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クセになる“刷り込み系女優”岸井ゆきの、ウザい役でも「演じる私だけは味方になってあげたい」
「やっぱり朝ドラってすごい!」、秋田で感じた全国への影響力
岸井自身も、山と川に囲まれた自然の多い地域で育ったことから、早苗のように都会でのストレスを実感することがあったという。「演じるという仕事は集中力が必要ですし、知らず知らずのうちに、ストレスが蓄積されているなと感じることはありました。私はまだ大丈夫だと思っていましたが、いつか崩れ落ちる瞬間が来るのかも…と思ったりして」と、共感できる部分が多いキャラクターだったようだ。
そんななか赴いた秋田県の大潟村。撮影は新型コロナウイルスがいまだ猛威をふるっていた2020年9月に行われた。万全の感染症対策を施しながらの撮影は、これまでとは趣が違っていたが、圧倒的な自然の美しさのなか、「空が広くて空気がおいしい」と感じた岸井は、「本当に体中の皮膚の細胞が、ぷくぷくと潤っていく感じがして、どんどん再生されていくのが実感できました」と、劇中の早苗同様、身も心も癒された。
また、村の人々の大らかさや温かさも印象に残っているという。「『まんぷく』が全国放送だったこともあり、『観ていたよ!』と気軽に声を掛けてくれることも多かったんです。やっぱり朝ドラってすごいなと思いましたし、嬉しかったですね」と笑顔を見せる。
“わたどう”では主人公の恋敵役、「ウザく見えるキャラでも私だけは味方に」
「私はお芝居をする上で、番手や役の大小で、向き合う気持ちを変えることは絶対嫌なんです。物語のなかでは少ない出番かもしれませんが、その人にも必ず人生がある。脚本家の方も、いらない人物を書くことはないと思うので、役に失礼のないようにしっかりまっとうしたいんです。『私たちはどうかしている』の栞も、嫌な子に見えちゃうかもしれませんが、一生懸命生きているからこそ、意地悪になってしまうこともある。どんなにウザく見えるキャラクターでも、演じる私だけは味方になってあげたいという思いで向き合っています」。
こうした役への取り組み方だからこそ、岸井の演じるキャラクターからは、目が離せなくなってしまうのかもしれない。そんな名バイプレイヤー的な岸井も、2017年公開の『おじいちゃん、死んじゃったって』で映画初主演を務めると、映画『愛がなんだ』(2019年)、そして『金色の海』と作品の中心を務めることも多くなってきた。
「責任感という意味では、主演というのは大きいのかもしれませんが、役に向き合う心持ちは変わっていません。ただ、必然的にシーンが多くなれば、表現することも多くなる。自然と、より深く役を理解しなければいけないということはあります。でもそれは、私にとってはすごく興味深いことなんです」。