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ガンプラ│トップモデラーインタビュー(ガンダムプラモデル)
“ミキシングビルド”でアニメシーン再現「誰も立体にしようと思わないMSを作りたい」
再現したアニメシーンはコレ!『ガンダムブレイカーモバイル』アニメPV
“ミキシングビルド系”の機体は「どのパーツ?」って考えるのが楽しい
【山田良太】YouTubeで『ガンブレ』のPVを見た際に、ガンダムアルテミスと対峙するカッコいい構図に痺れました。さらに、一見サイコ・ガンダム風なんだけど、各部位にサイコ・ガンダムMk-IIやクィン・マンサのパーツが使用された“ミキシングビルド系”の機体。純粋に「どのキットパーツを使っているんだろう?」って前のめりになって見ちゃいました。
――使用したキットを教えてください。
【山田良太】1/144 HGサイコ・ガンダムを基本に、二の腕はMGキュベレイを使用。バインダーはクシャトリヤのものから作りましたが、ほとんどフルスクラッチしたものを原型としています。頭部と背中のスタビライザーのようなパーツはGFFメタルコンポジットの頭部をレジンで複製。バックパックや腕は、ジャンクパーツやプラ板やパテの組み合わせで原型を作り再現しました。
――制作において苦労した点はありますか?
【山田良太】バインダーの原型制作でしょうか。この手の作業は好きなのですが、出来上がってきた原型を仮組み中の本体と合わせてみると、実は大きさが足りなくて…(苦笑)。致し方なくあらためて原型にノコを入れて、サイズを大きくする、という作業が発生した時はゾッとしました。
――こだわった部分はどこでしょうか。
【山田良太】アニメシーンに見えるように背景を当てて撮影したことです。僕が毎週末開催している模型制作交流会『プラモつくろーぜ会』では撮影ブースにいくつもの“背景パネル”を用意しいます。プラモが出来た方はそこで好きな背景で撮影が出来るのですが、率先して僕もやってみました。
――本作で特に気に入っている点はどこですか?
【山田良太】1/144スケールとは言え、サイコ・ガンダムベースで制作していたので、大物を作っている感じを味わいながら作ったところでしょうか。仮組みをしているとだんだん目の前で迫力を出し始めたので、そうなってくるとワクワクが止まりません。
兵器にされた強化人間から感じる“悲哀”
【山田良太】そうなんです、僕の好きな『機動戦士Zガンダム』とその続編の『ZZガンダム』に出てくる機体で構成されているモビルスーツ(以下、MS)だってことも、制作意欲が沸いた要因です。せっかく作るなら「好きなMSを作りたい」と思ったし、加えて「ちょっと大きなものを作りたい」という欲求もありました。
――確かに、『ガンブレ』PVのこのシーンからは、ガンダムアルテミスを“威圧”する敵役としてのプレッシャーや巨大を感じます。
【山田良太】PVを一通り見て、このシーンのアルテミスがいかにも「ラスボスに向かう主役機」みたいに見えて、シーンのドラマ性を再現したくなりました。夕日をバックにしているのもカッコイイですよね。
――本作のテーマや作品名はありますか?
【山田良太】制作した機体が、サイコ・ガンダム、サイコ・ガンダムMk-II、クィン・マンサと混ざったものですし、夕焼けを背にしているので『逢魔時のクィン・マンサ』といったテーマを設けました。“逢魔時”というのは、たそがれ時に魔物に遭遇する、というような意味もあります。
――“魔物に遭遇”するという感じをどう表現しましたか?
【山田良太】使用したMSが相当大きい機体なので、その巨大さからくる“圧”を感じて欲しいなと思い、ポージングや撮影するアングルに気を使いました。
――先ほど、『Zガンダム』と『ZZガンダム』に思い入れが強いとおっしゃっていましたが、どのような思い出がありますか?
【山田良太】『ZZガンダム』の終盤で出てきたクィン・マンサはグレミー・トトの切り札でした。グレミーとジュドーが対峙するくだりは、当時リアルタイミムで見ていた身としては思い入れの強いシーンですし、プルからは“強化人間”の切なさも感じました。
――サイコ・ガンダムやクィン・マンサといえば強化人間とセットになっています。ガンダムストーリーおける“強化人間の役割”とはどんなものだと感じますか?
【山田良太】元々は一年戦争時、ジオン軍による戦意高揚のプロパガンダの1つだったのでしょうが、戦争末期から出現した強化人間の戦果や有用性は看過できないものになりました。強化人間を“戦争の道具”にしか活用できないのは、戦時における“ヒトのサガ”なのでしょうか。
――思い入れの強い強化人間は?
【山田良太】『ZZガンダム』に登場するエルピー・プルとプルツー、『ガンダムユニコーン』のマリーダさんですね。未登場の他のプル達にも悲しいストーリーがあるのでは?と思うと切ない気持ちになりますね。
ガンダムゲームをプレイすると「自分はニュータイプ?」と錯覚する
【山田良太】僕は最初のファミコンソフト『機動戦士Zガンダム ホットスクランブル』を当時やりこんでいました。努力の甲斐があって一度だけ全面クリアした時は、我ながらニュータイプになれた気がしたものです(笑)。あと、ディスクシステムで発売された『SDガンダム ガチャポン戦士 スクランブルウォーズ』もハマりにハマってプレイしました。コンピューターの思考時間がめちゃくちゃ長かったのも懐かしい思い出です(笑)。
――ガンダムゲームの良さは自分がパイロット気分を味わえることですね。
【山田良太】プレイステーションやセガサターンではコクピット視点で操作するものも発売され、よりMSを操縦する気分を味わえるようになり、プレイしながら高揚したのを覚えています。今回、YouTubeで『ガンブレ』のPVを見て久しぶりにガンダムゲームをプレイしてみて、ちょっとドキドキしました(笑)。
――どんな所にドキドキしましたか?
【山田良太】実は、スマホでゲームをする機会が全然なかったので、それがまず新鮮でした。それと、『ガンブレ』をやってみて「油断するとハマる!」という恐怖を感じました(笑)。「いや、僕には締め切りが…!」という健全な感情の起伏を久々に体験できました。
――今後、他のミキシングビルド系のガンプレを作るなら?
【山田良太】『ガンブレ』PVに出ていた機体はどれも魅力的で、挑戦意欲を喚起されるものばかりでした。次に挑戦するなら、「誰も立体にしようと思わないMS」を制作してみたいですね。
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