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(更新: ORICON NEWS

現代の若者はなぜ“ぼっち”を選ぶのか? 解説する“陰キャ”YouTuberに反響

 陰キャ、コミュ障、ぼっちあるあるなどを動画で発信し、多くの“ぼっち”の共感を得ているYouTuber・コスメティック田中。概要欄には「皆でワイワイするのが苦手。感情表現が少なく何を考えてるか分からないと言われる。基本は1人でいたいけど、全く構ってもらえないのもイヤだったりする」とあるが、YouTubeを通して多くの支持を得ている今、やはり共感や仲間の喜びを感じているのだろうか。動画発信のきっかけや反響による自身の変化をコスメティック田中に聞いた。

人間は誰しも“陰キャ”なのでは…?「学生の頃は自分以外みんな“陽キャ”だと思っていた」

――普段のお仕事をお伺いできますでしょうか。

WEB関係でサイトを作ったりする仕事をしています。企画職・ディレクターなので、本来は社内外で様々な人との調整だったり、高度なコミュニケーション力が求められる仕事です。ただ私はエンジニア的なことも多少できるので、自分だけで仕事を完結させてしまうこともあります。何往復も人と話したりするのは本当に嫌です。YouTube活動について、会社のお叱りなどは今のところなく、関係は良好だと勝手に思っています。ちょっとハラハラするような動画も投稿していますが、大きな問題にならないことを分かっていてやっている感じです。

――「コスメティック田中」の名前の由来を教えてください。

始めはよくありがちな「コスメ系インフルエンサーとして有名になり、視聴者にコスメグッズを売りつけてやろう」という魂胆でした。有りのままの自分とかけ離れているので、その計画は早いうちにストップしましたが、改名の機会を見失ったまま、現在に至っています。黒歴史を名前にぶら下げたままの状態なので、正直とても恥ずかしいです。
――実際の動画内では「陰キャ」「コミュ障」「ぼっち」に関するコンテンツを発信されているのはなぜでしょうか。

コスメ関連の話ではボロが出ると思ったので、等身大でやるしかない気がしました。インフルエンサーというと、自信と承認欲求に満ち溢れている、Instagram等のキラキラした方々が思い浮かびますが、自分はそういった人になれません。「友達とリア充、陽キャウェーイ」といった動画は似たような投稿者が多いので、そもそも再生されるか怪しいです。とはいえ、「とりあえず陰キャアピールしとけばOK」「陰キャである自分が誇り」みたいになってしまうのも、ちょっと痛々しいんですよね。このインタビューも、果たしてどんな煽り方で世に出るのか、不安なところはあります。

――“陰キャ”の特徴は何だと思われますか。

うーん難しいですね…。現在の陰キャ界隈では、「こいつは本物の陰キャ」「こいつはビジネス陰キャ」といった、謎の格付けが流行っています。しかし、実際の人間はそういった「0か1か」ではなく、もっと曖昧な性質があるようです。極論、人間は誰しもが陰キャな部分を持ち合わせているのではないでしょうか。僕は学生のころ、世間の人みんなが人付き合いが得意で、毎日がハッピーでラウンドワン行って恋をしている、といった陽向の存在だと思っていました。それに対し、自分は誰にも見向きされず、ポケモンをやっているだけの日陰者ぐらいに思っていました。でも大人になって「陽向の存在」の人と喋るような機会もでてきたのですが、凄く順調な人生に見えていた人が別の場で落ち込んでいたり…段々こう、単純ではないことが分かってきました。

他人に興味を持てない、飲み会での会話が楽しめない、LINEグループに入れない…

――田中さんが1人好きになったのはなぜでしょうか。

私の少し病的なところかもしれませんが、身の回りにいる人にあまり興味が持てません。これまで人と関わる機会は何度もありましたが、深い仲になるタイミングを毎回逃して、孤立してきました。大人になって少し改善した部分もあるのですが、いまだに飲み会などでの会話は「そんな愚痴・ゴシップネタより、もっと話すべき面白い話題があるだろう」「そんなこと聞かなくても、Googleで調べればすぐ分かるじゃん」といった感想を抱いてしまい、心を閉ざしがちです。

――ご自身はいつ頃から“陰キャ”だと思われたのでしょうか。

明確につまずいたのは高校生です。みんなどこかしらのグループに属していましたが、私はポツンといることのほうが多く…。クラス全員がスマートフォンを持っている世代でしたが、LINEグループなどの「ともだち」に入ることができませんでした。SNSは「0か1か」の人間関係が可視化されてしまうので…。確かに自分は「ともだち」ではないよな、ハハハと、ニヒルな笑みを浮かべながら毎日登校し続けました。
――“陰キャ”で得すること、損なことは何だと思われますか。

飲み会やパーティに時間を使わないので、自分と向き合う時間が多くできるのはいいですよね。損だと感じる部分は、やはり集団・組織でのコミュニケーションです。大学の研究室で、先輩に「そんなんで将来どうするの?」とか言われてしまったときは、少し落ち込みました。会社内の評価も人間がするものなので、やはり人に気に入られるのが上手いほうが、給料とか職位が上がりやすいと思います…。

「仲間ができてるというより、ピエロになっている感覚」誹謗中傷を恐れるも、動画発信続ける理由とは

――YouTubeを始めたきっかけを教えてください。

中高生のときからネット中毒なんです。動画も何本か投稿していました。2008年くらいの画質がガッビガビだった頃のYouTubeから今まで、大体のジャンルを一通り見てきています。自分がYouTuberになっている将来も、どこか頭の片隅にありました。素顔を出して投稿したのは、社会人になってからです。好きな業界で仕事をしていても、やはり組織の一員だと、まぁ色々あると思って…。好き勝手に世の中と関われる場が欲しかったのかもしれないです。

――コンテンツに対して多くの共感が寄せられていますが、どのように感じていますか。

誹謗中傷が怖いので、コメントや外部SNSの反応はほぼ見ていないです。今はどうなのか分からないですが、初期の頃は、自分の容姿や経歴に関する批判がよく来て傷ついていました。なので、ポジティブネガティブどちらの情報も、もうよく把握していないです。仲間ができてるというより、自ら晒し者、ピエロになっている感覚です。2ちゃんねるなどで誹謗中傷を書かれているんじゃないかと、日々怖くて怯えています。

――動画発信を始めて、ご自身の中で生活や精神面で何か変化はありましたか。

動画を出したらまた次を作って出すの繰り返しなので、回し車で走っているハムスターになった気分です。すごく自信がついたとかはない気がしますが、周りの人が私を見る目は変わったかもしれません。「何を考えているのか分からない人」などは、職場などでも本当によく言われていたのですが、「こういう人だったのか」と多少は思ってもらえているのではないでしょうか。あんまり話をしないので、実際どう思われてるか分からないですけど(笑)。
――田中さんにとって、YouTubeはどのような場になっていますか。

動画投稿の8割くらいは自分でニヤニヤするためにやっているので、大きな志などはないです。でも、ぼんやり1割くらいは、学校などにあった「内向的な人の典型イメージ」を変えられたら面白そうだと思っています。学生時代がつらすぎて自殺とかしてしまうのは非常に勿体ないので、将来的にこういう人になる手もあるな、という選択肢に上がってこられたらいいですよね。残りの1割の活動目的は、やはりお金です。まだまだ、将来の心配がいらない資産額にほど遠いので、1年後くらいには、いきなり視聴者に10万円くらいのpdfを売りつけてるかもしれないです。気を付けてほしいですね。

■コスメティック田中関連リンク
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