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「作業工程すっ飛ばしすぎ!」な仏像に反響、元サラリーマン仏師がSNSで発信する理由
仏像制作過程に7.9万いいね、「飛躍しすぎ」な写真にツッコミ殺到
――「これをこうしてこう彫ってます!」のツイートが7.9万「いいね」と大きな反響になっていますね。
「3年ほど前、京都の寺の法要に来たお客さんが、私の作った仏像(ドローン仏)をツイートしてバズったことはありました。でも、自分自身のツイートでバズったのは、これが初めてです。『写真の2枚目から3枚目が飛躍しすぎだろ』というツッコミがありましたが、僕としてもその辺が面白いのかなと(笑)。自分の彫った仏像をいろんな人に観てもらい、『こうして彫ってるんだ』と知ってもらうのは、単純にうれしいですね」
――これはどういった仏像なのでしょうか?
「観音菩薩像、いわゆる観音様です。技法は寄木造で、材木はヒノキです」
右肩下がりの伝統工芸市場、「どうやって一般に知ってもらうか」を模索
「やはり、自分の彫った仏様を見てもらい、知ってもらいたいという思いがあって、2〜3年前から彫り上がった仏像をTwitterにアップしていたんです。人に見てもらえばうれしいし、見た方から『欲しい』と注文が入ることもあり、プロモーションとしても機能しています。バズった時の拡散力は、他のSNSと比べてもTwitterはすごいと思います。Instagramもやっていますが、自分はテキストを読むのも好きなので、写真メインのインスタよりもTwitterの方が好きです。今回の『飛躍しすぎだろ』っていうツッコミも、Twitterならではですよね(笑)」
――三浦さんはある記事の中で、「仏像制作で重視するのは、独自性よりも人々が仏様に親しみを持ってくれること」というお話をされていました。そういったお考えがSNS発信にもつながっているのでしょうか?
「そもそも仏像は、”礼拝の対象”じゃないですか。人々は仏像を通して仏に祈る、いわば仏につなげるものなので、彫った作者が主張してはいけないかなと思うんです。仏に対してすっと手を合わせられるようなものを作る…それが仏師の使命です。このことは、基本的に心掛けています。また、1000年以上昔から続いている伝統的な技法を大事にしたくて、それも発信したいと思っています」
――祈りの対象である仏様だけに、関係者から「SNSに上げるのは不謹慎」とお叱りを受けることはありませんか?
「SNSは発信のツールとして定着しているので、少し前ならわかりませんが、今はとくにお叱りなどはないですね。今、伝統工芸の市場規模は右肩下がりとなり、パイが小さくなっているので、常に『どうやって一般の方々に知ってもらうか』を模索しています。なので、工芸の世界でSNS発信している人は結構いるんです。特に京都は職人が多い街なので、いろんな分野の職人さんが発信しています。見せ方の上手い職人さんは、何万ものフォロワーさんを抱えていますよ」