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【緑黄色社会×河合勇人監督対談】 初の映画主題歌に抜擢、「ずっと伝えたかったことが映画を通して広がっていく」
「心の中で、『今流れてるのは俺たちの曲です!』ってドヤってました(笑)」(小林)
小林壱誓 もともと、『俺物語!!』などの河合監督の作品が好きだったので、お話をいただいたときは「やべ〜ぞ!」と(笑)。純粋に、すごくうれしかったです。
――完成した映画で自分たちの曲が流れてきたときは、どんな感じでしたか?
長屋晴子 自分の歌声がスクリーンから流れているのを、みんなが聴いている…その感覚は初めてだったので、変な表現かもしれないですけど、ちょっと恥ずかしくなりました (笑)。曲が流れるまでは映画にのめり込んでいたんですけど、「想い人」のイントロが流れた瞬間、一瞬、我に返りました。
河合監督 いいところで流れるからね。
小林壱誓 そうなんですよ。僕は心の中で、「今流れてるのは俺たちの曲です!」ってドヤってました(笑)。
――制作はどのように?
小林壱誓 曲を書くにあたって、3回フルで映画を観たんですが、1回目に観たときと3回目では印象が変わって。最初は、若い男女の淡い恋愛だとざっくりと見えていたけど、3回目ではもっと深いところに真理があるような気がしたんです。その深いものは何なんだ?と考えたときに、“お互いを想いあう気持ち”がしっかりとしてるところかな、と。そこからすぐに「想い人」とタイトルが決まりました。
河合監督 いや、さすがですね! 主題歌を作ってくださった方と自分の映画について話す機会は滅多にないのですが、こんなにも深いところまで考えてくれたんだと知り、感動しました。僕が画にできなかったことを音楽に乗せてくれて、映画がより際立つといいますか。3回も観てくれていたという話を聞いて、だからこそこんなにもぴったりと合うんだなと。表面的な部分ではなく、深いところで映画と楽曲がリンクしているから、琴線に触れるんだと思いました。
――監督は「想い人」を聴いたとき、どんな感想を持たれましたか?
河合監督 最初はデモをいただいたのですが、楽曲の世界観、メロディーもすごくいいんだけど、長屋さんの歌声から漏れるブレスに惹かれたんです。生の人間が歌っているんだというのが伝わってきて、迷うことなく選ばせていただきました。あと、何より歌詞が素晴らしいなと。
長屋晴子 ありがとうございます。
河合監督 詩的なんだけど、詩の中に物語がある。短編小説のように、画が自然と浮かんできます。
「見えない気持ちを見事に表現してくれていて、映画にとって重要な要素に」(河合)
長屋晴子 実は、前からこういう歌詞を書きたいなと思っていたんです。自分が大人になっていくにつれて、“誰かを守りたい”という自発的な気持ちがわいてきていて。いつか曲にしたいと思っていたところに、映画に後押ししてもらった感じです。だから、苦労や難しさというものは一切なかったですね。ずっと私の中で伝えたかったことが映画を通して広がっていくと思うと、言葉に表せないうれしさがありますね。
河合監督 こういう“人を想う気持ち”は、わりと不変的なもの。今回はその大切さをそのまま描くのではなく、ファンタジーに包んだところがあるんです。その分、メッセージとしてはちょっと弱くなっている部分があると思うので、緑黄色社会さんのストレートな歌で後押ししてもらえたらいいなと思ったんです。
長屋晴子 人と一緒にいることや人に何かをしてもらうことは、日常的すぎて当たり前に感じてる人が多いと思うんです。でも、それは当たり前じゃないことをこの作品を通して気づいてほしくて。ただ気づくだけでなく、繋げてほしい。受け取った愛を自分も発信していくんだという気持ちを伝えたくて、それを歌詞にしました。
――いろんな角度から、いろんな感情で観られる映画ですよね。
河合監督 映画作りにおいて、想像させることはすごく重要。音楽も同様で、見えていない部分がたくさん感じられたり、書かれている以上のものが伝わるときにこそ、いい音楽だなと思えるんです。今回、見えない気持ちを「想い人」が見事に表現してくれていて、この映画にとって重要な要素になっていると思います。
長屋晴子 想いは目に見えないものだからこそ、受け取った実感を言葉や行動で返していかないと、相手も同じようには想ってくれないのかなと思うんです。「想い人」を通して、まさにそういうことを伝えたいと思ったし、何よりみんなにとっての“想い人”を想像してもらいたいなと思います。
河合監督 いい曲を聴いたときって、繰り返し聴きたくなるじゃないですか。まさに「想い人」はそういう曲になりそうな気がします。
小林壱誓 この映画の記憶とともに、10年後、20年後も聴いてもらえる曲になったら嬉しいです。
「自分たちの音楽を通して、もっと名古屋を元気にしていきたい」(長屋)
長屋晴子 監督も愛知出身と伺ってうれしかったですし、すごく親近感がわきますね。
河合監督 僕は大学で上京したの。初めて東京の街に足を踏み入れたときは、「標準語にしなくちゃ」って言葉遣いを気にしたり、かなり緊張してたね。
長屋晴子 私たちはまだ地元に住んでいるんですけど、東京に来たときも結局メンバーとばかり会話しているので、名古屋の方言とかまったく気にしていなくて。
河合監督 ずっと方言(イントネーションの違い)が出てましたよ(笑)。
長屋晴子 えっ? そうなんですか?(笑)。
小林壱誓 僕も全然気づかなかった(笑)。
河合監督 でも、そんなに気負わずに、自然に身を任せていけばいいと思いますよ。
長屋晴子 はい(笑)。自分たちの音楽を通して、もっと名古屋を元気にしていきたいし、もっと活性化させていくのが目標です。
河合監督 名古屋の人は、ちゃんとした価値にしかお金を払わないという印象があって。だから、名古屋に受け入れられたら、全国に受け入れられたような気がしますね。
――今作ではそんな緑黄色社会と監督が素晴らしいコラボレーションを果たしましたが、今後また一緒にやってみたいテーマはありますか?
小林壱誓 僕はバラードを作るのが得意なんです。だから次回はラブコメとか、コメディに寄った作品で、バラードの主題歌を手掛けてみたいです。
河合監督 いいですね!
長屋晴子 今回初めて主題歌をやらせていただいて、観たものからイメージを広げる楽しさ、難しさも感じられたので、どのような作品でも機会があればぜひまたご一緒したいです。
――最後に、緑黄色社会がグループとして目指すものは?
長屋晴子 結成したころから“国民的存在”になりたい、子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで口ずさめるような曲を生みたい、とメンバーと話していて。その第一歩が今回の「想い人」になったんじゃないかと思いますし、なってほしいと思います。これからもっともっとそういった楽曲を生み出していって、誰もが知るような国民的グループになれたらいいなと思います。
河合監督 “国民的存在”になった際は、「僕が最初に主題歌をお願いしたんだよ」と言いたいと思います(笑)。
小林壱誓 監督にそう言っていただけるように、また次回も指名をしていただけるようにがんばります!
河合監督 さらなる活躍を期待しています!
(写真:草刈雅之 文:星野彩乃)
緑黄色社会 プロフィール
【公式サイト】(外部サイト)
配信シングル「想い人」
8月30日リリース
映画『初恋ロスタイム』
監督:河合勇人
出演:板垣瑞生 吉柳咲良/石橋杏奈 甲本雅裕/竹内涼真
【公式サイト】(外部サイト)