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ハーゲンダッツ初アニメCM、中条あやみも佐藤健も劇中「おいしい」と言わない理由とは
全国95店舗営業終了も、真矢ミキらCM出演で“贅沢”アイテムとしてシェアを拡大
店舗展開終了後も、商品認知と高級感を損なうことなく愛されてきたのは、TVCMによるブランディング力も大きいだろう。当初は外国人タレントをCMに起用していたが、2008年に初めて日本で活躍する著名人を声のみの出演で起用。2009年には、『ごほうび篇』として女優・真矢ミキを起用。リーマンショック直後で決して景気が良かったわけではないが、価格を変えたり、カジュアルさを加えたりすることなく、あくまで“高級”アイスクリームとしてのスタンスを貫いた。頑張った自分への“特別なご褒美”という印象をより強める演出は、今日まで受け継がれている。
4年前から登場した中条あやみも、贅沢な時間を味わう恍惚な表情を見せている。冷凍庫から取り出してすぐに食べるのではなく、ちょっととろけさせてから食べる“とろけ食べ”を提案したり、お風呂で涙を流した後に、「へこんだ私を立ち直らせる小さな儀式」としてハーゲンダッツを口にすると笑顔を取り戻す演出は、やはり高級アイスクリームを打ち出すだけにはとどまらない、幸せなひと時を提供するサービスを掲示されている気すらしてくる。だからこそ、CMで出てくる言葉は「おいしい」ではなく、「うっとり」「深い」「とろける」なのだ。
“女性のおひとりさま贅沢時間”から男性起用&アニメでさらなる需要拡大へ
ハーゲンダッツ ジャパン広報部によると、「ハーゲンダッツを食べるときの、心までとろけるような幸せに浸る時間を伝えたいと考えました。アニメーションだからこそ表現できた満月や夜景などの幻想的な世界観は、同商品がもたらす幸せな瞬間や特別感をより一層引き立ててくれているかと思います」とコメントしている。
日々様々なアイスクリームが発売される中、同商品が変わらぬ人気を維持している理由を同社に尋ねると、「創始者ルーベン・マタスのモットーでもあり、ハーゲンダッツ ジャパンの企業理念である“Dedicated to Perfection(完璧を目指す)”という言葉に代表される、“美味しいアイスクリームを提供するための、原材料や製法へのこだわり”が、お客様に評価いただいているということに尽きると思います」とのこと。
その“素材そのものの美味しさ”の差が最も出やすいのが、バニラなのだ。事実、同社の主力商品は創業当初から変わらずバニラ。最もシンプルな味が、最も評価されていることからも、ハーゲンダッツの真の実力が伺える。手軽に安価で食べられるバニラアイスクリームにお金をかけ、時間をかけるからこそ、自宅だろうと1人だろうと日常とは違う“贅沢時間”が味わえる気分になる。ハーゲンダッツのCMは、そんな日常の贅沢をついしてみたくなる我々の欲求を引き出す妙が隠されている。