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【TBSアナウンサー×「ラジオ」Vol.5 堀井美香】久米宏に漂う放送人の矜持 23年前の入局時からブレない“声の仕事”の思い

TBSアナウンサー 堀井美香

TBSアナウンサー 堀井美香

 6月11日から17日に実施された個人聴取率調査(ビデオリサーチ首都圏ラジオ聴取率調査)で見事トップを獲得し、2001年8月から102期連続(17年間)という大記録を達成するなど、ラジオ業界では一人勝ち状態のTBSラジオ。そんな同局の特色のひとつとなっているのは、テレビとラジオの両方の放送局を持つ「ラテ兼営」という点。普段テレビでよく見るアナウンサーの意外な一面が、「ラジオを聞けば、見えてくる」と好評を博している。

 そこで今回、TBSラジオで番組を担当しているアナウンサー陣を対象に、テレビとは異なるラジオ独自の魅力を聞くリレーインタビューを敢行。第5回は、2009年4月から『久米宏ラジオなんですけど』でアシスタントを務めている堀井美香アナ(46)。ラジオブースで9年以上にわたって毎週向かい合ってきたからこそわかる久米宏のすごみ、そのほかの担当番組で共演している竹中直人、ジェーン・スーとのエピソード、入局当初から力を入れている“声の仕事”への思いまで、持ち前の透き通った声で語り尽くす。

オンエア5分前に初対面 共演9年間で実感「久米さんを越える人はこれからもいない」

――2009年4月に『久米宏ラジオなんですけど』のアシスタントを担当されてから、10年目に突入しました。

堀井美香久米さんには本当に良くしていただいていて、私がアシスタントとしてやっていることは全くなくて、久米さんのおしゃべりを毎週聞きに行っている感覚なので、申し訳ないなと思っているんです……。
――初めて久米さんとお会いした時の印象は?

堀井美香実は、それまで久米さんにお目にかかったことがなくて、オンエアの5分前に初めて会ったんです。何の打ち合わせもせずにいきなり生放送でした。私の中で久米さんは、白洲次郎や坂本龍馬と一緒の“伝説の偉人”のような存在でしたので、生身の久米さんをみて驚きましたね。久米さんは、私の年齢や子どもがいるということを知っていらして、もっと落ち着いた女性をイメージしていたようで、本番前にスタジオにパッと入ってこられると「あー意外と若いね」と言われて、そのまま放送に入りました(笑)。

――インパクトのある出会いですね。そこから2時間の生放送をずっとご一緒されてきて、久米さんとはどういう人物でしょう?

堀井美香最初からずっとやさしいです。私のことをからかったりしますけど、上品ですし、紳士ですし、私が嫌そうなことは絶対に言わないという部分は一貫しています。相手のことを考える大人の余裕があるんでしょうね。そんな久米さんとご一緒しているので、私が準備をするなどおこがましいなとも思ったりもして……。ゲストをお迎えするコーナーは一応勉強しておきますが、それは久米さんの話を妨害しないためですね(笑)。話に私がちょっと水を差したくらいで動じる方ではないのですが、肝になるところにうっかり触れないように気をつけています。

――番組冒頭の久米さんのフリートークも『ラジオなんですけど』の魅力のひとつです。

堀井美香12分ほどお話をされる中で、最後の10秒で話が変わったりして、あれは久米さんじゃないとできないです。私がフリートークを苦手としていることもあって、久米さんのフリートークを文字起こしして、何か系統を見つけ出そうと2〜3ヶ月くらい頑張ったことがあったのですが、まったく解読できずでした(苦笑)。さらに書き起こしをしてみると、自分の合いの手も入ってきて「私のその一言いる?」と思ってしまったり……。私の相づちはいらないのではと思い、フリートーク中に1回も反応しないでおこうと頑張ったのですが、最後の1分くらいで「アハハ」と心の底から普通に笑っちゃって「あーあ失敗だ」と……。リスナーさんに久米さんの話を一番いい状態で聞いていただくための手探りは今も続いてますね(笑)。

――間近で見ている堀井さんだからこそ感じる、久米さんの魅力は?

堀井美香ちゃんと久米宏として生きている、常に久米宏であろうしているところです。番組をご一緒させてもらって9年以上になりますが、スタイルもずっと保っていらっしゃいますよね。パーソナリティーとしても普通の人とはやり方が違っていて、権威を批判する時にも軽妙洒脱というか、皮肉を入れられたり。真っ向からいくんじゃなくて、エンターテインメントとして批判する方法は誰にもできないです。それは久米さんが長年ニュースをされてきたことによる蓄積や、いろんな事象を知っているという自信がないとできないなと思って……、なんかすみません。「なんでお前が久米さんを語るんだ」ってなっていないですか(苦笑)。

堀井美香この前、テレビの同期と話をする機会があったのですが「オレたちが会議でやっと思いついたことを、久米さんがもう30年前にやっているんだよ」と。やはり、久米さんが報道もニュースのあり方も変えたし、テレビ番組も変えたのですが、それ以降は基本的に変わってないんだと思っています。私たちは新しい事を見つけられていないんです。アナウンサーに関しても、久米さんを越える人はこれからも絶対に出てこないんじゃないでしょうか。唯一、安住(紳一郎)くんは、ものすごく優秀で、彼の才能や努力を心から尊敬していますが、久米さんとはまたちょっと違った軌道をたどっていますものね。

