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お笑いにおける“天下取り”の条件は? 基準の変化と第七世代が「天下」狙わない理由
今後、“天下を取る芸人”は現れないのか?『ミレニアムズ』の傷が癒えた第6世代に期待
その最短距離にいるのが、2000年代デビュー組の千鳥、オードリー、山里亮太といった“第6世代”だ。レギュラー番組や冠番組に加えて、コアファンを獲得するラジオや、若者層への影響力が大きいSNSなど、各領域でしっかりと地位を確立しつつある。オードリーや山里は14年、豊作と言われる2000年代デビュー組の芸人が集う『ミレニアムズ』(フジテレビ系)という深夜バラエティ番組に出演していたが、番組はわずか1年で打ち切りに。同番組の終了は演者たちに暗い影を落とし、「純粋なお笑い番組で自分たちの冠番組」を持つことに対し自信を喪失する。千鳥も同様に、遅れて加入した『ピカルの定理』(同局系)も程なくして終了となり、以後数年間は辛酸をなめることに。
その後、オードリーの2人はラジオ番組を主軸にコアファンを拡大させつつ、テレビでは若林が各局バラエティでMCをこなし、春日はボディビルやエアロビなど体を張ったチャレンジを展開。“マスとコア”のバランスは随一と言える。また千鳥も、大悟のアウトローさはそのままに、対比するようにノブが意識的に“ポップさ”を身に着けマスアピールに尽力。さらに、ネイティブな岡山弁をキャッチーに昇華した功績は計り知れない。
そしてこの2組に共通するのは、本懐である漫才を疎かにせず、今でも新ネタを毎年発表している点にある。新規ファンを増やし続ける2組ではあるが、この“漫才への熱量”が古参ファンの繋ぎ止めになっていることは言うまでもない。
分かりやすい“テレビ”という指標から、SNSやYouTubeなど、“勝負の場”も多様化してきた今、「天下を取る」ハードルは以前にも増して高くなっているのかもしれない。それでも尚、さらなる高みを目指して、自分たちの時代を築き上げようともがき続ける芸人たち。これまでの既存のラインではなく、全く新しい流れでの“天下取り”を果たす芸人の登場も、そう遠くない未来に目の当たりにすることになるはずだ。