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“最強の裏方“無敵のナスDも引退宣言! ディレクターがタレント化する是非
今、最も露出の高い裏方と言えば、破天荒の”ナスD”
ナスDの“破天荒ぶり”はそれだけにとどまらない。アルコール度数50度のお酒を大量に飲んだり、生の川魚、巨大カタツムリ、イタチの丸焼きなど、普通なら躊躇してしまうものを「うまいうまい」と食し、ときには「すっごい臭い」と笑う。その姿は、現地のガイドにまで「先住民や馬でも食べない」と引かれるほど。芸人以上に型破りな行動を見せるナスDは、規制だらけのテレビの網目をかいくぐり、一矢を報いた感もあり、視聴者に衝撃を与えると同時に瞬く間に人気に火が点いたのである。
番組ディレクターより残せなかった爪痕、敗北宣言の芸人たち
また、昨年12月29日に放送された『いきなり!黄金伝説。』のスペシャル番組、『よゐこの無人島0円生活2017 元祖無人島芸人・よゐこVS破天荒ディレクター・ナスD』では、構成的には完全にナスDのほうが“格上”扱い。いきなり漂流物のペットボトル内の謎の飲み物(あきらかに腐っている)を飲み干し、視聴者をドン引きさせた後、拠点を建てる、素手で魚を捕まえるなど、持ち前のサバイバル力を発揮し、圧勝した。よゐこ・濱口も、ナスD出演のVTRを見ながら「ケガをするとほかの番組に迷惑をかけるし、危険な行動は避けてしまう」と、自在に動き回るナスDの姿に嫉妬。「俺もコケよ、コケなあかんわ」などと反省する始末だった。
ただ、視聴者に「芸人が体を張るのは当たり前」という先入観がある中、芸人ではない素人のスタッフが過激なことをやれば、必要以上に凄く見えるのも仕方がない。そういう意味では、プロの芸人たちにも気の毒な側面もありそうだ。
ナスDだけじゃない! バラエティ番組を盛り上げた裏方の活躍
また、とんねるずの番組でも“スタッフいじり”をネタにすることが多く、「AD(アシスタント・ディレクター)」などの業界用語を一般に浸透させた。最終的には「野猿」という、大道具や衣装、ディレクターなどの裏方をメンバーにした音楽ユニットまでを結成させ、ついには紅白出場まで果たしたのである。
はっきりと露出はしないものの、『進め!電波少年』(日本テレビ系)の土屋敏男プロデューサーなども、その恐怖の指令(ムチャぶり)を出すプロデューサーとしてキャラを確立させていたし、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(同)の元チーフプロデューサーの“ガースー”こと菅賢治氏や、演出家の“ヘイポー”こと斎藤敏豪氏なども、そのキャラだけで1本“冠企画”が作れるほどで、名物スタッフの代表とも言える存在だろう。
ただ、こうした裏方の活躍はどこか“内輪ウケ”のようなところもあり、単なる出たがりのスタッフだと言えなくもなかった。しかし最近では、番組の制作コスト削減のためにスタッフが出演せざるを得ないと思わせる節もある。『水曜どうでしょう』(北海道テレビ)や『ゲームセンターCX』(フジテレビ系)、『マツコ会議』などの主要メンバーもスタッフだが、これらの番組の場合は、タレントとスタッフとの親密さからくる“身内ネタ”が、逆にお茶の間に親近感を与える効果があるようだ。
一方、『シルシルミシル』(テレビ朝日系)でグルメリポーターを務めていた“AD堀くん”など、その朴訥すぎるキャラが受けてMCのくりぃむしちゅーよりも人気となり、ドラマやアニメに出演するなど番組の枠を超えて活躍するディレクターもいる。その最強版がナスDとも言え、本職のタレントをしのぐ彼のキャラクターは、番組1本作れるほどの破壊力を持つに至ったのである。
実は本職に戻りたい? ナスDの意味深発言の真相とは
そんなナスDにしてみれば、ヒットする番組を次々とプロデュースすることこそが本職。今のままでは芸人も育たないし、いつまでも自分がメインになって“体当たり”番組に出演しているわけにもいかないと考えるのは当然。そんな葛藤があっての「たぶん、最後」発言だったのかもしれない。
規制のほうはと言えば、ますます厳しくなる一方で、何かと炎上しがちなテレビ業界ではあるが、今後は彼ら“タレント化したディレクター”たちが安心して“引退”できるような、スターたちの出現に期待したいところである。