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「全ての行動は自己責任」野村周平が語る、過度な“コンプライアンス”への憂慮
多くの作品が、“コンプライアンス”という言葉に囚われ過ぎている
野村の話を聞いていると、昨今叫ばれている「コンプライアンス」という言葉が思い浮かぶ。そこに真っ向から挑んでいるのが本作なのかもしれない。「ANARCHY監督自身は、コンプライアンスなんて考えられない人ですからね」と野村は笑う。「多くの作品が、この言葉にとらわれてしまっていると思う。世間の批判が怖くてがんじがらめになっていると強く感じます」。
そこには野村も忸怩たる思いがあるという。特に現在、海外で生活しているだけに、日本の特異性というのも、より強く見えてくるようだ。「ストレスやジレンマはあります。でも根本が変わらなければダメだと思う。発言の一部を切り取られて、ミスリードさせるニュースもあるじゃないですか? それにおびえて思い切ったことができない人も多いのでは? 映画にしてもそうだと思う」と現状を嘆く。
確かに、野村の周囲を楽しませようとする社交性や、作品への思いなど、彼自身の物事に対する誠実さは尊い。「ANARCHY監督の思いや、僕の思いは、この映画にしっかり乗っているし、僕ら以外のスタッフ、キャストも気合が入っていました。優希美青ちゃんなんか、ある意味で清純派路線を歩んでいくこともできる子だと思うのですが、そういう子が、ANARCHY監督の作品に出てくれるなんて、すごくありがたいですよね。監督とも心を通わせていたように感じました」。
「自分の子どもにダサいと思われたくない」“格好良く生きる”ことへのこだわり
続けて野村は「セルアウトしたくないんです」とも語る。もちろんエンタテインメントの世界に身を置く野村にとって、売れること、ヒットすることの重要性は理解している。「売れるためになにかを耐えることもときには必要だと思います。でもそればっかりに固執すると、一面的なイメージがついてしまうし、なにより自分の感性が鈍ってしまう」。
そんな野村でも、高校を卒業したときは「売れたい」と守りに入った時期があったという。その理由について「学生のときは、仕事がなくても学校に行けばいいけれど、卒業してしまうと、休みはただの休みになってしまう。その怖さがありました」と説明する。しかし、こうして取り繕うことによって「芝居がしづらくなった」と振り返る。そこからは、より自らの思いを貫くようになったという。
俳優としても、既成概念にとらわれず、自らの道を進んでいる印象があるが、製作にも非常に興味があるという。「結局は映画を作ることなのかも」と自己表現の行きつく先について言及する。「コンプライアンスとかが叫ばれているなか、そんなことを気にせず、どんどん進んでいくためには、自分でやるしかないですよね。ヒットのために同じような作品ばかり作っていても面白くないですからね」。
本作には「自己責任」というフレーズが多々出てくるが、「人生においてなにをするにもすべて自己責任だと思っています。僕がこういう人生を選んでいるのも自分の責任。怖さはありますが、今後もやりたいことをしっかり、自己責任として貫いていきたいです」と強い視線で語った。
(取材・文:磯部正和)
WALKING MAN
出演:野村周平 優希美青 柏原収史 伊藤ゆみ 冨樫 真 星田英利 渡辺真起子 石橋蓮司
監督:ANARCHY
脚本:梶原阿貴
企画・プロデュース:橋ツトム
主題歌:ANARCHY "WALKING MAN"(1% | ONEPERCENT)
制作プロダクション:ブロードマークス
配給:エイベックス・ピクチャーズ
製作:映画「WALKING MAN」製作委員会
(C) 2019 映画「WALKING MAN」製作委員会