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ガンプラ│トップモデラーインタビュー(ガンダムプラモデル)

「俺の知ってるアッガイさんじゃない…」表現したのは『エヴァ』的な“躍動感”

 40年の歴史を持つ『機動戦士ガンダム』において、バリエーション豊富な“敵役”モビルスーツ(MS)の存在を抜きに語ることはできない。中でも、ファーストガンダムに登場する水陸両用MSのアッガイは老若男女に愛されるマスコット的存在だ。今回、そんなアッガイのジオラマを制作した、えーちん氏をインタビュー。幼少期にガンプラに魅せられた理由や、“跳躍するアッガイ”に影響を与えた『エヴァンゲリオン』について聞いた。

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ジオラマは工作の“総合格闘家” 技法にこだわると新しい発想が生まれない

――本作の作品名やテーマはありますか? 

【えーちん】作品名はギリシャ神話の海と地震を司る神の名である「poseidon」(ポセイドン)にしました。戦場を渡り歩いた歴戦の機体(アッガイ)の最終決戦をイメージしています。

――“躍動感”が凄すぎて、私が知っているアッガイと随分と様子が違うのですが…(笑)。使用されたキットを教えて下さい。

【えーちん】使用キットは1/100 MGアッガイです。良く出来たキットでギミックも盛り沢山。とても良く動くので、このジオラマのポージングも可動範囲内で固定しています。

――このジオラマでこだわった匠のポイントは?

【えーちん】一年間かけて基地のジオラマを作った後だったので、とにかく「動」のジオラマを作りたくて躍動感溢れる作品を目指しました。ポージングも大事ですが、水飛沫や蒸気の表現に悩みましたね。水飛沫は油彩画用のメディウム類を、蒸気表現には綿を使いましたが、単なる綿に見えない様にするのに試行錯誤した思い出があります。ただ、実は“こだわり”という部分はありません。というのも、模型、ジオラマには柔らかい頭を持つ事が大事だと感じるからです。

――なるほど、技法にこだわりすぎると“新しい発想”が生まれづらくなると。

【えーちん】ジオラマ制作をしていると殆どの作業が初めてで、広い意味で工作の“総合格闘技”だと感じます。ただ、一つひとつに挑戦して行く気力を保持するのは、モデラーにとって「苦労」と言えるかもしれません。

――本作を制作するにあたって、インスピレーションを受けたアニメ、漫画、作品などはありますか?

【えーちん】幼少の頃に見たファーストガンダムの影響はあります。連邦軍の基地にズゴックやゴッグが上陸するシーンはドキドキしました。あと、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の人間みたいなダッシュやジャンプは強く印象に残っていて、あんな躍動感をアッガイで表現したかったのかもしれません。

幼少期、寂しさを紛らわす様にガンプラにハマっていった

――本作の反響はいかがでしたか?

【えーちん】去年、大阪での展示会に参加しましたが、色々な方にお声掛け頂きました。作り手として直に作品を見て頂ける場があるのは有り難いです。特に印象に残っているのは、中学生の男の子がこのジオラマの作業工程を訪ねてきてくれて、それを熱心にメモしていました。若い方が模型やジオラマに興味を持ってくれる事はすごく嬉しいんです。

――数多くジオラマを制作されていますが、ジオラマの醍醐味とは? 

【えーちん】ジオラマは作り手にも物語がありますが、見て頂く方それぞれに違った物語が生まれるんですよね。一つの作品が見方によって異なる物語になっていく。それが楽しいんです。

――このアッガイジオラマも、見た方によって想像する物語は全く違うと思います。ちなみに、アッガイとの思い出は?

【えーちん】私が小学二年生の時にガンプラブームが来たのですが、ガンプラ自体売り切れで中々買えませんでした。当時のおもちゃ屋は早い者勝ちだったのですが、私は幸いにも選んで買うことができました。その時選んだのが「1/144ジオン軍モビルスーツ アッガイ」でした。友達に「…なんでアッガイなん?」て言われたことを思い出しました(苦笑)。

――なぜアッガイだったのでしょう。

【えーちん】アッガイにはキャラクター性を感じます。水陸両用のMSはどれもズングリしてて可愛いですよね。特にアッガイは悪者感薄いですし(笑)。シルエットはドラえもんなのに、シャキーンと爪が飛び出て左手はロケットランチャー。そして頭には4連装のバルカン砲…まさに“ギャップ萌え”じゃないですかね。

――今後作ってみたいジオラマは?

【えーちん】水中を3機くらいで巡航するシーンも良いなと思っています。ただイメージが沢山頭の中にあって悩みますね。静かなジオラマも好きでして、MSの機体をバックに隊員の皆で記念写真撮ってるとこなんかも素敵ですね。

――えーちんさんにとってのガンプラとは?

【えーちん】私にとってガンプラは「懐かしい」が最初に立つんです。幼少時、家庭の事情で凹んでいた時に、寂しさを紛らわす様にガンプラにハマっていきました。だから、その時の感謝と言いますか、有り難みみたいなのがガンプラ制作の根底にはあります。

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(C)創通・サンライズ

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