元に雇用を生み出すこともできます。2017年には、山梨県の人口700人の村でお化け屋敷をプロデュースし、海外のメディアにも数多く取り上げられました。

人間の原始的、根源的な恐怖を追求したお化け屋敷が『バブリミ』

──お化け屋敷が人々の心をつかむのはなぜなのでしょうか?

マイケルティー 日常の抑圧から解放されるからではないでしょうか。特に日本人は表情や感情を表に出すのも憚られるシャイな国民性ですので、暗闇で思い切り叫んだり恐怖に顔を歪ませたりできるお化け屋敷にはマインドフルネスの効果があるのだと思います。これはとてもセンシティブな話ですが──。私は特殊メイクの仕事もしていますが、あるリストカット依存になっていた方の腕に傷の特殊メイクをしたことがあったんですね。そうしたらリストカットをやめることができたそうなんです。

──それはなぜなのでしょう。

マイケルティー 私は心理学の専門家ではないので、確かなことは言えません。ただ弊社のお化け屋敷は闇雲に脅かすのでなく、「脳を騙す」ことで恐怖を増幅させるギミックを重視してきましたので、今後はさらに心理面に踏み込んだ恐怖を生み出したいと考えています。

──さらに高度な恐怖が体験できそうですね。

マイケルティー 私が開発したお化け屋敷を模倣する人はたくさんいます。特に近年は大規模な会場を必要としない「歩かないお化け屋敷」が簡単にできると思ったのか、消防法や興行法もクリアしないなど、安全面を考えずに運営する人が続出し、事故も起きていると聞きます。表面的なものは模倣できても、真価や本質は模倣できません。ハコや装置で脅かすのではなく、人間の原始的、根源的な恐怖を追求するという発想に基づいて生まれた『バブリミ』は、30年にわたってお化け屋敷に取り組んできた私の新たな挑戦でもあります。

(文/児玉澄子)

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