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朝ドラと民放ドラマ…“兼任俳優”が増加、その利点とは?

  • NHK連続テレビ小説『まんぷく』と民放ドラマを掛け持ち出演した(左より)要潤と大谷良平(C)ORICON NewS inc.

    NHK連続テレビ小説『まんぷく』と民放ドラマを掛け持ち出演した(左より)要潤と大谷良平(C)ORICON NewS inc.

 2018年10月期のドラマを見わたすと、松井玲奈、大谷亮平、要潤などの俳優たちが、NHK連続テレビ小説『まんぷく』に出演しつつ、さらに民放の連続ドラマにも出演しており、ここ最近は“掛け持ち出演”のケースが目立っているようだ。前作『半分、青い。』では、佐藤健が同時期にドラマ『義母と娘のブルース』(TBS系)に出演し、異なるキャラクターを演じきって話題となった。主演ではなくても、朝ドラ出演をきっかけに民放の連ドラやCMでブレイクするというパターンも増えている。同クールで朝ドラと民放ドラマを“掛け持ち”する俳優側のメリットとは?

民放ドラマと役の演じ分けも際立つ『まんぷく』出演者たち

 先述の松井玲奈は、『まんぷく』(27話まで出演)で主人公・今井福子(安藤サクラ)の女学校時代の親友を演じながら、『ブラックスキャンダル』(日本テレビ系)では主人公の復讐に協力する後輩女優を演じていた。『ブラックスキャンダル』で包帯グルグル巻き姿などの“怪演”を見せ、視聴者からも「完全にホラーだろ…」と恐怖の声が挙がるほどだった。時代設定も演技も振り幅広すぎだが、元SKE48のトップアイドルという過去は完全に払拭された感もあり、『まんぷく』においても再登場が期待されるほどの演技力の向上を見せている。これを機にさらに女優業の本格化が進みそうだ。

 また、『まんぷく』の大谷亮平は、福子に頼りにされる義兄の小野塚真一を演じており、フジテレビ系ドラマ『結婚相手は抽選で』では、イケメンの御曹司役という安定した“通常営業”を見せていた。要潤も、福子の義兄で芸術家の香田忠彦役と同時に、『僕らは奇跡でできている』(フジテレビ系)では、教授に媚びを売る極度な上昇志向を持つ都立文化大の准教授役という、最近の要らしい個性的な演技を見せている。

 実際、大谷と要は『まんぷく』で戦争の後遺症に苦しむという難しい役どころを演じており、演技の幅を広げると同時に、国民的ドラマへの出演を通して更なる知名度を上げることに成功したと言えるだろう。

“朝ドラ出身”が役者としての看板に 脇役であっても記憶に残る演技が評価

 このように、すでに民放で実績のある俳優たちが、NHKの朝の連ドラに出演することで知名度を上げつつ、役者としてもワンランクアップするという流れは定番化しているようだ。最近の朝ドラでは主演女優も、かつての“オーディションで選出されたほぼ未知数の新人女優”ということもなく、ある程度、実績のある若手女優が起用され、国民的女優になるというパターンが増えている。

 前作『半分、青い。』(2018年)の永野芽郁も、若手女優としての地位をすでに築いてからの主演であった。『ひよっこ』(2017年)の有村架純も、『あまちゃん』(2013年)で小泉今日子のアイドル時代を演じていた“再登場組”。『とと姉ちゃん』(2016年)の高畑充希は、『ごちそうさん』(2013年)でヒロインの夫の妹役として出演、『まれ』(2015年)の土屋太鳳も当時すでに若手女優の“中堅組”と言える存在だった。

 また、朝ドラの脇役としても、清原果耶は『あさが来た』(2015年)の女中・ふゆ役が話題となって、最終回ではふゆの娘・ナツ役で再登場。以降、ドラマや映画出演も増え、NHKドラマ『透明なゆりかご』(2018年)では主演を務めるまでになった。『ひよっこ』の松本穂香は、有村演じる谷田部みね子の同期・青天目澄子役を演じた後、CMや映画の出演が次々と決定。徐々に露出が増えていき、今年7月期のドラマ『この世界の片隅に』(TBS系)には、ヒロイン・すず役に抜擢された。朝ドラでは、脇役でも十分に主演級の役者に成長できることを証明しているとも言えるだろう。

半青×ぎぼむすで“国民的俳優”に、佐藤健に称賛の声

 そうした中、朝ドラ&民放連ドラ掛け持ちでもっとも株を上げたのは、佐藤健ではないだろうか。『半分、青い』ではヒロイン・鈴愛の幼なじみ役で、クールな理論派ながら誰よりも優しく傷つきやすい好青年の律を演じる一方、『義母と娘のブルース』ではフーテンのダメ男という真逆の役柄を好演した。

 佐藤本人も、「時期が重なったことは“幸運だった”としか言えないし、ラッキーだなって。僕は、来年の3月で30歳になるんですが、20代後半はたくさん働くと決めていて。今まで連ドラもあまり出てこなかったから、珍しく時間を縫って同時に2作品の現場を経験して大変だった」(ORICON NEWS/2018年10月28日)と、振り返っている。同時期の撮影に感謝しながらも手応えを感じているようであり、役者としての貫禄すら漂っていた。実際、朝ドラの初出演によって、佐藤は“若手イケメン俳優枠”から一歩抜け出し、老若男女に認知される“国民的俳優”になった感がある。

 現在、放送中の『まんぷく』でも、トップ級の俳優とも言える長谷川博己がヒロインの夫役として出演し(主役ではない)、さらなる高みを目指しているかに見える。そして、2019年前期の朝ドラ『夏空』では、若手女優の先頭をひた走る広瀬すずが、“満を持して”登場することになるのだ。

今後も朝ドラと民放の連ドラを両立させることで、俳優は役の振り幅と知名度を高め、朝ドラと民放連ドラが互いに好影響を与え合うという、“ウイン×ウイン×ウイン”の構図を繰り広げていくことになるのではないだろうか。

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