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ガンプラ│トップモデラーインタビュー(ガンダムプラモデル)

伝説の表紙を再現 『オラザク選手権』大賞受賞者が語る「見直される旧キットの“色っぽさ”」

(左)伝説の模型誌『HOW TO BUILD GUNDAM2』の表紙を現代風にアレンジしたmat氏(@Matmat825)

(左)伝説の模型誌『HOW TO BUILD GUNDAM2』の表紙を現代風にアレンジしたmat氏(@Matmat825)

 今年、40周年を迎えたガンプラがこれほど愛され、進化を続けている要因としてモデラーたちの“指標”となる模型誌の存在は大きい。今回、1982年に発売された『HOW TO BUILD GUNDAM2』の表紙“ガンダムフルハッチオープン”を現代風にアレンジしたmat氏(@Matmat825)に、制作への想いとこだわりを聞いた。

数年前から旧キットのプロポーションの良さが再評価されている

――本作は第22回『全日本オラザク選手権』で大賞を受賞しました。“ガンダムフルハッチオープン”を制作したキッカケを教えてください。

【mat】三十数年前に『月刊ホビージャパン』から『HOW TO BUILD GUNDAM 2』という伝説の別冊が発売されまして、その表紙の作例がガンダムフルハッチオープンだったんです。それを見たときの衝撃が凄まじかったんですが、当時小学生の自分に作れるわけもなく、その後はすっかり忘れていたんです。そして時は流れ、一昨年前、たまたま作り始めた旧キット1/60ガンダムを作ってるうちに当時受けた衝撃を思い出し、「これ、今ならフルハッチにできるんじゃないか?」と、制作に至りました。

――完成品のベースとなっている旧キットを使用した理由を教えてください。

【mat】お手本のガンダムフルハッチオープンの作例が旧キットを使っていたからですね。

――旧キットが今なお人気な理由はなんだと思いますか?

【mat】数年前から旧キットのプロポーションの良さが再評価される動きがありまして、実際に手にしてみると現代のキットにはない“色っぽさ”があちこちにあるんです。しかもポイントを押さえれば、少しの加工でびっくりするくらい良い感じになる。手を加える余地が少なくなってきた現代のキットとは対象的な楽しみが旧キットにはあると思います。そんなところも人気の理由の1つかなと思います。

――ちなみに、matさんにとって思い入れの旧キットを教えてください。

【mat】1/144の06R(高機動型ザク)です。中学生時代、パッケージアートに痺れました。

――旧キットを改修していくうえで、苦労したポイントを教えてください。

【mat】足の裏を平らにするのが大変なことです。モナカ割りなのでどうしても足裏の中央にパーティングラインが出てしまうのですが、ヤスってもヤスってもなかなか平坦にならない。ロボは足裏を地面にぴったりつかせる必要がありますから。

■男子はみな“アンバランスさ”や“メカ感”に興奮する

――本作で注目してほしい箇所は?

【mat】胸や、足首などがそうなんですが、“ハッチの中にハッチ”を取り付けたので見て欲しいです。車のボンネット内のメンテカバーのような表現で、1/60ならではのディテールになったかと思います。

――今おっしゃっていた内部メカのポイントを教えてください。

【mat】内部メカはPGガンダムとハセガワのアパッチの部品を使っています。それらを適度に混ぜて、穴からはみ出し気味で詰め込みました。(もしハッチが開閉可能だったとしたら絶対閉まらないレベルです)あと、ケーブルをいろんな部分に仕込んだんですが、這わせ方とか弛ませ方を実物の重機を参考にしました。

――本作にとってはハッチが“見せ場の1つ”であると。

【mat】はい。男子はみな“フルハッチオープン”が大好きですから。機体のシルエットがハッチを開けることで崩れてしまうことや、ハッチを開けるとメカがぎっちり詰まってることによる“アンバランスさ”や“メカ感”に興奮してしまうんですよね。

――『HOW TO BUILD GUNDAM 2』表紙の作例を参考にされたと思います。自分なりのアレンジはどう考えましたか?

【mat】お手本は『HOW TO BUILD GUNDAM 2』表紙の作例ですが、そのまま作ってもコピーにしかなりません。お手本と今回の完成品を並べて比較するとプロポーションやマーキングやディテールが結構今っぽくなっていると思います。オリジナル曲に対するカバー曲のように、オリジナル曲の“守るべき部分”を見極めつつ、“カバー曲なりの良さ”を出していくというのと似てますね。

――カラーリングやマーキングでこだわった部分は?

【mat】ハッチに注目が集まるように工夫しました。例えば、目立つ赤の差し色や赤いマーキングはなるべくハッチ内に集中させたり、キラッと光る細かく切ったミラーシートやホログラムシートもハッチ内のメカに多用しました。

『GBWC』でもトップを目指したい

――では、本作でもっとも気に入っている部分は?

【mat】どこかな?腰サイドの「脱出」ボタンでしょうか。これは、劇場版「機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編」で、アムロがラスト間際にガンダムのAパーツ(上半身)を強制排除するために使用したボタンです。これを再現したところは気に入ってますし、見せると結構ウケます。

――細部のこだわりが光りますね。今後はどんな作品にチャレンジしますか?

【mat】今後もガンプラ中心に制作を続けて行きますが、今年は『ガンプラビルダーワールドカップ(GBWC)』にチャレンジする予定です。『オラザク選手権』の大賞に続き、『GBWC』でもトップを目指したいと思います。進捗は都度Twitterやブログ(mat modeling service )で発信していますので、よろしければぜひ見てください。

(C)創通・サンライズ

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