ORICON NEWS
「これ新車ですよね…」中古車写真に異変? 田舎販売店が“スタイリッシュ在庫写真”を撮る理由
情報を羅列しただけの中古車サイトは5分で飽きる
「親子してスポーツカーが好きなので、シビックやロードスターなど、在庫車にはその傾向が出ていると思います」と語る一方で、「田んぼが多い地域柄、軽トラックの需要も高い」と飯田氏。凝った写真を撮り始めた当初は、「『軽トラを一眼レフで撮っている人、初めて見た!』と言われました。懐かしい思い出です」と軽快に笑う。
中でも多いのが「(撮影者が)クルマ好きなのが伝わってくる」という感想。それが的確な指摘であることは、とくに反響が大きかったマツダロードスターの写真についての、飯田氏のこんな発言に表れている。
「ロードスターは正面から撮るととてもかわいらしく癒やし系なお顔ですが、硬派なイメージで撮ったらどうなるかなと。そんなふうに実験を重ねて撮った写真は反響が大きいですね」
そのこだわりから、中には車の外観の一部しか写っていなかったり、車が一切写っていないイメージ写真も。中古車販売サイトの場合、クルマの状態がリアルにわかることが求められるだけに、“情報としての写真”に特化したほうがいいと考えるのが普通だが……。
「もちろん、それもいいと思います。ただ、整然と情報を羅列したのでは、せいぜい5分もスマホを見ていれば飽きてしまいます。サイトで将来の愛車となるクルマを探すとか、クルマを眺めるという行為は、クルマ選びの大きな楽しみです。何を買おうとか、どれがいいかなぁとか、こういうカスタムにしたらきっと……とか、どれも期待に満ちています。そのワクワク感を大切に、もっとワクワクさせられないかなと考えていたら、今のような形になっていました(笑)」
「わかりやすくを一番に心がけていますが、無難な構図、安心する構図ばかりだと飽きてしまうので、たまに不安定な構図を入れたり、ぼかしや陰影を取り入れたりして、工夫しています」
もちろん、得たい情報をきちんと押さえることも忘れない。
「写真がきっかけで購入を決めてくれたり、来店いただいたりすることが多く、うれしい反面、期待が大きいと感じているので、ガッカリさせてしまうことがないよう、傷やサビ、下回りの状態など、“中古車あるある”のマイナスポイントもしっかり写真で伝えるようにしています」