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ゴルゴにAI…伝統の『養命酒』がなぜか攻めてる!? SNSで“バズるプロモ”で若年層売上が120%に

 『薬用養命酒』といえば、伝統ある医薬品であり、その名のとおり年配の人が滋養強壮のために飲むもの、というのが一般的なイメージではないだろうか。だが、そんな養命酒に、ここ数年で異変が起こっている。ツイッターには、着ぐるみ風のおかしなキャラクター“ビンくん”が登場。さらに毎年行っているプレゼントキャンペーンでは、『ゴルゴ13』とコラボして“養命酒アタッシュケース”を制作するなど、なぜか攻めている。養命酒は、一体どこに向かっているのか? 最新の『AI養命酒』キャンペーンでも活躍中の“ビンくん”と、養命酒製造株式会社のマーケティング担当者を直撃した。

★可愛すぎる! 働くビンくん&ハコさん動画♪

マーケティング部所属の「ビンくん」と「ハコさん」、いつからいるかはわからない

 『薬用養命酒』は、14種類もの自然の生薬を原料に作られている、滋養強壮に優れた医薬品。1600年頃に創製されたという。この伝統的なロングセラー商品を販売しているのが、養命酒製造株式会社。同社の会議室で待つ我々取材班のもとに現れたのは、「養命酒の瓶」さん、「養命酒の箱」さん両名だ。

 養命酒そのままの姿で商品の普及に務める、マーケティング部所属「養命酒の瓶」、通称“ビンくん”が颯爽と同社のツイッターに登場したのは、今年の5月。

 「ビンくんとハコさんは、気がついたらマーケティング部の社員として働いていました。いつからなのか、僕らもよくわからないんですけど(笑)。ビンくんはとても活発で、社内ではイジられキャラ。ハコさんは、無口でジェントルなタイプです」(マーケティング部専門課長 鳥山敦志さん)

「健康のための養命酒なのに、殺し屋とコラボなんかしていいのかっ!?」

 生真面目かつ、おカタイ会社かと思いきや、意外とユルい。ここ数年、話題になっているキャンペーン商品は、このような穏やかで自由な社風から生まれたのだと推測できる。開発に携わっているという、ビンくんにも話を聞いてみた。

 「キャンペーンの開始は2013年からです。養命酒抱き枕や、『ゴルゴ13』とコラボしたアタッシュケースから始まり、『コップのフチ子さん』コラボ、ジャンボ抱き枕など、いろんなアイテムを作ってきました。『ゴルゴ13』のときは、『健康のための養命酒なのに、殺し屋とコラボなんかしていいのかっ!?』と、お客様からお叱りを受けてしまうかも…という不安があったんです。でも、勇気を出してやってみたら、『面白い!』といった好意的な声ばかりで、ホッとしました〜。ちなみに、今までで一番、応募数が多かったのは、『Yomeishuモバイルバッテリー』の23万件ですね! 2年前の『ポケモンGO』が流行った時期で、モバイルを酷使する人が多かったせいでしょうか〜? 体の疲れは養命酒でチャージして、スマホの疲れはバッテリーで! という意図で開発したんですよ」(ビンくん)

 毎回話題になるキャンペーンだが、単に面白い物を作ろうというわけではなく、ベースには医薬品としての養命酒の効能を伝えるという、しっかりとしたコンセプトがある。

 「抱き枕のときも、ただ養命酒を大きくして面白くしたのではなくて、養命酒には冷え症を改善する効能がある→冷えがなければよく眠れる=抱き枕という発想なんです。話題性とともに養命酒本来の効能を知ってもらうために、どんなキャンペーン商品を開発したらいいのか? マーケティング部一同、日々一生懸命考えているんですよ〜」(ビンくん)

新規の若年層売上が前年比120%、キャンペーンが購買層拡大のきっかけに

 若年層を意識したキャンペーンも、ついに20回目。今回制作したのが、まさかの『AI養命酒』だ。キャンペーンでは、養命酒型スマートスピーカー『AI養命酒』、その開発途中で生まれたオウム返ししかできないロボ『AI養命酒初号機』を抽選でプレゼントするほか、ツイッター限定企画も展開。ここでも、“心と体をケアして健やかな生活を”といった、養命酒ならではの想いが込められている。同社WEBサイトでは、使用例として数々のオトボケ動画もアップしており、開発チームの“養命酒を楽しみながら知ってもらいたい”という心意気が感じられる。

 「そうなんです! そして、AIやモバイルバッテリーといった、最先端の言葉と伝統的な養命酒をくっつけたときのギャップ? インパクトも、なかなかのものでしょう!? 『キャンペーンをきっかけに飲んでみた』という声も届いていて。養命酒の良さが伝わってくれて、ボクもうれしいです!」(ビンくん)

 「若い世代の方たちも、『自分にはあまり関わりのない、古くからある固い企業だと思っていたけれど、何か面白いことをやっているな』という認識になってきました。『今度は何を仕掛けてくるんだろう!?』といった声も増えてきていますね」(鳥山さん)

 これらの努力により、以前はコアなターゲットではなかった20代後半から40代にも、ユーザーが拡大してきているという。実際、2013年から2015年にかけて行われた計4回のゴルゴキャンペーンでは、応募総数が約9万1000件に。2014年から2015年のキャンペーン期間中、新規ユーザーの若年層売上の割合は前年比120%。キャンペーンをはじめとした養命酒のチャンレンジは、着実に結果に繋がっているようだ。

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