――『安住紳一郎の日曜天国』には“横浜のすいみんみん”というラジオネームで投稿されたこともありましたね。

堀井美香よくご存知ですね(笑)。フリートークの苦手を克服すべく、番組の企画として「リスナーとしていろいろな番組に投稿してみよう」と出してみたことがありました。生まれて初めてのラジオ投稿が『日曜天国』で、採用されなくて、残念だなと思っていたらいきなり(抽選で当たる)カルピスセットの当選者になってしまいました(笑)。昔からこういう時、すごく引きがあるんですよね。『日曜天国』のスタッフから住所をメールで聞かれまして……。これはもらったら大問題になるだろうなって思って「すみません、堀井美香です。カルピスセットはいりません」と返信したら、大騒ぎになったようで、結果的に安住くんが私の投稿したメールを『日曜天国』で読み上げるに至りました(笑)。

ジェーン・スーは「TBSラジオの新しい局面を見せてくれる」 朗読とラジオの親和性に期待

――『竹中直人〜月夜の蟹〜』は、ラジオドラマを思わせる展開で進行します。

堀井美香竹中さんとは19年ご一緒しているのですが、ゲストの方々は皆さん竹中さんを慕って集ってくる感じです。ラジオやトーク番組には出ないけど竹中さんなら、という方も多いです。忌野清志郎さんは4回ほどいらしたんですけど、スタジオまで自転車を乗ってきてくれたり、3人でずっとウソの話をするっていう放送もやりましたね(笑)。原田芳雄さんも3〜4時間くらいお話してくれて、山崎努さんはお酒を飲みながらお子さんの話や、放送できない恋の話などもしてくれました。スタジオも実際にちょっと暗めの照明にして、バーみたいな感じで収録しているのですが、私はバーのママさんのような役割でしょうか……。始め竹中さんとゲストの方とのトークにお付き合いして、お二人が盛り上がってきたら引いて聞いているいうスタイルですね(笑)。
――ジェーン・スーさんとも2013年10月からの『ザ・トップ5』でのタッグから、現在の『ジェーン・スー生活は踊る』の金曜パートナーまで、長い付き合いです。

堀井美香『トップ5』はやりたいようにという感じでしたけど、『生活は踊る』では「ちゃんとやろう!」と決めました。『生活は踊る』が終わった後に、予定が空いていたら二人でご飯に行くのですが、たいていは無駄話をしたり、長年連れ添った夫婦みたいに、それぞれ携帯を触ってて会話を全然しなかったり(笑)。でも何となく「ここの方向で合っているよね」といった意識の確認は2人でできているかなと思っています。スーさんはクリエイターとしても天才です。企画や人を打ち上げて花開かせる技は、もはやお家芸ですし、常に私たちより数段先を考えていますね。

堀井美香だから「この人の考えに頼りたい」と思う人がたくさんいて、主婦の方、OLさん、学生さんといった、今までTBSラジオにいなかったリスナー層がついてきてくださってます。私も地元の駅で、お母さんたちに囲まれて「ホーリーだ!」と声をかけていただいたことがあって。これまで主婦のみなさんに声をかけられる機会がなかったので、スーさんの力はすごいなと感じました。TBSラジオの新しい局面を見せてくれそうな人だなと思っています。

――『水音スケッチ』のような“ナレーション”に特化した番組も担当されていますが、もともと声を生かした分野に興味があったのでしょうか?

堀井美香入局した時からナレーションをやりたいと思っていて、この間、新人の1年目に書いたアナウンサー名鑑の抱負を見返したら「ナレーション、朗読道を突っ走ります」となっていました。30歳くらいの頃にほかの部署に行きたいなと考えたこともありましたが、『ザ・ベストテン』などを手がけられた山田修爾(しゅうじ)さんが「堀井さんはナレーションの才能があるから、他部署に行く前にちゃんとやってみないか?」と言ってくださって、硬派な番組のナレーションを担当したことがあったんです。その番組のディレクターさんがものすごく厳しい方で、読むということを丹念に教えてくださいました。「小さいナレーションも捨てない。考えて読む」と意識が変わると、どんどんナレーションの仕事が増えていきましたね。

――今年5月には朗読会『A’LOUNGE TBSアナウンサーがデザインする朗読』のプロデューサーを務め、アナウンサーが朗読をする場を提供されていました。

堀井美香実はアナウンサーが同じものを何回も時間をかけて読むことって意外と少ないんです。今回の生朗読に挑戦してくれた4人(出水麻衣アナ、藤森祥平アナ、宇垣美里アナ、小笠原亘アナ)も作品にこんなにしっかり向き合ったことはなかった、素晴らしい経験だったと言ってくれて、うれしかったですね。アナウンサーなので、後輩たちにも「読む」ことは決して簡単と思わずに取り組んでほしいと思っています。朗読は誰しもがやってきて、ひとりでもできることなので、ラジオとの親和性もあるんじゃないかと考えています。家でラジオを聞いている人が、こうした取り組みを通じて朗読を始めて、発表する舞台として、将来的にTBSラジオで朗読のコンテストかなにかを開催できるようになったらすてきですね。

――もし自分の好きな内容のラジオ番組を放送できるなら、どんな番組をやってみたい?

堀井美香スーさんとは、いつか深夜にこっそり『NHKラジオ深夜便』のように季節を愛でるような番組をやりたいねと話しています。今度こそ真面目にやりますよ……。ただ、番組に関しては今でも恵まれ過ぎているのにこれ以上望んだらバチが当たると思ってるんです(笑)。
◆堀井美香(ほりい・みか)1972年生まれ。法政大学を卒業後の1995年、TBSに入局。2009年からの『久米宏 ラジオなんですけど』アシスタントをはじめ、『竹中直人〜月夜の蟹〜』、『ジェーン・スー生活は踊る』金曜パートナーなど、多くのラジオ番組を担当する。『坂上&指原のつぶれない店』『ビビット』といったテレビ番組のナレーションも務めている。

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