(更新:)
ORICON NEWS
「太ってたら嫌われるの?」摂食障害を経験したモデルが発信、広告パロディ”みんな尊い”に反響集まる
「メディアが“本物のように見せているもの”、実はたくさんある」
バズった広告風シリーズです pic.twitter.com/IIksbQiynt
? Nao/吉野なお*Plus size model (@cheese_in_Nao) April 21, 2020
「Twitterで『日本の過剰な痩身至上主義がもたらした歪み』に関する記事や、『脱毛広告ってモヤモヤするよね』という記事を見かけて、すごく共感したんです。脱毛広告だと『モテないのは体毛が濃いせいだから…』という流れで煽るものもあって、見たときに憤りというか悲しみの感情が生まれて。でも、ただ怒るのではなくて、そのカウンターとして、私なりのユーモアを交えてポジティブ広告を作ってみようと思って。正直、私の投稿にこんなにも反響があるとは思っていませんでした。いわゆる”コンプレックスビジネス広告”のパロディだと気づいてくれる人も多くて、共通認識としてみんなの中にある感覚なんだと実感しました」
――最初にそういう広告を見たときはどう感じました?
「なくなればいいのになって思いましたね。誰も幸せにならない(笑)。コンプレックスを煽るような広告や企画は幼い時から目にしていて。10代の頃は、テレビで健康番組が流行っていて、毎週“○○ダイエット”と銘打った実験企画をやっていました。“たったこれだけで、ウエストがマイナス5cm”とか、データが強調されて、特集で紹介された食材は放送翌日にスーパーから消えて。でも結局データを捏造していたことが問題になって、打ち切りになった番組もありました。メディアが一方的に表現するものの中に、事実のように見せている偽物って、実はすごくたくさんあるんだと思います」
30kgのダイエット経験「自分が太っていることで嫌われないか、すごい気にしていた」
「まず、太っていると人から馬鹿にされるのだと、小さい頃から感じていました。4歳くらいのときから、保育園で他の児童にデブだと笑われたり、直接は言ってこなくても離れたところから私を見て笑っていたりする人が気になっていて。自分が太っていることで嫌われないか、すごい気にしていたんです」
――幼少期のそういう体験って、ガツンと響きますよね。
「そうですね。保育園で、何かのレクリエーションをしていて、違う児童のお母さんの膝の上に座らなきゃいけないことがあった。そのとき私は、そのお母さんの膝に自分の身を委ねられなかったんですよね。お母さんは『乗って大丈夫よ?』って言ってくれたんですけど、でも気を遣ってくれてるのかもと思って。保育園のときには、もうそんなことを考え始めていました。小学生になると、まったく知らない子に体重を聞かれたり、太っていると生理が始まるのが早いらしいという謎の噂が流れて『もう生理になった?』ってクラスの男子が言ってきたり。正直、ありえないじゃないですか」
――ありえないですね。とても傷つくことです。
「私はそういう言葉に対して、言い返せなかったんですね。自分が太っているから言われちゃうんだ、私が痩せれば言われないのかもしれないって思いがずっとあったので。高校生になったときには、アパレルショップで疎外感を感じました。友達と一緒に買い物に行っても、私だけ着れるサイズのものがないからお店の外で待っていたり。そういう経験をするうちに、私が変わらなきゃいけないという意識がどんどん強くなっていって、そのうち好きな人ができて、『もっと痩せてほしい』と言われた時に、ダイエットを頑張る決意をしました。でも、極端なダイエットをした結果、摂食障害になりました」
――拒食症になったときの心情は?
「毎日何度も体重を測って、すごくストイックでした。昨日より体重が減っていると『私ってすごい』と思って。でも、他人と比べたらまだ自分は太っているからもっと痩せなきゃとか、たった数百グラム増えただけでも酷い罪悪感で落ち込んでいました。もともと肩幅があるので、普通の服が入るようになっても自分の身体が大きく見えて。もっと痩せて華奢にならなきゃと言う気持ちが強くて、体重や食べ物に振り回されて、毎日一喜一憂して生きるのがつらかったですね」