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朝ドラと民放ドラマ…“兼任俳優”が増加、その利点とは?
民放ドラマと役の演じ分けも際立つ『まんぷく』出演者たち
また、『まんぷく』の大谷亮平は、福子に頼りにされる義兄の小野塚真一を演じており、フジテレビ系ドラマ『結婚相手は抽選で』では、イケメンの御曹司役という安定した“通常営業”を見せていた。要潤も、福子の義兄で芸術家の香田忠彦役と同時に、『僕らは奇跡でできている』(フジテレビ系)では、教授に媚びを売る極度な上昇志向を持つ都立文化大の准教授役という、最近の要らしい個性的な演技を見せている。
実際、大谷と要は『まんぷく』で戦争の後遺症に苦しむという難しい役どころを演じており、演技の幅を広げると同時に、国民的ドラマへの出演を通して更なる知名度を上げることに成功したと言えるだろう。
“朝ドラ出身”が役者としての看板に 脇役であっても記憶に残る演技が評価
前作『半分、青い。』(2018年)の永野芽郁も、若手女優としての地位をすでに築いてからの主演であった。『ひよっこ』(2017年)の有村架純も、『あまちゃん』(2013年)で小泉今日子のアイドル時代を演じていた“再登場組”。『とと姉ちゃん』(2016年)の高畑充希は、『ごちそうさん』(2013年)でヒロインの夫の妹役として出演、『まれ』(2015年)の土屋太鳳も当時すでに若手女優の“中堅組”と言える存在だった。
また、朝ドラの脇役としても、清原果耶は『あさが来た』(2015年)の女中・ふゆ役が話題となって、最終回ではふゆの娘・ナツ役で再登場。以降、ドラマや映画出演も増え、NHKドラマ『透明なゆりかご』(2018年)では主演を務めるまでになった。『ひよっこ』の松本穂香は、有村演じる谷田部みね子の同期・青天目澄子役を演じた後、CMや映画の出演が次々と決定。徐々に露出が増えていき、今年7月期のドラマ『この世界の片隅に』(TBS系)には、ヒロイン・すず役に抜擢された。朝ドラでは、脇役でも十分に主演級の役者に成長できることを証明しているとも言えるだろう。
半青×ぎぼむすで“国民的俳優”に、佐藤健に称賛の声
佐藤本人も、「時期が重なったことは“幸運だった”としか言えないし、ラッキーだなって。僕は、来年の3月で30歳になるんですが、20代後半はたくさん働くと決めていて。今まで連ドラもあまり出てこなかったから、珍しく時間を縫って同時に2作品の現場を経験して大変だった」(ORICON NEWS/2018年10月28日)と、振り返っている。同時期の撮影に感謝しながらも手応えを感じているようであり、役者としての貫禄すら漂っていた。実際、朝ドラの初出演によって、佐藤は“若手イケメン俳優枠”から一歩抜け出し、老若男女に認知される“国民的俳優”になった感がある。
現在、放送中の『まんぷく』でも、トップ級の俳優とも言える長谷川博己がヒロインの夫役として出演し(主役ではない)、さらなる高みを目指しているかに見える。そして、2019年前期の朝ドラ『夏空』では、若手女優の先頭をひた走る広瀬すずが、“満を持して”登場することになるのだ。
今後も朝ドラと民放の連ドラを両立させることで、俳優は役の振り幅と知名度を高め、朝ドラと民放連ドラが互いに好影響を与え合うという、“ウイン×ウイン×ウイン”の構図を繰り広げていくことになるのではないだろうか。