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ラジオは決して“オワコン”ではない ネットメディアのソースとしての存在感を増す
ラジオは得ダネの宝庫!? 激辛&本音トークがネットメディアのソースに
先ごろ、爆笑問題の太田光はTBSラジオ『爆笑問題の日曜サンデー』で、ゲストとして出演した森脇健児からかつて共演NGを出されていたことを暴露すると、ネットメディアが後追い報道し話題となった。また、有吉弘行がパーソナリティーを務めるラジオ番組『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』では、アメリカのミスコンで水着とイブニングガウンでの審査が廃止されることにも触れ、「今後は知性的であるとか優雅であるとかが判断基準になるみたい。じゃあ、そんなもんやめろよ(笑)」と斬って捨て、これもまたネットニュースを賑わせた。
このように、ラジオパーソナリティーの毒舌や裏ネタをネットメディアが拾って報道するのはもはや定番化。むしろ、出演タレントたちも「これネットニュースになりますよ」などと発言。他メディアのソースとなっていることを意識した発言が見受けられる。
ラジオ出演は損得抜き! 人気お笑い芸人たちが紡ぐ「ラジオ芸人魂」の系譜
TBSラジオ『JUNK 山里亮太の不毛な議論』でパーソナリティーを務め、『たまむすび』火曜パートナーとしても活躍する南海キャンディーズ・山里亮太は、ニッポン放送時代から伊集院光のラジオを聴いていて、同じ『JUNK』を背負う者同士となった今でも、“憧れの存在”だと語っている。また、「何かニュースで流れた時に、『あの人は何を語るんだろう』と真っ先に好きなパーソナリティーの顔が思い浮かぶ、そんなところもラジオの魅力」と話す。
また、爆笑問題の太田は「オレたちが聞いていた(ビート)たけしさんとかは、短い期間で終わっているけど、伊集院とかオレたちはそれを聞いて育っていて、それが元にある」と、ラジオが自身の“芸”の基盤になっていることを告白。続けて、「伊集院(光)とたまに話すんだけど、自分たちのラジオがなくなっても、自分の家にスタジオを作って、タダでもいいからやりたいなって」と、ラジオ愛を爆発させている。
上記のように、ラジオによって継承される“芸人魂”。これは現代においても変わらないようだ。太田がパーソナリティーを務める『カウボーイ』を聞いて芸人を志したという東京大学卒のお笑いコンビ・XXCLUBの大島育宙は、「爆笑さんや伊集院さんの番組をずっと聞いていきたいと思いつつ、若手がいつかは担わなければいけない」とラジオへの想いを明かしている。ラジオによって生まれる“芸人魂”の継承が、今も連綿と続いていることが分かる。
吉田照美が語るラジオの魅力「SNSと親和性が強いから、ラジオには可能性がある」
1974年からラジオに携わるフリーアナウンサーの吉田照美。ラジオの魅力について「ラジオって、テレビに比べて出演者に対しての距離が近いんですよね」と語っている。また、10代の新規リスナーについては「ツイッターとかの親和性が強いから、ラジオにはまだまだ可能性がある」と強調している。
吉田が言うように、ラジオにはリスナーとの距離が“近い”と感じさせる温かさがある。また、視覚による補完がなく、次にどんな発言くるか分からないワクワクドキドキ感。これもテレビからは失われつつある要素なのだろう。
オードリーの若林は性格が豹変!? ラジオでしか見られないタレントの魅力
お笑いタレントのオードリーは、テレビの印象ではボケの春日俊彰とツッコミの若林正恭という立ち位置だが、ラジオではコンビの立ち位置が正反対に。若林の話に春日が的確なツッコミを入れる形が基本となっている。さらに、テレビでは“人見知り”として認知されている若林だが、ラジオでは想像以上の“オラオラ系”で初めて視聴するユーザーは驚きを隠せないだろう。前述の山里も、ラジオではスイッチを切り替えていると話すなど、TVでは見られない芸能人の“B面(裏側)”を楽しみにしているリスナーは多い。
ラジオの広告費はこの21年間で6割減 ラジオに課せられた“社会的役割”
そうした中、個人聴取率101期連続トップを走るTBSラジオ。この“一強状態”をうけ、各ラジオ局が対抗の構えを見せる。文化放送の土日の番組表では、声優がパーソナリティーを務める番組で埋め尽くされている。これは「声優ラジオ=文化放送」を確立させ、コアな層を取り込むという文化放送の戦略。このように、各局が個性を打ち出し、現在の“低迷するラジオ界”を打破しようと取り組みを見せている。
ORICON NEWSが実施した「ラジオは今後も生存していくか?」という質問に96.5%もの人がYESと回答したように、ラジオに求められる“社会性”は今なお根強く、災害時に必須のメディアとしても認識されている。『ラジコ』の普及もあり、新しい楽しさも見出されている。そうした環境下で今後、若者の流行を取り入れ成功を収めるラジオ局が出てくるのか、ラジオ界の“次の一手”からも目が離せない。